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【企画】私を作り上げた本を読んでください「ドゥワッチャライク」

チェーンナーさんの企画「私を作り上げた本を読んでください」に参加します。
日本語教育業界のみんなで繋がって町を作ろう!
という素晴らしい動きの基礎工事編です。

チェーンナー先生も↓こちらの記事でおっしゃっているように、
本や音楽や映画の好みを知ると、距離がぐっと近くなる!と思います。

以前にもnoteの企画で、私の人生に深く関わった本について書いたことがありました。
「私を作り上げた本」となると、この中のどれか・・となるか?
否、今回は敢えて他の本を取り上げることにします。

それで、あれこれ考えてみたのですが
私に大きく影響した偉大な作品が一つ、ありました。

小沢健二さんの「ドゥワッチャライク」という作品です。

その昔、「個性派オシャレ」の代名詞だったOliveという雑誌に長期にわたって掲載されていたエッセイです。
残念ながら本として本屋には並んでいません。

その形は文章だったり、散文だったりポエムだったり、まったく型に捉われない自由なものでした。

内容としては、等身大というか、誰もが目にすることや触れることや思うことを見過ごさずに捉えて、言葉で表現されている。
文体は難しい言葉は一切使わず、気取らず、カッコつけず、でも気持ちのよい語彙の選び方で、たった一文なのに切り取って額に飾っておきたい言葉がたくさん埋まっている。そんなエッセイでした。

「ドゥワッチャライク」の連載タイトル(抜粋)
「美術館でも行くか、日光浴でもするか。」
「ご婦人の幸せ百貨店」
「断固パジャマを支持する・黙ってカニを食え」
「想像してみよう」
「疑ってみよう」
「お小遣いは少ない方が」
「「やばい」について」
「すかさずお茶を入れろ」
「チャーハンに換算すると」
「その一言がわからない」
「じっくり待ちなって」

私は中学生の頃から小沢さんの文体と題材に対する目の付け方に、それはそれは憧れてしまって、その頃から文章を書き始めたのですが、かなり影響を受けています。
それは、

「無駄な言葉は使わない」
「声に出した時に気持ちがいい並びにする」
「たまにくずした文体を入れる、敢えて」
「【すべての瞬間は美しい】---その瞬間を切り取って言葉にする」

きっと小沢さんのおかげで私は文を書くことが全く苦ではありませんでした。
自分が発した言葉を俯瞰的に見るようになったのもこの頃からです。
それって今の仕事(日本語教師)にかなり大きく影響しているのでは?
と、後付けながら思っています。

小沢健二さんはミュージシャンとして有名ですが、外国文学や民俗文化にも非常に造詣があり
現在も様々なところで作品を発表したり、朗読会をしたり、文学的な分野でも活躍されています。

少し話は変わって、
私が好きなアメリカ文学の研究者であり翻訳家である柴田元幸さん。
こちらも言葉選びや並べ方のセンスが素晴らしく、翻訳家というお仕事がただの翻訳ではないことを知りました。
そして、小沢さんは柴田さんの文学部での教え子だったことを最近知って、驚きと喜びと今世紀最大級の納得を覚えました。


#私を作り上げた本を読んでください

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