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認知神経科学 〜脳波の実験〜

 認知神経科学を勉強してみたところ、様々な脳波の実験を知ったことは興味深いものでした。
もともと脳研究とは全く無関係に始まった認知心理学が20世紀後半に生まれたばかりの脳機能画像技術と出会ったことによって始まりました。
 心理学は神経心理学や脳機能画像技術の進歩によって昔とは随分勉強の仕方も違ってきたように感じます。
 昨今、発達障害や脳の病気のことが取り上げられて昔より一般的に認知度が高くなってきましたが、以前と違って脳の中身を知ることにより証明されたということが大きいと思います。
 
 脳は全身の血液の約20%を使っていると言われています。
脳のある部位で神経活動が高まると、その部位に大量の血液が供給されるので、脳のどの部位で血液が増加しているかを知ることによって神経活動が増加しているかを知ることができます。(局所脳血流)
 
 昔は脳に悪影響を与えるなどの理由で実験できなかったことが、最近では様々な方法で脳の機能画像を見ることができるようになりました。

 オートラジオグラフィー法
 CT
 PET
 MRI
 fMRI
などがあります。

 また、頭皮上に電極を貼り付け集合的脳活動を記録する脳波EEG、脳磁図MEG、近赤外線スペクトロスコピーNIRSこれらによって様々な脳の機能がわかるようになったのはすごいことだと思います。

赤ちゃんの脳波

 赤ちゃんはお腹の中にいる時から母親や回りの声が聞こえていることは何となく知られていましたが、それだけでなく母親の声を聞いた時の脳の反応でその喜びや不安が一目瞭然。   それだけ母親の声かけは大事で脳の発達や成長に大きな差が出てくるようです。
おっぱいやミルクをあげている時も、顔や眼を見て話しかけながらあげるのとスマホ片手に与えているのとでは大きな違いが生まれるのは顕著です。
 
 

血液型別の脳波

 血液型の性格判断など科学的根拠はないと言われていますが、この実験を見るとそれぞれの血液型によって脳の反応する場所が違うということは、それが性格に影響しているのではないかとも思えてしまいます。
 同じ絵を見てもA型の人の脳の反応する部位とB型の人の反応する部位は違うからです。
例えば1つの絵を見た時にA型の脳は主に左脳が活発に動いているのに対して、B型の脳は右脳が活発に動いていました。
AB型の脳は右脳と左脳が同時に反応していました。
O型の脳は右脳と左脳が交互に反応していました。
 
これはA型の脳が絵の細部にわたって注意を向けたり、物の数にこだわったり論理的に見ているのに対して、B型の脳は全体をイメージとして捉えていて、感覚的やひらめきで感じているからのようです。
 AB型の脳はその両方を同時に見ることができ、O型の脳は同時ではないけれど両方を交互に観察しているようです。
 それは脳の血流量の増加で見ることができどの部位が反応しているかでわかります。
ただ右脳と左脳の役割の違いも医学的に証明されてはいないので正しいという根拠はありませんが、この実験から血液型性格判断はデタラメだという考えが少しずつ見直されているようにも思えます。
 血液型が4つにある程度に分かれている国は日本と韓国くらいで、純血のブラジル人は全員O型でグァテマラやメキシコはほとんどO型、中国、インドはB型の人が多いと言われています。アメリカもA型とO型が半々くらいですが、どの国も自分の血液型を知っている人がほとんどいないというのは面白いことでした。
 

反社会性の脳波

 ルールを守れないキレやすい反社会的な行動をおこし何度罰を受けても繰り返してしまう、そんな人の脳を調べると眼窩前頭皮質の異常が見られるそうです。
この部位の損傷は人格形成や社会性を著しく損なうと言われています。
脳の病気であるためどんなに公正しても反省してもそれを忘れてしまうので何度も繰り返すことになります。
またこの脳部位は情動、動機づけ制御機能が適切に働かなくなるためうつ病になるリスクも高いと言われています。
 
 社会病質もあり、これは他人の痛みを感じることができないで他者に暴力的な行動をしても罪の意識を感じず同じ犯罪を繰り返す傾向があります。
 DVや自分勝手な暴走運転をする人や無差別に人を傷つけたりする人はあるいはこの部位に損傷があるのかもしれません。
ただ犯罪者が全て脳に損傷があると片付けられてしまうとそれはそれで問題で、罪を軽減させてしまうこともあるので難しいです。

 心理学と脳科学(脳科学という学問はありませんが)一緒になることによって様々なことがわかってきて興味深かったです。今後の脳研究で、脳と心から身体と心という観点で研究が進められれば脳の未知の仕組みが明らかになることでしょう。ただあまり分かり過ぎない部分もあってちょうど良いこともあるとは思いますが、認知症や脳の病気に役だてたら随分対処の仕方も変わってくるかもしれません。



(参考教材)
認知神経科学  道又 爾 岡田 隆

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