見出し画像

オランダ・フランス旅行記2024⑥

今回はおそらく一連の旅行記の中で一番長い記事になってしまったはず…。それぐらい濃い一日だったのは言わずもがな。

そもそも今回の旅行でオランダの友達の元を訪ねる事になった時に「あともう一ヶ国はどこに行こう?」という課題が浮かんだ。せっかくヨーロッパまで足を運ぶなら、あともう一ヶ国ぐらいは行きたい。その上でフランス・パリに決定した大きな理由の二つの内の一つがジヴェルニー。クロード・モネが家族と共に長い時間を過ごした終の住処。きっかけは原田マハさんの『ジヴェルニーの食卓』という小説を読んだ事から。あれを読んでからもうずっとジヴェルニーに行きたくて行きたくてたまらなかった。

朝起きて歯を磨いていたら、お隣の家の窓からするりと猫が出てくるのを見つけてしまってもう大興奮。しかも私の大好きなキジトラ…!思わぬ隣人の登場に朝からホクホク。

いざ、ジヴェルニーへ旅立つためにサン・ラザール駅へ。この駅に来られるのも本当に楽しみだった。モネの描いた『サン・ラザール駅』も大好きな作品の一つ。ここから彼もジヴェルニーに旅立ったのかと思うと、感動も一入。

ジヴェルニー行きのバスが出ているヴェルノン駅までは一時間足らずだったかな?今回の旅はマジで終始定刻通りだったし、乗り継ぎもめちゃくちゃスムーズで逆に怖いぐらいだった。突然電車の乗り入れるホームが変わるとかよくあるのに、全くそんな事もなく。

ジヴェルニー行きのバスには結構アジア人もいた。韓国系が多かったかな?日本人は見る限り私たちだけだったけど、ジヴェルニーに着いたらちらほら見かけたらから皆パリから直行のバスツアーで来てるのかも。そんなこんなでモネの家に無事到着、まずはモネがあらゆる国を旅して手に入れてきた花に囲まれた自慢のお庭を散策。見たことのない花ばかりでめちゃくちゃ楽しいし、この庭で一日過ごすなんて訳ないとさえ思えてしまう程美しかった。

ちょうど薔薇の時期に来られたのも大正解。
桜もあったのは嬉しかったなあ。

全く庭師の仕事が何たるかなんて知らないけど、このお庭を手入れする仕事に就けたら幸せだろうなあと思った。絶対大変だろうけど。

そしていざ、家の中へ。

夢にまでみた景色
圧巻
大はしあたけの夕立…!

モネもゴッホと同様に浮世絵を深く愛したんだなという事がとにかくよくわかる程の所蔵数。何なら西洋画より多かったぞ?個人的にここ数年で浮世絵の魅力にもどっぷりハマっているので、ここでも見る事が出来てとても嬉しかった。

歌川広重、歌川国芳、葛飾北斎から月岡芳年まで、あの頃の日本人がさして気にも留めなかった浮世絵をフランス人がこぞって買い付けた歴史を痛感する。

部屋から見た庭。モネもこの景色を日がな眺めたのかしら。

ここがモネとクレマンソーが談笑しながらブランチを共にしたダイニング…!勿論小説の中の話でフィクションなんだけど、ドラマとかの聖地巡礼する人の気持ちがよくわかった。これはテンションだだ上がりだわ。

そしてここも小説の中でモネの義理の娘であり、彼の助手でもあるブランシュが毎日あくせく料理を拵えていたキッチン。ダイニングとは反対色のブルーでまとめられた中に銅製の鍋がずらりと輝くうっとりするような景色。

タイルが美しい。

そして、大大大本命の睡蓮の池へ。

ゴッホと言えば向日葵、モネと言えば睡蓮、と言える程に彼が連作を描き続けた睡蓮の絵の舞台こそがここ。サン・ラザール駅も然り、彼の絵の景色、彼の見た景色を目の当たりに出来ることがただただ幸せ。最早推し活。

そういえばこの池で見かけた庭師さんがまさかの日本人でビックリした。日本の造園技術もさぞレベルが高いものだと思うけど、まさかフランスのモネの庭でお仕事なさっている方がいらっしゃるとは。同じ日本人として勝手に誇らしくなってしまった。

モネの家を出てカフェで一休憩した後は、モネやその家族たちが生前も通い、今は皆がその地に眠っている教会へ。

すごく気持ちのいい空間だった。

モネの家を訪れる事と同じくらい、モネのお墓参りをする事がこの旅でしたい事の大きな一つだったので感無量。どうかいつまでも安らかに。

ここも彼が描いたんじゃなかろうかと思う程、壮大なひなげし畑。(実際彼が描いたのはアルジャントゥイユだったけど。)

通りの名にもなってます。

「死ぬまでに行きたい場所」ってきっと皆それぞれあって、比較的実現しやすい場所もあれば、なかなか仕事や生活の事情で叶いづらい場所もある。私にとってのジヴェルニーも、決して簡単ではないけれど、でも絶対に叶えたい場所だった。だからこそ今回33歳で達成出来た事はとても幸運だったと思う。そして、これだけ様々な花に囲まれた場所だからこそ、また違う季節にも訪れてみたい。何度でも通いたくなる素晴らしい場所だった。また日本で頑張って働いて、いつの日か。

パリに戻った足で、私の行きたかった日本人とフランス人のデザイナーがコラボしたエコバッグのお店へ。最近は日本のブランドともコラボしているみたいで、通販でも買えるんだけどせっかくパリに行くなら実物を見て購入したいという事で。めちゃくちゃ可愛い商品の数々の中から、フランスの肉屋のショップバッグを模したものをゲット。店員さんも日本人で丁寧に商品やブランドについて説明してくれて、ちょうどコレクションシーズンとだだ被りしていた事もあり「コレクションですか?」と聞かれたけど、コレクションもオリンピックも関係無いただの観光客でございます。

素敵な外観
パリで流行りの花を大量に使ったファサード

ディナーの予約時間まで余裕があったので、散歩がてらサン・シュルピス教会へ。ここはパリ市内で2番目に大きい教会で(1番は工事中のノートルダム大聖堂)、『ダヴィンチ・コード』のモデルにもなったらしい。映画をちゃんと見てないのでその辺はよくわからないけど、中に入ってみるやその壮大さに息を呑んだ。

ドラクロワの壁画や世界最大級と言われるパイプオルガンもあり、Google mapでたまたま見つけてフラッと入った人間には規模がとてつもなさ過ぎた。ここはパリに来たら一見の価値ありだわ。

教会でしばし休憩して、また散策。

素敵な装飾

途中、リュクサンブール公園に寄り道。「これ公園って呼んでいいの?」と戸惑うレベルのブルジョワ感。

空が広くて気持ちいい。
ここもオリンピック仕様。

若い子たちに記念写真の撮影を頼まれた後は、公園を抜けてレストランへ。

綺麗な飛行機雲

今回予約したお店は日本人のシェフが営んでいる、フランス料理と和食を融合したお料理が売りのレストラン。キッチンスタッフは日本人多め、サービススタッフはほぼフランス人という感じだったけど、最初にオーダーを聞きにきてくれたスタッフは奥さんが日本人という事でなかなかに可愛らしい日本語で接客してくれた。

ズッキーニの花の天ぷら

ズッキーニの花、いつか食べてみたい食材だったけどまさかここでお目にかかれるとは。この真ん中のペースト(青紫蘇のフォームらしい)に付けて食べるのがめちゃくちゃ美味しかった。

フォアグラのパテ・アン・クルート

これまで日本でも沢山美味しいパテを食べてきたけど、これが私のマイベストオブパテかもしれない。信じられないぐらい美味しかった…!プルーンが使われてるからか、フォアグラの力強さに甘酸っぱさが本当に丁度良くマッチして全く食べ飽きない。これを食べるためにまたここに来たいとさえ思う。

リードヴォーの唐揚げ 七味マヨネーズ

「日本の唐揚げとはそもそも次元が違う!鶏が違うのか!?」なんて2人で騒いでたけど、あとでメニュー訳してみたら仔牛だった。恥を知れ。そんなバカ舌の私が言うのもあれだけど、とにかくこの唐揚げはスゴイ。唐揚げの概念が吹き飛ばされる。フレンチ唐揚げ恐るべし。

このイタリアのオレンジワインが感動レベルに美味しくて、日本帰ってからどうかにか輸入してるお店を見つけて即ポチってしまった。

トリュフ出汁の自家製ラーメン

こ!れ!が!街中で叫んで回りたいぐらい美味しかった!!!トリュフってパスタ然りずっと食べ続けるにはちょっとしんどい印象があったんだけど、このスープは柚子が使われている事もあってか、最後の一口まで200%美味しく頂けた。麺も普通の中華麺とは違う、このスープにバッチリ合ったテイスト。これをジャパニーズポピュラーラーメンとして期待して日本に来る人が居たら可哀想になる程のクオリティ。

フローズンチョコレートムース

前菜からデザート、そしてワインまで、終始美味しさの波に飲まれて多幸感が半端なかった。お会計も1人€80しないぐらいだったし、何なら日本で同じテイストのお店に行くよりリーズナブルかもしれない。まさにパリ最後の夜にふさわしいディナーでした。

最終日へ続く。