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軽やかさと荘厳さを併せ持つ厨子 文欟木型

2022年にできた軽やかさと荘厳さを併せ持つ厨子『文欟木型』のお話
工房厨子『文欟木型ぶんかんぼくがた』は、アルテマイスターがこれまで扱ってきた厨子たちよりも大きくてシンプルな厨子です。その特徴は、コンパクトだけれど中は広めにつくられていること。

[文欟木型 大 黄明色きめいしょく(H135.1×W30.6×D22.4cm)]

”わたしらしい、祈りのある暮らし”に応えたい。
2022年にできた文欟木型は「仏様とお位牌を一緒に納めたくて」「もう少し大きいといいのだけれど…」そんな声からできました。宗教や宗派に捕らわれず、大切な方を失った悲しみに向き合うお一人お一人の気持ち寄り添うことも厨子の役割のひとつです。

[文欟木型 大 赤漆色あかうるししょく(H135.1×W30.6×D22.4cm)]

”わたしらしい、祈りのある暮らし”が見つかるお手伝いをしています。

◇食事をしたり読書をしたり…そんなくつろぐ空間の中にある厨子を。



文欟木型の厨子ができるまで。

厨子をデザインする上で大切にしていることの一つに「歴史や伝統を紐解き、そこから新しい知識を学び見解を導くこと」があります。今回デザインするにあたっても、6世紀まで歴史をさかのぼりました。

◇6世紀飛鳥時代のイメージ

モチーフには、飛鳥時代の「赤漆文欟木御厨子」、奈良時代の「黒柿正面厨子」、鎌倉時代の「黒漆厨子千体観音図貼付」の3つが候補に挙げられていました。

◇デザインスケッチ

実際に厨子に落とし込むとどのような見え方になるのか検討を重ね、最終的に「より現代的なビジュアル」ということで、正倉院に納められている赤漆文欟木御厨子せきしつぶんかんぼくのおんずしが採用ました。

写真:赤漆文欟木御厨子

軽やかさと荘厳さを併せ持つ厨子の完成

特徴的な床脚を再現し、軽やかさを感じさせながらも、祈りの対象としての荘厳さも併せ持つ祈りのかたちに仕上がりました。

◇漆工芸の技法『赤漆』を厨子でも再現。
◇ご本尊とお位牌がバランスよく祀ることができます
◇アルテマイスターで長年採用している”黄明色”は欅の木目を最大限美しく表現します
◇いつでもそばに。


材質には欅が使われているのですが実は、名称の『文欟木型』には
「文=美しい木目」
「欟木=欅」

という意味があるそうなのです。漢字の奥深さと、古の日本人の感性に関心するばかりですね。

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アルテマイスターの厨子についてのnoteはこちら◎
アルテマイスターの代表的な厨子『安壽』
小さくてかわいい伝統の厨子『安憬』

そもそも厨子って?ということに触れたnoteはこちら!
厨子のこと。

文 / すずき