1on1の第3の難しさ

マネージャーになり1on1を”する側”になってすぐに、第1の壁にぶつかることになる。何を話していいか分からないというやつだ。
マネジメント業をデビューした直後はとりあえず1on1をしなきゃと無計画なまま予定だけおさえ会話がうまくできず後悔したり、「最近どう?」から始まり「特に何も」と返されどうにも盛り上がらない事態に危機感を覚えたりした。

ここで1on1のやり方が書かれた本を数冊読んで、『相互理解』『傾聴』『承認』『フィードバック』に始まり数々の技やフォーマットを知り、それらを実践しているうちにいつの間にか壁を乗り越えたような気持ちになる。

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第2の関門は、フォーマット通りに話すぎこちなさとの戦いだ。
「傾聴しなきゃ」「自分と相手の発言量を3:7にしなきゃ」などと考えすぎて質問攻めにしてしまったり、承認しなきゃと必死に褒めポイントを探してしまったりと、学んだフォーマットやテクニックに振り回されてぎこちない会話になってしまう失敗は僕同様に他のマネージャーもしていると思う。

そんな失敗を繰り返していると、1on1ではフォーマットやテクニックより対話を重視しようと思うようになる。まずは普通に会話として成立させ、テクニック集のアレコレはコミュニケーションの中に自然に織り交ぜようと意識が変わる。
僕もまさしくこれを意識していたことが、過去のnoteからも読み取れる。

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そして第3の難しさは、相手にとってどれだけ意味のある1on1をできているかを測る難しさだ。相手が主観的に1on1が役立ったと感じているか、もしくは客観的に1on1が役に立っているかを測る難しさ、と言うとより正確だ。

本やネットでは『1on1は部下のための時間』と書かれていたりして、それとセットでテクニック集が載っているので、上述したような傾聴だの承認だのしていれば部下のための時間になっていると思い込んでしまうのは…たぶんあるあるなんじゃないかな。僕も例に漏れずだ。

でもちょっと考えればわかることだけれど、一方的なテクニックの押し付けはときに要らぬお節介だし、傾聴が質問攻めに化けるような失敗も隣り合わせだ。何より、本当に相手のためを思っての行為なのか、それとも「良いマネージャーとして良い1on1をしたい」という自らのための行為なのかが怪しいことすらある。

テクニックも対話も心得て、真に相手のためを思っての1on1をしようと思うようになったとしても、まだ『部下のための時間』が成立しているとは限らない。相手が満足しているかは分からないし、相手の役に立っているかも分からない。これこそが第3の難しさだ。

今のところこれを乗り越える方法はないので、がんばって丁寧にコミュニケーション取り続けて少しでも正直な感想を相手からもらうしかないと思うけど、数年後には第4の難しさと向き合っているかも知れない。ひとまず定点記録ということで、2023年11月の僕の考え方をここに記す。

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