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自由気ままな海外旅も、難しくないよ

私がはじめて海外旅行を経験した約30年前と、そして現在とを比べると隔世の思いがある。

30年前にバックパッカーだった私は、エジプト、トルコ、ギリシャ、シリア、ヨルダン、イスラエル、スーダン、シンガポール、マレーシア、タイの10カ国を1年弱旅行した。

エジプトの後にどこに行くかは、事前に決めていなかった。

エジプトで会った旅人に、「トルコよかったよ」と聞かされ、トルコ行きの航空券を衝動的に買った。

トルコで会った別の旅人が、「トルコからシリア、ヨルダン、イスラエルと陸路で行く」と語り、私はそれをまねした。

イスラエルからエジプトに戻り、エジプトで会ったまた別の旅人が、アフリカのおもしろさを熱く語った。感化された私は、アフリカを南下すべくスーダンに行った。

東南アジアの3カ国は、持っていたチケットがシンガポール乗り継ぎであったため、シンガポールでストップオーバーし、寄り道した。

このように行き当たりばったりの旅だったため、最初のエジプトのガイドブックは持参していたが、他の国のガイドブックは持っていなかった。

バスや鉄道で新しい土地に降り立ったとき、自分が街のどのあたりにいるのかもさっぱりわからなかった。この町に何があるのか、宿はどのあたりにあるのかも知らなかった。まずは街の中心部らしき方角に歩き出し、安そうな宿を探す。なかなか見つからなければ、人に訊いた。バスターミナルなどで宿の客引きが待ち受けていることもある。信用できそうな客引きであると判断すれば、付いて行くこともあった。

すんなりと落ち着く宿が見つかるときもあれば、なかなか見つからないときもある。まったく土地勘のないはじめての街で、重い荷物を背負い宿を探して歩き回るのは、しんどい作業であった。

今はもう長期で旅行することはないが、短期の旅行でも、事前に細かな計画を立てずに行くことが多い。でも今はスマホやタブレットなどがあるため、ちっとも困らない。

最初の宿だけでも出国前に手配しておけば、後は行き当たりばったりでも、ネットで次に泊まる宿を簡単に手配できる。

そしてバスターミナルに降り立ち、そこがはじめて訪れる街であっても、グーグルマップで宿までの経路を調べれば、どう進むべきか一目瞭然だ。歩いて行けばおよそ何分かかるのか、公共交通機関を使うならどのような経路があるのか、タクシーならおよそ何分ぐらいで行けそうか、なども簡単にわかる。

その町の見所が何なのか、レビュー評価の高い順に調べることもできる。それらの位置、休館日、入場料なども当然わかる。どこで食事をすべきか、他のユーザーのレビューを参考に決めることもできる。

もしくは、どこ行くあてもなく、街を散策してもよい。一昔前なら、帰れなくなることを用心して目印などを気にしながら歩いたが、今なら地図アプリを開けば自分がどこにいるのかわかるので、迷子の心配も無用である。

若い世代の方々はピンとこないと思うが、本当に便利になった。そして旅のハードルも間違いなく下がっているのではないだろうか。

長期の海外旅行というと、旅慣れた人しかできないような印象も持つ人もいるが、暇と金とスマホと、スマホを普通に使える能力があれば、なにも難しいことはない。

言葉の心配をする人もいるかもしれないが、片言で最低限のことはだいたいなんとかなるのだ。そして今なら自動翻訳アプリを使う手もある。

旅で知り合った外国人とメールやSNSでつながることもあるかもしれない。例えば英語の文章でやりとりすることになっても、自動翻訳機能を使えば、日本語オンリーでもかなりのことができる。最近の自動翻訳は、驚くほど優秀になってきている。

私はこれらの便利さを歓迎して享受しているが、食事の店を探すことだけは、ネット情報にあまり依存しないようにしている。ぶらぶら歩いて、「あっ、なんかここおいしそう!」と、ピンときたところに入りたい。

そりゃ直感が外れることもあるけど、当たりのときはうれしくなって、よりおいしく感じられる気がするのです。


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