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マインドフルネスとネガティヴ・ケイパビリティ

 マインドフルネス、最近よく耳に入ってきます。
「今この瞬間に注意を向けて、判断や批判なく現実をあるがまま受け入れる」
これを利用した心理療法も多く、ストレスを対処する心のエクササイズと言われています。

 マインドフルネスをスティーブ・ジョブズやテニスプレーヤーのジョコビッチも実践したというのは有名です。
記憶力や免疫力もアップするというこの方法は私が長年やってきたヨガそのものでした。
足を組んで合掌のポーズをとりゆっくり鼻呼吸を繰り返すのはヨガの基本。その時にあれこれ考えず鼻呼吸だけに意識を向けて今一番心地よい呼吸を感じてみる。
 
ヨガの先生が言っていました。
過去の悲しみも未来の心配事も今ここには無く遠いところにあります。
 
今ここに自分が存在していることだけを考えて気持ち良い呼吸ができていることに感謝して一呼吸一呼吸大切に味わっていきましょう。
そして呼吸の安らかな波を感じましょうと。                

心の中を空っぽにして無の状態になることは仕事や勉強するにしてもスポーツをやるにしても集中力がアップします。
 
また無理のないヨガのポーズは肩こり腰痛予防にもなるし体幹も鍛えられます。ヨガで一番大切なポーズは体の柔らかい人しかできないような難しいポーズではなく、タダアーサナ(直立のポーズ)やシャバアーサナ(屍のポーズ)など誰にでもできるポーズです。
 
悲しみを軽減する・・・脇腹を伸ばす
怒りを抑える・・・腿の外側を伸ばす
などもあります。 
 
何より姿勢が良くなりますし、体幹が鍛えられるのはスポーツをやっていても体がぶれないこと、集中できることなど良いことがたくさんあります。
例えばテニスのサービスの時も深呼吸してからやるとか、かかとを上下させてからやるとか、大事なポイントで集中力がいる時に特に感じます。

現在の状況ではイライラしたり神経もピリピリすることもあるかもしれませんが、そんな時ヨガなどからマインドフルネスを少しでも感じ取れたら楽になれると思います。

同時にネガティブ・ケーパビリティ(負の能力)も大事です。
帚木蓬生さんの本を読みましたが、詩人ジョン・キーツが記述したと言われる「容易に答えの出ない事態に耐える力」とあります。

どうにも答えの出ない、どうにも対処のできない事態は遭遇することが多いですが、そういった不確かさの中で事態や状況に持ち堪え不思議さや疑いの中にでもいられる能力がとても重要なのだそうです。
全てのことは解決できることばかりではありません。
無理に解決しようとするのではなく宙ぶらりんな状態を持ち堪える力ということです。

「能力」というと何かを成し遂げる力、何かを処理して問題解決する力だと思いがちですが、それとは全く逆でそういうことをしない能力です。
けれども実際は問題が起きた時、的確に迅速に対処する能力が養成されるわけですから、どうやってその裏返しの能力を持つようにするのかとても興味がありました。

手の下しようのない状態は不快ですが、早々に結論が出せない状態はたくさんあります。
現在はそんな状況を余儀なくされているのかもしれません。
論理を離れた宙ぶらりんな状態を回避しないで耐え抜く力のある人は結局はどんなことにも耐えられるのかもしれません。

悩める現代人に最も必要なのは「共感する」相手を思いやる心だと言われています。
その共感が成熟する過程で容易に答えの出ない事態に耐えうる能力が必要なのだそうです。

最初に記述した詩人のジョン・キーツは偉人特に詩人はこのネガティヴ・ケイパビリティを兼ね備えた人が多く、シェイクスピアは最も有していた人だったと言っています。
その後第二次世界大戦後に精神科医のビオンにより再発見されました。

帚木蓬生さんの本の中には山下清画伯の育んだもの、シェイクスピアや紫式部を師と仰いだユルスナールのことなど書かれています。
また、薬や食べ物などで効き目があると思い込むことで病気の症状が改善されたりする「プラセボ効果」のことなども書かれています。

今の状況が早く落ち着くことを願うばかりですが、自分自身で心を落ち着かせるためにできることはあると思うので実践していきたいです。



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