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スクラムに感じた歪さとスプリントの再考

今までいくつかのスクラムチームに携わってきた。開発者として、スクラムマスターとして、はたまたスクラムチームメンバーのエンジニアリングマネージャーとして。

何度実践しても腑に落ち切らなかったことが1つある。スプリントの長さだ。どのチームでも、どのプロダクトでも、自分たちにとって(比較的)適したスプリントの長さはこれだと言い切れたことが一度もなかった。

プロダクトバックログの分割しやすい粒度と、計画しやすい期間と、割り込みをロックしスプリントゴールへ邁進したい期間と、レトロスペクティブを開催したい頻度と、継続的にインクリメントをつくれる(つくりたい)期間と、その他諸々の折り合いがどうしてもつかないだ。パラメータが多すぎる。

最適解なんて存在しないとか、その都度実験と適応を繰り返しながら変化していけばいいとか、そういう話ではない。スプリントの長さをどう設定しても何らかのパラメータ(を軸に働いている人)が頭の片隅に引っかかり続ける状態から抜け出せないのが嫌なのだ。スプリントをスクラムの鼓動と呼ぶのなら、スクラムメンバー一人ひとり異なる鼓動を無理やり揃えようとしているような、そんな歪さを感じるのだ。

「結局さ、すべてのパラメータが適切に調節されたスプリントの長さなんて夢の中にしか存在しないんでしょ」

スプリントの長さをめぐる議論の締めくくりはだいたいこうなる。

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もしかしたらこの話には何か大きな間違いがあるのかもしれない。着眼点を変えれば最適なスプリントに出会えるのかもしれないし、工夫を凝らした先に隠しルートの道筋が見えるのかもしれない。

ただそんなスクラムドリームを目指すよりも、「1つのスプリントの中で決まったイベントを決まったタイミングで行う」というルールから抜け出すことのほうがよっぽど簡単だ。

スクラムガイドには叡智が詰まっていることだろうし、その真髄に僕が達していないことも理解しているが、それでも僕はスクラムというフレームワークを疑うこともしてみたい。スクラムの価値を受け取るにはフレームワークから外れてはならない、という思い込みに挑んでみたい。

とは言え、スクラムに用意されている各イベント自体はとても有効なものだと思っている。その頻度・タイミングを変えてみたいだけだ。スプリントの長さにこだわらず、イベント毎に、効果・快適さ・コストのバランスが丁度良くなる頻度を検討し、自分たちに合う開催サイクルを今後探っていきたい。
となるとスプリントの長さは何を基準に決めるかという議論にもなるので、それも併せて考えていきたいところだ。

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ここまでスクラムに懐疑的な考えを伝えてきたが、もちろんスクラムが嫌いなわけではない。むしろ今までスクラムを信じて試行錯誤してきたから気づけたことだと思うし、これを乗り越えればスクラムが効果的な選択肢だとより自信を持って言えるようになると思う。そうなる日を楽しみにしつつ、ちょうど良いイベントサイクルを引き続き模索していこうと思う。

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