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#本棚をさらし合おう 海を渡って帰ってきた本たち

先日の「#プレイリストを晒し合おう」に引き続き、あきらとさんのこちらの企画に参加させていただきます!

今回は本棚ではなく、選書スタイルでいきます。

テーマは「海を渡って日本へ帰ってきた本たち」です。
十代の頃、日本からアメリカへ渡った時に持って行った本たち。
そして大人になった私が日本へ持って帰ってきた、愛着のある本たちです。
その後、何度となく引っ越しをしましたが、彼らはいつも私の本棚に並んでいます。

・敦煌 - 井上靖
エキゾチックな舞台がなんとも魅力的な世界。
砂漠で風に吹かれる砂のように、運命に流されるままの主人公の生き様がなんとも印象的でした。

もしかして人々が憧れるのは「敦煌」のエキゾチックな世界ではなく、
主人公の生き様なのかもしれません。
運命に逆らわず、吹かれるまま。
しかし一つだけ、絶対に譲れないものがある。

彼の人生の全てを懸けて守ろうとしたものとは何か。
「死ぬことは恐れないが、それを失うことだけは怖い」と口にした主人公が守ったもの。
それが砂漠の中で1000年の間、誰にも知られることなく守られていたことに、深く感動しました。

・ニューロマンサー - ウィリアム・ギブスン
いわゆる「サイバーパンク」というジャンルです。
近未来の世界、都市の巨大化、国家という単位の崩壊(国籍のボーダーレス化)、サイバー空間の日常化、AIに支配されはじめる人類、などなど…、
今でこそ映画の中によくあるテーマですし、
とっくに現実となっているものもあります。

ただ、私が初めてこれを読んだのが1990年代前半でした。
そう考えると、今ある科学の進歩というのは誰かが予測した世界なのか、という無限のループ思考にはまってしまいます。


・移動祝祭日 - アーネスト・ヘミングウェイ
「武器よさらば」や「老人と海」に触れた上でこれを読むと非常に面白い。
ヘミングウェイの繊細で身近に感じられる人柄があふれ出ており、
なおかつ華やかでノスタルジックなパリの様子がよくわかるエッセイです。
フィッツジェラルドと旅をするエピソードは、こちらも好きな小説家なのでとても楽しく読みました。

一方で、ストイックに執筆するシーンが何度も登場し、
何か物を書く私たちにとって非常に刺激になる一冊だと思います。
(パリのカフェで執筆を終えて生ガキを食べるシーンが好きです。)

・CIPHER - 成田実名子
今でも一番好きな漫画です。
NYで暮らす高校生の双子の異常な日常。
80~90年代のアメリカの若者の生活がスタイリッシュに描かれている一方で、独特で鮮やかな人物描写が印象的です。

登場人物が完璧でなく、コンプレックスやトラウマを抱えてているのもこの作品の親しみやすいところ。
人は完璧な必要はなく、完璧であるわけがない、と感じます。

・リトル・ブッダ - ゴードン・マッギル
こちらも映画化されていますが、ダライ・ラマが転生したとされるアメリカの少年が父と共に初めて仏教に触れる物語と、仏陀の人生が並行して進んでいきます。

壮大な物語が穏やかな口調で語られ、仏教の成り立ちやそれを取り巻く世界を少しずつ知っていくことができます。

無宗教に近い私は、仏教をはじめ宗教を文化的対象として捉えることが多いのですが、この作品にはそれを越えて優しく語りかけてくれる部分があると思います。

・京極堂シリーズ - 京極夏彦
夢中になって読んだ「姑獲鳥の夏」「魍魎の匣」「絡新婦の宴」などなど・・・
とにかく小説としても、ストーリィとしてもかなり破天荒で読む度に衝撃を受けました。

「見えないものが見える」とはどういうことなのか。
科学的に、精神的に、両方の眼で見ることを知ったのがこの世界でした。

他にも
ポーの一族 - 萩尾望都
有閑倶楽部 - 一条ゆかり
東京ガールズブラボー - 岡崎京子
XXXX - 楠本まき
のような、一生手放せない名作漫画たちもあります。

時代も文化も一見バラバラなお気に入りの本たちですが、
私が変わっても本は変わらない。

そんな安心感がここにはあります。


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