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ナナメガキ

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まっすぐ向き合ってナナメに書き捨てる、エンジニアリングマネージャーの思いのたけ。ナナメ読みするくらいがちょうどいい。
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#チーム

僕が心理的安全性に代わって引き出したいもの

一時期から心理的安全性というものに懐疑的でいろいろ学んだり実践したりしてきたものの、やっぱりどこか腑に落ちない……。 そう思いながら長年過ごしてきたのだけれど、最近は自然と悩まなくなりました。僕にとってチームの心理的安全性とは結果として現れるものであって意図的につくるものではなくなったからです。代わりに僕がマネージャーとしてチームから引き出そうとしているものは自律性です。 チームメンバー一人ひとりが、チームとして高い成果を出し続けるために自発的に自身の活動をふりかえりアップ

スクラムマスターの壁 - 回復志向からの脱却

スクラムを始めたばかりのチームでのスクラムマスター業は"うまくいかない現状"との戦いだ。 それもそのはず。チーム内外問わず関わる人達のスクラムに対する理解度もモチベーションもまちまちだし、スクラムであろうがなかろうが従来のやり方からの変化には戸惑うのが当たり前なのだ。そういった精神状態のチームメンバーやステークホルダーと共に、プロダクト開発を進行しつつ(成果を継続的に出しつつ)、スクラムを確立させていくためのあらゆる支援をするのがスクラムマスターなのだ。うまくいかない状態をど

初めてスクラムマスター業をしたときにだけ味わう苦悩

初めてスクラムマスター業をやったとき、何からしていいか本当に分からなかった。あれこれ試して失敗した時期があれば、チームメンバーを失敗で振り回すのが怖くて何も試せない時期もあった。 本や有識者の記事を読み漁って、今の状況にちゃんと照らし合わせながら取捨選択して施策を打ったりもした。だけれど手応えがいまひとつで「なんだ机上の空論か」と愚痴ることもあった。 例えばチームビルディング的なアクティビティをしてみたり、レトロスペクティブにてもやもやを言語化してみたりすると、その時は盛

「あなたには向いていない」と伝える勇気

チームづくりをする上での僕の主なスタンスは『背中を押す』だ。具体的には、チームメンバーが何か行動を起こしたとき一番最初にフォロワーとなって、その行動が成功するように付き添う……といった具合だ。場合によっては軌道修正したり別の方向性を示したりするときもあるけれど、基本的には肯定して伴走することが多い。 僕が『背中押すおじさん』になりきれているのは、つまりそのスタイルでチームがちゃんと前進しているのは、チームメンバーが優秀だからなのは間違いない。伴走で事足りるなんて恵まれている

いいチームを目指す落とし穴

振り返ってみると、僕は知らずしらずのうちに「いいチーム」を目指していたのかもしれない。 ここで言う「いいチーム」とは、世の中で優れた成果を収めているチームが持つ要素を寄せ集めたチームのことだ。別の言葉で言い換えるなら「一見すると良さそうなチーム」だろうか。 僕が目指しているチームは良いプロダクトを作り続けられるチームであって、世の中の優れたチームの要素を寄せ集めたチームではない。かつて自律的なチームになるために失敗と学びの機会創出について考えたり、相互理解を紐解いたりした