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友の会会員が選ぶ「別れと出会いの季節に贈りたい本」DAY.7

Masami Sakurai選:伊坂幸太郎『砂漠』

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会うは別れの始まりであるが故に、人はその都度一生懸命輝いて生きるべき

「別れと出会いの季節に贈りたい本」と言われて、改めて考えるとなかなか浮かばないものです。
私の少ない読書量の中から振り絞って思い出した一冊、伊坂幸太郎さんの「砂漠」を贈りたいと思います。

砂漠という比喩、サン・テグジュペリの本の引用もあり、読後はきっとその本も読みたくなるに違いありません。

読み始めは、何だか青臭い青春の群像劇かななどと思いながら読んでいました。
そもそも軽快な筆致で内容が面白くて途中で声を出して笑えるくらいなのでどんどん読み進めます。
麻雀をする場面も沢山出てきて、嗜まれる方には尚更共感出来る部分も多いかと思われます。
若者が繰り広げる物語は時に危なっかしく、大人が読むとハラハラしてしまいそうな部分もあり滑稽です。
最後の最後にグッとくる一言があり、コレは歳には関係なく普遍だなと思わせる箇所があるのです。

上のお題は少しばかりというか、かなりクサいお題にしてしまいましたが、この本の読後に感じた本音です。

まだ無責任に自分の事だけを考えて生きていた時代には、春と言えば何か物悲しく、それでいてワクワクするようなまさに霞がかったような季節でした。ですが、成人式の2回目も遥昔に終えて背負うべき物が多くなってしまった今となっては、あんまり好きな季節では無くなってきたような気がしています。

そんな私のようなダメな大人にも、もちろんこれから人生の新しい一歩を踏み出そうとするピカピカの君にもこの本を読んで「出会いと別れの季節」である春に何かしらを感じ取っていただけたら幸いです。

【この記事を書いた人】Masami Sakurai

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