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小林白菜とアロハ天狗、ASTRO BOT:RESCUE MISSIONを大いに語る

登場人物紹介

ASTRO BOT:RESCUE MISSION:2018年にPSVRで出たアクションゲーム。アホみたいに面白い。

小林白菜:CONTINUEとかに書いてるライター。『アイカツ!』シリーズに異常な執着を見せる。

アロハ天狗:温和な好青年

ASTRO BOT:RESCUE MISSIONを大いに語る

アロハ天狗(以下 アロ):今日はASTRO BOT:RESCUE MISSIONと、SEKIRO: SHADOWS DIE TWICEの二本について褒め倒す会ということですが、 ASTRO BOTの方からお話ししましょうか。

小林白菜(以下は ):そうですね。ASTRO BOTは完璧すぎていい意味で語り甲斐がないような気がしますね。

アロ:SEKIROは結構凸凹してるとこもあるんですが、ASTRO BOTは”完璧”ですもんね。欠点らしい欠点が全然ない。

は:シンプルな操作性で、誰もが楽しめる。それでいて新しいステージに進むたびにVRならではの驚きがあり、それがラスト面まで続くという、あれ以降のVRアクションの指標になるようなゲームですよね。

アロ:これは懺悔なんですが、最初めちゃくちゃナメてたんですよ。「ハーハ?なんかPSVR出たての時のパーティーゲームのキャラ流用だし、VRでマリオみたいな三人称ACT? ま、”とりあえず出しました”的な作りじゃねーの???」って思ってたところが、まさかあそこまでの傑作だとは・・・・『VRゲームのベストの一つ』じゃなくて『アクションゲームのベストの一つ』ですね。

は:僕も最初は半信半疑でしたね。IGN Japanの満点レビューを見て「操作キャラとは別に自分の視点があるの?なんかごちゃごちゃした印象にならないか?」とか思ったんですが、体験版をプレイしてみたら「なんでいままでのVRはこうなってなかったの?」ってくらい自然な感覚で。しかも「ゲーム内世界に自分の視点がある意味」がしっかりあったんですよね。

アロ:プレイヤー=視点=ファミコンロボ≒操作キャラ(アストロくん)なのが凄いアイデアですよね。単なるカメラじゃなくて、アストロくんを助ける手助けキャラとしてそこに自分がいる。で、それが視点以外にも、PSコントローラーや頭突き(!)といったVRの仕掛けとガッツリ絡んでる「その世界に自分とアストロくんが一緒に冒険してる」感が凄い。 

は:「自分はアストロくんと同じ世界にいるんだ」って思わせてくれる各種演出も良いですよね。アストロくんがこっちに手を降ってくれたり、道中でプレイヤーの方を向いて微笑んでくれる奴がいたりとか。でも、遊園地のアトラクション的なものに終始してるわけじゃなく、そのアストロ君とプレイヤーの協力関係が最高峰のアクションゲームとしてしっかり成り立っている。

アロ:”アクションゲームの冒険”なんですよね!めちゃくちゃ血沸き肉躍る。ステージ構成もとてつもなく良く出来ていて、VRの身体負荷も考慮して一ステージが非常に短いんですが、そのステージの中にちょっとした起承転結がバシっとハマっていて、一番盛り上がるところを抜けると『バアーーッ』ってゴールが景気良く広がる。気持ちいい!! 

は:どのステージも趣向を凝らした起承転結があって、「次のステージには何が待っているんだろう?」っていうプリミティブなわくわくがありますよね。それがアクションゲームとしての楽しさと演出面が高いレベルで両立しているからこそのわくわくで。

アロ:短いステージに起承転結&高いアクション性という点は傑作ドンキーコングリターンズと続編トロピカルフリーズの二作を彷彿とさせますね。ASTRO BOT、基本的に「できること」は結構少なくて、ジャンプ&スピンアタックくらいなので、それこそボタン自体はファミコンレベルの操作形態なんですよね。ただしそこに、各ステージ固有の豊かなギミックや、何より『プレイヤー自身が立ったり、のぞき込んだり、振り向いたり、はたまた手を大きく振り回したり』といった身体要素を入れることで、ものすごくダイナミックなプレイ感になっている

は:むしろアストロくん自体の操作がシンプルだから、頭を動かしたり、スライドパッドを使ったサポートが必要なシーンでもおつむが処理できる情報量の範疇で楽しめてる印象ですよね。パッと見で何をすべきかすぐ分かる画面内のオブジェクトのデザインも大きいように思いますが。

アロ:ゲーム内で、コントローラーをそのままVR空間に移してワイヤーパッドや手裏剣などの特殊アイテムを手に入れるんですが、アレがステージを”持ちこさない”のがいいですよね。終盤に行っても全然複雑にならない。 色々とVRゲームやったんですけど、このゲームは空間の表現もトップクラスにいいですよね。屋外の環境もいいんですが、『ふと振り向いた時すぐそばに突き出た岩がある』とか『狭~い道を進んでいった先に、洞窟内で開けた大空洞がある』とかの方が”広さ”をめちゃくちゃ感じました。 

は:空間の表現、さきほどのステージ内の起承転結とも関わりますが、見せ方が本当に上手いですよね。ファミコンロボ(プレイヤー視点)がいる足場がグワーっと持ち上がって、それを追いかける形でアストロ君が下の方から登ってくる形になったりとか、そういった変化を織り交ぜてくれるからこそ、狭さ、広さ、暗さ、鮮やかさといった対比が効いているように思います。あと、忘れちゃいけないのがボス戦ですね。道中以上にかなり忠実に任天堂メソッドをなぞってる印象なんですが、アロハさんはどう思われますか? 

アロ:ボス戦!!!!!!本作の最大の長所の一つがボス戦だと思います。単純なゲーム的要素だけで言えば「ある程度避けてから三回殴れば勝ち」ということで任天堂作品だと思いますが、本作はゲームにおけるボス戦史のマイルストーンの一つだと思っています。良いボスの条件の一つに『単純にクソデカい』というのがあって、『巨大ボス』ってのはゲームハードのスペック向上と共に追及されてきた命題なんですね。
たとえばR-TYPE三面の画面を埋め尽くす巨大戦艦とか、God of WarⅡのロードス島の巨像とか、いわずもがなワンダと巨像とか、シリアスサムの単純にクソデカいラスボスとか。

本作のボスは、それらの象徴的ボスキャラに匹敵すると思います。だって単純に「見上げる」、物理的、肉体的に見上げるサイズなんですよ!相対的にこの程度の大きさのボスなら、それこそSCEのアクションだとラチェットやらジャック&ダクスターあたりでもごろごろいるでしょうけど、その実物を目の前に持ってくるとこれほどヤバいという発見ですよ!!!!これはyoutubeとかのトレイラーを見ても全く伝わらないのがもどかしすぎるんですよね。実際に被って体感してビビるしかない

は:なるほど! 確かに実際に見上げる必要があるということで、ボスの巨大さはめちゃめちゃ迫力がありましたよね。コミカルなテイストだから良かったですが、それこそワンダやGOWみたいな世界観に流用されたらちょっとビビってしまいそうです。ゲームとしても、その強大なボスに協力して立ち向かうといった感じで、共闘感が一層強くてどのボスも燃えましたね。

アロ:それまでのステージギミックとボス戦が直結してるということで、道中がボス戦のチュートリアルとなっているところも親切でしたね。あとボス戦でいうとラスボス戦も本当によかった。それまでの仕掛けが、更にグワッと拡張されて、それまでのゲームの仕組みを壊さずに、ラスボス戦限定でスケールが上がる、一番好きなタイプのラスボス戦でしたね。

は:あー! そうでしたそうでした。[ネタバレ 踏むと読めるよ]
とにかく、最後までグググッと盛り上がって終わるのも素晴らしかったですね。そろそろまとめましょうか。 

アロ:そうですね。といいつつ最後に一つだけ・・・!VRが良すぎて話題として後回しにされがちなんですが、音楽もめちゃくちゃ良い・・・!ボス戦が同じメロディで毎回アレンジが違うのも芸コマだし、樹上ステージのdiscotreeとかもの凄くノリノリな曲もあるから探し物ゲームなのにリプレイしてても毎回めちゃ楽しーんですよ・・・! 

は:ボス戦のアレンジは気づきませんでした! でも確かに同じステージを繰り返しても毎回楽しく遊べたのは音楽の良さも大きかったかもしれません。「良かった気がするけどあまり覚えていない」というのも、没頭できるゲームプレイと、その世界にマッチした音楽が両立できているからこそということで、ここはひとつ。 

まとめ

アロ:ということでまとめですが、本当に欠点なく丁寧に丁寧に構築された、3Dジャンプアクションゲームの到達点って感じですね。アプローチは全く異なりますが、スーパーマリオギャラクシー2に匹敵する唯一の作品って感じです。

は:僕も3Dマリオ最高傑作はマリギャラ2派なのですが、そこまで高評価とは…! 個人的な好みとしてはもっと尖った仕様のあるゲームが好きではあるものの、現時点でのPSVR最重要タイトルなのは間違いないと思います。アクションゲーマーはぜったいやりましょう。

おわりです 
隻狼 SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE編に続く 
次回を待て!


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