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Before the dawn

真夜中から夜明け前の少しずつ明るさを感じるようなこの時間は、果たしてなんと呼ぶのだろうか。夕焼けのことを表す「かたわれどき」という言葉があるように、存在しているのだろうか。あえて検索はしないでおく。英語にしてしまえば、いっそ"夜明け前"という日本語よりもしっくりくる。

仕事で動画を作り始めてから1年が経過しそうだ。歌の練習をするようになってから1年とちょっと経った。転職してから2年経った。

成り行きで始まったことと、好きで始めたことと、限界を突破して掴んだ第二のスタート。この1年の間にもいろんな出会いと別れがあって、住んでいる街も所属している会社も変わらないのに、今はまた景色が少しだけ違って見える。

希望がいっさい見えない。将来が不安だ。そんな日々は今、少しだけ明るみを帯びて見える。まるで夜明け前の空みたいに。

自分の銀行の貯金残高を見て呆れる。普通の人なら不安しかない。それでも。なぜか今はもう大丈夫な気がしている。少し前に落ち込むことがあった、それは将来に対する漠然とした不安からくるものと過去に対しての後悔だった。自分の鈍感さと不器用に腹が立つ。悔しい。

でも今はそれでよかったと思う。こうやって、悩んで泣いて眠れない夜を沢山過ごして、ひとりで抱えて。誰かに話すことや背中を預けることの大切さを知ったから。この痛みを知らないままで、世界に飛び込んで生きていく方が怖かった。だからもう、今は平気だ。それに好きだったことを思い出したんだ。大切で尊い何にも代え難い時間の過ごし方を。

何も怖くない、と言ったら嘘になる。それでも。見たい世界も会いたい人も沢山あるから。前に進むんだ。いつか晴れた空を見て、ありがとうと叫びたい。出会ってくれた全ての人に。


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