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創作童話 けんたはわすれんぼう3/7

 けしゴムがうれしそうに言った。
「ぼくが一番最初のわすれものだ!」
 するとハチマキが言った。
「わたしの方が先よ。だってクラスが変わった時からここにいるもの」
 エンピツも負けずに言った。
「わたしたちが一番多いわ!」
 プリントたちも言った。
「数だったらぼくたちも負けないよ!」
 みんなでワイワイ、ガヤガヤさわぎたてた。
けんたはがまんできなくなって、
「うるさーい!あみだで決めてやる!」
と言った。そして黒板にたてぼうとよこぼうをいっぱい書いた。
 1番のくじを引いたのは、エンピツたちだった。エンピツたちは一本一本つながって、あっという間にフラフープになった。エンピツたちが声をそろえて言った。
「けんた!フラフープ回して!」
 けんたはフラフープをそうっと持ち上げた。エンピツたちはぴったりとくっついてはなれなかった。けんたは、
「行くよー。それっ!」
と言って腰をまわした。
 エンピツたちが歌い出した。

  まわってまわって フラフープ
  グルルーグルルー グルルルルー
  もくもく雲も けっとばせー

 いつの間にかフラフープは勝手に回り出し、窓から外へ飛び出した。
 けんたは必死にフラフープを両手でつかんだ。
「あれーっ? ぼく空を飛んでる!」
 けんたとエンピツフラフープは、雲をけちらしてヒュンヒュンと飛んでいた。
 風が吹くと、フラフープはヒュワーンと浮き上がった。けんたはおもしろくなって、
「たつまきだぞー」
と言いながら、雲の中をグルグルまわってつきすすんだ。
 そうすると雲がたつまきの形になった。
 けんたが空中の雲をかき回したので、空いっぱいにたつまきの形の落書きができた。
 そこへ鳥たちが飛んできて、フラフープの回りを取り囲んで言った。
「やめてくれよ。目が回るじゃないか」

               つづく

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