洋さんとアルテマイスターの一日
星 洋(ほし ひろし)さんは、勤続50年、塗装・研磨に従事するベテラン職人です。当社のミッション「豊かな心をつくる」に沿う人物を推薦する社内投票において、ただ一人、2年連続の金賞を受賞したスゴイ方。
年齢問わず、当社の半数を占める若手社員からも慕われる洋さん。“ジェネレーションギャップをものともせず愛される人物像”に迫るため、洋さんがアルテマイスターで過ごす一日を追いました。
朝8時。アルテマイスター本社工場の敷地内には、送風機と竹ぼうきの音が響きます。落ち葉舞い散る季節。敷地内の美観を保つため、有志社員が清掃作業を行う中、若手と一緒に竹ぼうきを手にする洋さん。「若いやつらだけにやらせんのは可哀想だべ」と、毎朝一緒に清掃に取り組んでくれています。
「洋さん、今日は旗どうします?」という若手社員からの質問に「うん、今日は降りそうだからやめとくか」と答える洋さん。当社は雨・雪の日以外、国旗・社旗・安全旗を掲揚していますが、まだ若手の社員では読みづらい会津の天気。どうやら洋さんがお天気番長として掲揚する・しないの判断のアドバイスをしてくれている様子です。
***
ラジオ体操と朝礼が終わると、業務が始まります。掃除のときのにこやかさから、スッと真剣な眼差しに変わる洋さん。鮮やかな手さばきで、次々に研磨を進めていきます。
この日は、仏壇の欄間(らんま)部分の仕上げ研磨をしていました。この工程の後、最終塗装と組み立てを経て、仏壇が完成します。
一見簡単そうに見えますが、一筋縄ではいかないのが研磨作業。削り過ぎても、削らな過ぎてもダメ。経験と感覚が大切な、手作業の真剣勝負。後の塗装を美しく仕上げるために、とても大切な工程です。
そんな真剣勝負の最中でも、声を掛けたり、掛けられたり、周囲と積極的にコミュニケーションを取りながら業務にあたる洋さん。
「自分のところ(本社工場2階)ばっかりじゃなく、1階にも3階にも行く。顔色悪い人がいたら『どうしただ?』とか声かけて。1日みんなに声かけねえと、なんか俺の心が落ち着かない」と話します。
***
そんな洋さん。ご自身では「俺こんなキャラでねかったんだけどな」と語ります。
― いつから変わりました?
「(現場の)リーダーやってからでねえかな、やっぱり。前はもっとシャイだったからよ。女の人となんか話せねかった(笑)」
***
夕方5時過ぎ。チャイムが鳴ると、チームごとにメンバーが集合し、ミーティングと終礼が行われます。
終礼後は再び掃除の時間となり、フロアの社員みんなでモップがけ。当社を見学されたお客様に「木工工場なのにすごくきれいだね」と言っていただけるのは、製造現場のみなさんがこうして毎日こまめにお掃除してくださっているおかげです。
掃除が終わるとサッと帰り支度をし、「おう、お先!」と、やっぱり周りへ声を掛けながらずんずん進む洋さん。
「じゃあね、おつかれ!」
颯爽とお帰りになるのを見届けて、取材を終えました。
声かけに始まり、声かけに終わる洋さんの一日。
集中力が必要な製造業務の中でも、周りを気遣って、良い環境づくりや人間関係をさりげなくサポートする洋さん。その懐の深さには感服するばかりでした。
社会人として働く以上、業務の量と質を保つ努力は当たり前。でも、それだけではやっぱり足りない。人と人とが一緒に働く中で、良いコミュニケーションは良い仕事に繋がっていく。
ましてや、わたしたちが生み出す製品は、人の心を納めるもの。使う人の心を癒し、前向きに生きるためのものであって欲しい。「豊かな心」を持って互いを支え、真摯に仕事へ向き合う環境が、安心して心を預けていただける製品づくりに繋がるのだと思います。
最後に、洋さんに聞いた「みんなに伝えたいこと」を。
「やっぱり、会社にいる時間は、家庭にいる時間より長いもんで。社長がよく言う『家庭的』っていうの。そういうの、オレは目指してるから。どんどん仕事のこととか話しながらやった方がいいかなって思ってる。以上です!
……(これで)大丈夫?笑」