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若い頃の苦労は買ってでもして良かった?

高校を卒業して芸術系の短大に行くため京都へ。今から思うと、本当に何も考えてなかったなあ〜。ただ、ただ自由を求めて。きっと、私の父も母もこれを読む。先に謝っておこう...ごめんなさい。母からよく言われた、「あ〜あ、あんたの学費、ドブにお金を捨てたみたいなもんやなあ」と....そう言われても間違えではなかったのかもしれないし、そうでなかったのかもしれない....

うちの方針は、周りの学生を見回すと結構厳しい方だった。当時、ワンルームマンションに住む友達がほとんどだった中、私が住んだのは、京都の親戚のおばちゃんの近所、今でいうオシャレな古民家の6畳一間。(昔は、ただの古い下宿屋さん)そこはやたらと厳しいおばちゃんが大家さんで、時々見張っていてなんだかんだと怒られる。よく母はこんな条件のところをうまいこと見つけたもんやなあ...と今となっては感心する。男子禁制、電話は呼び出し。時間が来たら電話禁止、風呂なし、共同トイレで家賃 1万8000円。母から、お風呂は近所の100円のお風呂屋さんへ行くようにと指示。(当時、他の風呂屋さんは230円の時代)

初めて、この風呂屋に行った時にはビビッた。ゴールドネックレスをジャラジャラつけた、ゴールドヘアのいかついヤンキーのおばちゃんのいっぱい居るヤンキー風呂だった。ゴールドネックレスを3連&ゴールドブレスレットをつけた裸のおばちゃんらが、初めて来た私を頭のてっぺんから、足の先までジロジロと舐めるように見る。「だれやこれ」と露骨に言う人も...うっ...マジで怖い。でも、ここに来なければ他の風呂屋に行ったのでは、予算がオーバー。日々そのおばちゃんらの洗礼を受けつつ、通っているうちに少しずつ受け入れられていく感じがする。そして、ついにその日がきた!祇園祭に行くのに浴衣を着ようと、必死でアレヤコレヤとやっていると、いかついリーダー的なおばちゃんが声をかけてくれた。

「あんた、浴衣の着方も知らんのか、着せたるわ」

ここから、おばちゃん達が決定的に受け入れてくれた。それから、色々とおばちゃんたちは気さくに話しかけてくれるようになった。今から思い出しても、あんな風呂屋は珍しい。今もあるんかな....あったら、ちょっとまた行ってみたいな。ヤンキー風呂。

そして、1番鍛えられたのは、生活費月3万円。当時、友達や先輩、色々と下宿してる人たちにリサーチすると、だいたいみんな家賃とは別に10万円くらい仕送りをしてもらっていると言っていた。私の3万円の中には、食費はもちろん、風呂屋代も入ってる。毎月月末になると、財布の中は50円くらいになる。どうやってお金を使わずに遊ぶか。この工夫が、その後の私のワイルド人生に非常に役立った。母が、旦那と結婚する前に、「カナのいいところはね、お金がなくても大丈夫なところ」と笑いながら言っていた。いいところって、もっと他にないんかいな。そんな事、いちいちこれから結婚する旦那に言わんでもいいやん...と思ったけど...笑  

まあ、色々な意味でこの若い頃の苦労は非常にその後の人生に役立っている。

若い頃の苦労は、それが当たり前だと思ってるから苦労と思わないからいいのかもしれない。自分ではどうしても甘くなってしまうから、周りがちょっとしたチャレンジできる環境を与えてあげることが必要なのかもしれない。

私は、両親にとても感謝している。好きなことをいっぱいやらせてもらった。特に反対もされずに、色々な事にチャレンジさせてもらえた。だから、バカなことをいっぱいして、失敗も人の100倍くらいしたんじゃないかな。迷惑も人の何十倍も掛けたかもしれない。かもじゃなくて、掛けた。

そう、芸大の映像学科行ってその後に役立ったか?と聞かれるとNoかもしれない。

あの頃のMacは恐ろしく巨大なマシーンで、フロッピーディスクが1辺20cmくらいあった。そしてVHSの巨大なカメラを肩に担ぎ撮影し、恐ろしくアナログな編集をして作品を作っていた。その当時はこんなハイテクな時代になるなんて想像もできなかった。写真だって、暗室に引きこもって現像液の酸っぱい匂いにむせ返りながら写真を焼いていた。今の時代フォトショップを使えば簡単に写真だって加工できてしまう...時代の進化と共に学校で習ったことが全て古くなった。だから、当時学校で学んだことは、正直言ってびっくりするほどない...

だけど、本当に役立ったことがある。

その時に知り合った仲間や、色々なことを教えてくれた人たちが学校の中にも外にも、私の周りにたくさんいたこと。これが、私の生涯の宝になったことは間違いない。

甘やかされた環境の中では見えなかったかもしれない。その時に親切にしてくれた人や、厳しいことを言っても可愛がってくれた人たちの顔がいつでも浮かび上がってくる。そして、その人たちがしてくれたことを、私も同じようにできたらいいなといつも考えている。

なんか、書いてるうちに色々と思い出して楽しくなって来ちゃったな。幸せ気分でご飯でも食べようっと。

あっ、最後に、若い頃の苦労はして良かったよ。


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