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今日、どこかの教室で #7

新型コロナウイルスで休校になった学校を舞台にした創作ストーリーを会話形式で綴っています。2000文字ほどですぐ読めます。

※完全一話完結です。この記事だけでも是非読んでください。

#6はコチラ !!
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全国の学童保育施設を対象に、ローソンが無償でおにぎりを提供する取り組みの1回目の配布が本日行われました。他にも給食で余った野菜も無料で配られるなど、食を支え・フードロスをなくす取り組みが盛んに行われています。

3月10日 !¥▽小学校・学童保育
生徒・道上元輝(11)、武田昂(11)、城戸修平(11)、その他の子供達と学童の先生・古村静香(41)、家庭科の先生・華村誠子(38)の場合。

元輝「おにぎり届いたってよ!」

昴「おっしゃきた!」

修平「俺おかか〜」

静香「みんな押さないでー」

昴「俺っちシャケ派なんだよなー。でもおかかも捨てがたい」

修平「早くしないと無くなっちゃうぞー」

静香「一人2個までよー」

元輝「静香先生!はなちゃんお腹空いてないから一個で良いって。2つ食べる人ー!」

修平「はい!俺腹減ったからもらう!」

昴「ずるいぞ修平!ジャンケンだろそこは!」

静香「みんな落ち着いて!」

元輝「じゃあいくぞ!最初は」

修平「パー!よし俺の勝ち!」

昴「うわっ、サイテー!」

子供達「「「わー」」」

静香「一回静かにして」

元輝「みんなー静香先生が静かにしてだって!」

修平「ダジャレだ!サムいー」

子供達「「「はははは」」」

静香「もう・・・」

誠子「みんなちょっと待った!!!」

元輝「あれ?誠子先生どうしたんですか?」

静香「確か家庭科の・・・」

誠子「はい、華村誠子です。みなさんこんにちは!」

子供達「「「こんにちは」」」

誠子「今日はみんなと一緒にご飯を食べに来ました」

修平「先生の分ないよ!」

静香「修平くん!」

誠子「いいんです、古村先生。今日はみなさんと一緒にご飯を作りにきました」

子供達「「「ご飯を作る?」」」

誠子「古村先生一人で大変かなと思ってきました」

静香「そんな・・・ありがとうございます」

誠子「みんなローソンから届いたおにぎり持ってますね?」

修平「持ってるけど早く食べたいよ!」

誠子「それを使って料理したいと思います」

元輝「おーー!」

昴「そのまま食べたほうがいいと思います!」

誠子「わざわざきたのにはもうひとつ理由があります。これです」

修平「うわっ、人参だ!俺嫌い!」

昴「大根食べたくない!」

誠子「みなさんの給食になるはずだったお野菜さんたちと、調理実習で使う予定だったお出汁と卵を無駄にしないために、もらったおにぎりを使って『雑炊』を作りたいと思います!」

子供達「「「おー」」」

誠子「では、みんなで家庭科室に移動しましょう!」

子供達「「「はーい」」」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

誠子「それではみなさん、手洗いうがいはしましたか?」

修平「したよ!」

元輝「マスクも忘れてないよ!」

静香「偉い」

誠子「料理しながら喋ると良くないので、みなさん料理中は静かにしましょう。わかりましたか?」

子供達「「「・・・」」」

誠子「そうね、偉いわね・・・じゃあ始めます。野菜を切るのは危ないので5年生のみんなが先生と一緒に、卵を割るのは4年生、おにぎりをあけるのは他のみんなと静香先生でお願いします」

×   ×   ×   × 

誠子「こら修平くん!人参股間に当てないで!」

×   ×   ×   × 

静香「ダメ!ツナマヨまだ食べないで!・・・あぁ」

誠子「いいですよ、雑炊に合わなそうだし」

昴「じゃあ俺も食べる!」

元輝「包丁持って歩くな!」

×   ×   ×   × 

子供達「「「・・・・・・・」」」

修平「まだ食べちゃダメ?」

誠子「待ったほうがにんじんも大根も美味しくなるわよ」

修平「はぁい」

×   ×   ×   × 

誠子「じゃあみんな手を合わせて、静かに食べましょう!」

子供達「「「いただきます!」」」

修平「うまい!」

昴「修平、ちゃんと人参食えよ!俺大根ちゃんと食ってるんだから」

修平「わかってるよ・・・普通にうまい」

元輝「美味しい!おかかとか昆布とかの出汁がうまく溶け込んでて少ない味付けでも美味しくなってるよ!先生」

誠子「食レポ上手ね・・・」

静香「静かに食べるのは・・・無理そうね・・・」

誠子「まあ机ひとつ分離れてるのでいいんじゃないですか?」

静香「そうですね。華村先生、今日はわざわざありがとうございます」

誠子「いいんです全然。もう一人の先生、自分の子供で大変なんでしょ?」

静香「そうなんですよ・・・どこもかしこも大変みたいで・・・」

誠子「私は全然構わないですよ。こうやって子供達の笑顔見るのが一番元気もらえますよね」

静香「こうやって美味しいものちゃんと食べるのがいい予防になるって言いますしね」

誠子「そうですね。それに・・・」

静香「それに?」

誠子「うち帰っても一人で寂しいじゃないですか、私たち」

静香「そうですね、早く相手見つけないと。あはは」

誠子「ははは」

昴「残ってる分は先生たちのだから、早く食べなよ!」

元輝「美味しいですよ!」

誠子「いいの?」

修平「もちろん!」

静香「ありがとう、じゃあお言葉に甘えて」

誠子、静香「「いただきます」」


ー了ー

生徒たちは登校できませんが、僕は毎日投稿していくつもりです。

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