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寄り添うということが分からない人と寄り添いすぎる人

営業を8年しているとよく社内で聞くフレーズに出会います。その内の1つが「お客さんに寄り添え」です。よく聞く言葉は仕事の本質を捉えている場合が多いのですが、この言葉についてはパワーワード的な特徴を多分に含んでいると感じています。今回は若手でお客さんに寄り添うことそのものが分からないという若手社員と、顧客に寄り添いすぎて自分で自分の首を締めるベテラン社員について感じていることをまとめます。

1. 寄り添うということが分からない人

お客さんとコミニュケーションをとる時に、先輩社員から「もっとお客さんに寄り添って話した方がいいよ」と言われた若手の目が点になる場面を何度も見てきました。「寄り添え」と言われることもありますし、「顧客の気持ちになって」とか、「共感して」とかそんなことを言われます。私もご多分に漏れずそうでした汗。今もこの分野が完璧とは言えないのですが、一つだけ気づいたことがあります。それは「寄り添っていない」=「自分のことしか考えていない人」だということです。

若手の頃はとにかく自分の成果をあげて、一旗上げたい、何者かになりたいという気持ちが強いがあまり、自分の提案がどれだけお客さんの課題を解決する鋭さがあるのか?成果に対してどれだけのインパクトがあるのか?を第一に考えがちです。

成果を上げるために…これはこれで非常に大事な考え方ですが、営業は人と人との仕事である以上、相手の状況・文脈に合わせた対話・提案が土台となります。
共働きで忙しく子どもの成績が伸び悩む保護者に「この参考書のこの部分だけでも子どもに1日10分でも付き合ったら、成績が伸びますよ」と言われても「それができねえから、相談してんだよ。」と思われること請け合いです。
「使う参考書が何か?」「参考書をどのように使うか?」ではなく、その保護者の日々の生活の中でどういう関わりがあり、どの部分を工夫したら子どもと関われるようになるか?ということをこの場合はまず保護者と話す必要があります。

2.寄り添いすぎる人

キャリアの長いベテランの方は、寄り添いすぎるがあまり自分で自分の首を締める場面を見かけます。例えばお客さんからの夜遅くの商品に関する質問メール・電話。このレスポンスは緊急ではなく重要な仕事に分けられるのですが、お客さんに寄り添いすぎるがあまり夜だとしてもすぐに反応します。
レスポンスできる時は良いかもしれませんがいつかレスポンスできない日が来ます。そうなるとお客さんは「今までならレスポンスくれたのに、何で今回はレスポンスくれないのかな?」という心境になります。夜遅くにレスポンスしたらずっと夜遅くでもレスポンスする人であり続ける必要に迫られます。
担当がずっと同じなら、レスポンスできない日があったとしてもその打率を高めていくことで、何とかかんとか仕事できますが、担当が変わりその担当が育児や介護で夜遅くの仕事が物理的不可能の場合、お客さんからは「何だよ…前の担当はすぐ連絡くれたのにさ…」とへそを曲げることがあります。
そうなると、お客さんと信頼関係を作るハードルが上がり、成果が上がりづらくなります。
…というように、寄り添いすぎる人はその人が仕事している限りは成果が上がります(しかし、これも経験上担当2年目からは成果が緩やかに下がる)が、長期的にみると焼畑農業的な営業と言わざるを得ません。

3.寄り添い貯金は家族に使いたい

以上のことを考えていた時に「道徳貯金」ということばに出会いました。

道徳観は貯金のようなもので増えたり減ったりし,道徳観が満たされているときは無理してまで道徳的言動をしようとしないが,道徳観が満たされていないときは,それを満たそうとして,無意識のうちに無理な道徳的言動をしようとするものだということです。(中略)「道徳観が満たされている人はきれいごとを言いたがらないが,道徳観が満たされていない人はきれいごとを言いたがる」ということになるのでしょうか。(徳本法律事務所コラムより)

道徳を寄り添いに置き換えると、人が寄り添える量には絶対量があると言えるのではないかと考えるようになりました。寄り添い貯金を家族に使うことを優先度高く置くことで、自分含めた家族が幸せに過ごすことができます。そして差し引かれた寄り添い貯金の残りを仕事でどうやりくりするか?…こう考えると、仕事も寄り添いに依存せず成果をあげられるようになります。

逆はきついと感じました。つまり仕事で寄り添い貯金をふんだんに使い、残りの寄り添い貯金を家族でやりくりするという場合です。家族の方が明らかにその人に紐づいて寄り添う必要のある場面が多いです。(仕事は誰が寄り添っても一緒の場面が多い)

「寄り添い」というテーマでここまで書き上げました。異論反論感想お待ちしております…!


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