#9 夢中にさせるジーンズ

このお話は私たち近畿大学山縣ゼミ生がアパレルブランド「オールユアーズ」をテーマに書き上げた「オールユアーズの物語」である。オールユアーズと様々な価値観を持つ一人ひとりの物語を紡ぎ出す。

今回は、「ハイキックジーンズ」を着て生活する大学生を描いた物語である。

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将来の自分を思い描きながら、己と向き合う毎日。
行き詰って思い悩む日が増えてきた私が、新しい趣味を見つけるなんて、、。


私は絶賛就職活動真っ只中の大学3年生、南 佑莉(みなみ ゆり)。
3年生最後のテストが終わって、3月解禁に向けて本格的に就活に取り組んでいる最中。

自己分析をして、説明会やインターンに参加して、早期選考の面接に進んで、また自己分析しての繰り返し。
日々新しい発見があって学ぶことはあるけど、ふと自分を見つめ直すと壁にぶつかることばっかり。

このご時世のこともあってずっと家にいるから、最近集中力が切れやすくなってきて、ストレスも簡単に溜まっちゃいそうな気がしている。

そうならないように時々自分へのご褒美と息抜きに、趣味のコーヒーを楽しんでいる。
私は好きなモノに対してこだわりが強いこともあって、必ず豆を挽くところから始める。
これが私にとって至福のひと時であり、小さな幸せを感じる場面なのだ。


ただ、たまには太陽の光もしっかり浴びないといけない。
浴びることでリフレッシュできるし、身体もスッキリするらしい。

そうだ、ちょっと離れたカフェにいこう。
そこで大好きなコーヒーを飲みながらESを仕上げよう。

カフェまでは自転車で20分ほど。
ちょうどいい具合の現実逃避と、身体のリセットができそうだ。

とりあえず漕ぎやすいジャージでも着ていこうかな、
と思ったけど、カフェにジャージは雰囲気が合わなさすぎる。
ということで、履きなれたジーンズにパーカーを合わせてみる。
このコーディネートを着ておけば問題ないだろう。

そうは言ってもカフェまでの道は坂だらけ。
とにかく起伏が激しいし、信号もほとんどないから安全だけど漕ぎっぱなし。
初めて自転車で行くから、不安が募るけど試しに頑張ってみよう!


いざ出発、そしていきなり坂道突入。
「しんどっ」と思わず何度も声に出す。
それもそのはず。ずっと家にいたから、運動不足ということもあってすぐに体力を奪われる。
想像以上に体力が消費されるから、リフレッシュじゃないみたい。

ってよくよく考えると、運動不足な私はジーンズを履いている。
でも、膝を曲げても伸ばしてもつっぱり感はない。
体力のことを考えているだけで、服に関しては何のストレスもなく夢中でペダルを漕いでいる。


家を出発してちょうど20分後、目的地のカフェに到着。

若干汗はかいたものの、まさにこれが私が求めていた爽快感。高校時代の部活の記憶が一瞬頭をよぎる。

気分転換できたところで、大好きなコーヒー片手にESでも書こう。
頭も身体もスッキリしているから余計にはかどりそうだ。

この爽快感を味わった瞬間、
週に一回はこの道を、このユニフォームで通ろうと決めた。

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〈この物語に登場したプロダクト〉


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