豊崎由美「フーテンのトヨさんオンライン」スペシャル~友の会会員12のリクエストにこたえた本はこれだ~
「ALL REVIEWS 友の会」の特典番組「豊崎由美「フーテンのトヨさんオンライン」スペシャルが、2020年5月31日20:00~YouTube上で特別無料生放送されました。書評家の豊崎由美さんが香具師のように本を紹介しまくるリアル書店イベントがオンラインに登場。友の会会員のこんな本が読みたい本という12のリクエストに豊崎社長が答える特別企画、あなたの読みたい本もきっと見つかる!
①岸本佐知子のエッセイ
「憂鬱な日々を吹き飛ばす本」の答え。翻訳家の岸本佐知子さんには、初エッセイ集『気になる部分』、第23回講談社エッセイ賞を受賞した『ねにもつタイプ』など4冊のエッセイ集があるが、どれも素晴らしい。
例えば、『なんらかの事情』に収められている「物言う物」。デパートの便器に
「このトイレは、自動水洗です」
と話しかけられ驚き、そのうちに臓器もしゃべったらいいと想像し、でもそしたら、満員電車ではうるさくて仕方ないだろうと想像するラスト。
「胃に穴が開いています」「腸にポリープができています」「動脈が硬いです」「尿道に石があります」「肺が真っ黒です」「頭がおかしいです」「虫歯があります」「頭がおかしいです」。
この2回目の「頭がおかしいです」という表現が凄い。まだ岸本佐知子のエッセイを読んでいない人は今から4冊もエッセイが読めるなんて、本当に羨ましい。
②石川宗生『ホテル・アルカディア』
今年に入って出版された本の答え。石川宗生さんの2018年に出版された処女作品集『半分世界』も、素晴らしい。所収されている処女作『吉田同名』は、帰宅途中の吉田大輔氏が、住民1304人の町で19329名に増殖し…、という奇想天外な物語。シミュレーションが面白いだけでなく、世界文学を彷彿とさせるテクニカルな筆致。でも難解でなく、そして何より面白い。
石川宗生の新作が出るのを待ちくたびれていたが、やっと出たのが長編『ホテル・アルカディア』。ホテル〈アルカディア〉支配人のひとり娘プルデンシアが、コテージに閉じこもって出てこなくなったのが、物語の発端。そこに滞在する芸術家7人がプルデンシアをモチーフとした芸術作品を創り、7人はやがて、天岩戸に隠れた天照大神を外に誘いだそうとした八百万神のごとく、プルデンシアがこもっているコテージのそばで物語を朗読し始める…。とここからは「愛のアトラス」、「性のアトラス」とアトラスがつく章題のもと、一見関係なさそうな物語がからみあっていく…。
ネタばれになってしまうので、詳しいことは言えなが、この小説は過去の芸術作品のリスペクトに溢れており、本や絵画・映画が好きな人ならば、絶対元ネタを探したくなる。また、一つ一つのエピソードが中編小説になるくらい豊潤で、コストがかかっている本。それをよくぞ一作の長編にまとめてくれた、作家としての石川さんの志の高さに心を打たれる。
豊崎さんが好きな作家は「よく読む者はよく書く」というタイプで、石川さんは典型的な「よく読む者」。
③ケラリーノ・サンドロヴィッチ『祈りと怪物』
オススメの読む「戯曲」で日本の作家のもの日本の答え。芝居好きの豊崎由美さん、過去に野田秀樹や松尾スズキの戯曲の書評をしています。
今回紹介するのは、ケラリーノ・サンドロヴィッチの『祈りと怪物』。 サブタイトルは「ウィルヴィルの三姉妹」。公演のチラシにケラさんが寄せた言葉が「もしも、ガルシア・マルケスが『カラマーゾフの兄弟』のような物語を、姉妹に置き換えて書いたら?」。でも実際は三姉妹がカラマーゾフ的というより三姉妹をを取り巻く男性が「カラマーゾフの兄弟」のような性格を有している。この戯曲は群像劇で、独裁者と3人の娘、娘を取り巻く男性、独裁組織を打破したい地下組織の人物、超能力者などの沢山の人物が絡み合う。
ドミニカ共和国の独裁者トゥルヒーリョの人生を複眼的に描いたバルガス=リョサの『チボの狂宴』や、ガルシア=マルケスの『エレンディラ』、スタインベックの『二十日鼠と人間』にもつながり、またロシア文学に頻出するユロージヴイ(聖なる愚者)も出てくる。
海外文学好きなケラさんの海外文学の影響が見え隠れする大群像劇。戯曲を読むとともに、コロナがおさまったらぜひ劇場にも足を運んで欲しい。
④チェーホフの戯曲
オススメの読む戯曲で海外の作家は、の答え。海外の好きな戯曲作家は、テネシー・ウィリアムズ、サミュエル・ベケット、トム・ストッパード、マーティン・マクドナーなど沢山いる。でも一人を選ぶとなると、チェーホフ。チェーホフは短編集も素晴らしい。
カート・ヴォネガットは「人生について知るべきことは、すべてフョードル・ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の中にある」といったが、豊崎社長は「人生について知るべきことは、すべてチェーホフの中にある」と思う。
豊崎社長は戯曲を読むのも好き。小説を読む人でも戯曲は読まないという人もいるがもったいない。戯曲は会話の部分だけで成り立っていることが多いが、その分黙読で音読するという楽しみがある。脳内で配役を考えるのも良い。
なお、ハヤカワ演劇文庫でトム・ストッパードや別役実など、選りすぐりの作家の脚本が読めるので、ぜひこれを機会に読んで欲しい。
⑤カルロス・ バルマセーダ 『ブエノスアイレス食堂』
外出自粛やオンライン飲み会などで、体重がやばくなっている人のための「メシマズ小説」にたいする答え。
メシマズ小説といえばカニバリズム(人肉食)小説でしょうと、豊崎さん。カニバリズム小説には、村山槐多の『悪魔の舌』(傑作。青空文庫で読める!)、ノーベル賞作家莫言の『酒国』、スタンリイ・エリンの『特別料理』、ジェフ・ニコルスンの『食物連鎖』、デヴィッド・マドセンの『カニバリストの告白』など人気の題材だが、今回紹介するのは、カルロス・ バルマセーダ 『ブエノスアイレス食堂』。
『ブエノスアイレス食堂』の 冒頭は衝撃的。
セサル・ロンブローソが人間の肉をはじめて口にしたのは、生後七ヶ月のころだった。
セサルはなんど、母親の乳首を食いちぎり、その後ショック死した母親の肉を六日間にもわたって鼠たちと共有する場面は衝撃的だが、たった3ページ。その後は美食の場面に転じる。以下は前半の要約。
登場するのはイタリア移民の双子、ルチアーノ&ルドビーコ・カリオストロ。一九一一年、彼らがブエノスアイレスの南に位置する港町マル・デル・プラタで食堂を開き、大変な人気を博すも、病死したルチアーノの後を追ってルドビーコが拳銃自殺を遂げるまでが、コンデンスノベルといっていいほど駆け足で語られる。やがて第一次世界大戦が勃発し、双子の親戚であるシアンカリーニ一家と、双子の師匠にあたるシェフ、マッシモ・ロンブローソが食堂を引き継ぎ、やはり最高の料理を供することで人気店に。マッシモは双子が遺したレシピ集を『南海の料理指南書』というタイトルで本にまとめる。が、ファシスト政権下で苦しむ親類を助けるべく、シアンカリーニ一家は、マッシモの息子レンツォを愛している末娘のマリアだけを残してイタリアに帰国。やがて軍事クーデターが起き、社会主義に肩入れしていたマッシモは死刑になり、レンツォも拷問の後遺症で死んでしまう。マリアは義父と夫の才能を受け継いだ息子のフェデリコと共に店を再建。腕のいいドイツ人シェフ、ユルゲン・ベッカーと力を合わせ、再び食堂を人気店にする。が、ペロン政権が倒れると、大統領の妻エビータと縁のあった食堂は暴徒に放火され、燃え落ち、フェデリコとその妻は焼死。しかし、幼い孫のエドアルドを抱えたマリアはへこたれない。深い信頼の絆で結ばれたユルゲンと、また食堂を立ち上げるのだが──。
怒涛の展開だが、まだ、物語は半ば。そして、ここまで紹介されるレシピは31品。しかもおいしそう。さて、冒頭の衝撃の人肉ベイビーはエドアルドの息子として後半に登場。秘伝の書『南海の料理指南書』を発見し、天才を発揮するのだが、この171ページからは、「オエーッ」と「ウマーッ」が交錯する世界に。まさに、カニバリズム小説の金字塔。
⑥佐々木倫子『動物のお医者さん』、スティーヴン・キング『クージョ』
ケモノの名前をとった物語を教えてくださいの答え。豊崎さんは、あまり物語からペットの名前をとったことはないが、21年間生きた猫の「チョビ」は当時大人気だった『動物のお医者さん』からとった。
豊崎さんは犬を飼ったことはないが、犬を飼うことがあったら、つけたい名前が『クージョ』。映画のイメージはよくないが、原作は違う。原作は、クージョの生い立ちや、犬の悲しさも描かれている。犬を飼ったら「クージョ」と名付けたい。でも、呼ぶときは「クーちゃん」になりそうだけどとのこと。
⑦柴崎友香『かわうそ堀怪談見習い』
ホラー小説を読んでも怖い思いをしたことがない質問者の「オススメの怖い本」への答え。子どもの頃、怖い映画を見て夜驚症になるくらい怖がりだった豊崎さん。でも、物心ついてからは、映画や小説で怖いという思いはあまりしないそう。そんな豊崎さんがオススメするのは、柴崎友香の『かわうそ堀怪談見習い』。
主人公は恋愛小説家という肩書に違和感を覚え、怪談小説を書こうとした小説家だが、本人は、
幽霊は見えないし、そういう類いのできごとに遭遇したこともない。
この小説は短めの28章からなるのですが、最初はほんわかしたエピソードばかりで、「どうした柴崎友香」と思ってしまう。ところが、今まで書かれてきたことが、失われた記憶にまつわる恐怖譚の伏線とわかったときのぞっとする気持ち!小説のキーワードは「まだ、こっちに来ないの?」。
⑧高田大介『図書館の魔女』
「ハマっちゃってハマっちゃて寝食忘れて何時間もぶっ続けで読まされてしまう小説」の答え。豊崎さんはまずあらすじを紹介。
山賤(やまがつ)と呼ばれる民が暮らす鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトが、王宮の命により史上最古の図書館に暮らす〈高い塔の魔女〉マツリカに仕えることになる。が、古今東西の書物をひもとき、数多の言語を操って、その叡智で国を動かすがゆえに「魔女」と畏れられている人物は、自分の声を持たない少女だった。人並みはずれて耳が良く、里で手話を学んできたゆえに、すべての言語に通じ、相手の話をよく理解しながらも話すことができないマツリカの通訳として、彼女につき従うようになるキリヒト。〈私がお前の名前を呼ぶことはない〉、そんな冷たい言葉から始まった主従関係だったけれど、やがて、つないだ手の中で指を使って話す〈指話〉という方法を編み出した二人は、精神の深いレベルで互いのことを良く理解していくようになり──。
山賤という言葉がわからなかったら、ググってねと豊崎さん。作者の高田さんは言語学者。アレキサンドリア図書館、ペルガモンの図書館、アッシュールバニパルの図書館など、過去に存在した図書館に愛惜の念をうかがわせる設定。作者の教養を反映しながら、でもとても読みやすい小説。
この本が気に入ったら、次は『図書館の魔女 烏の伝言』も読んで欲しい。こちらの豊崎さんが解説を書いています。
⑨町田康『ギケイキ:千年の流転』
コロナ禍鬱を、吹き飛ばすような痛快な本に対する答え。豊崎さんはあまり時代小説が得意ではない。時代小説は、中途半端に「ござる、ござる」いっているイメージ。当時の話している本当の言葉で書かれると、読者である私たちはわからないから仕方ないのだが、豊崎さんは苦手。
町田康さんの『パンク侍、斬られて候』を読んだとき、こんな時代小説が読みたかったと豊崎さん。町田康は木下古栗と同じく「文学デストロイヤー」で、古典を前にしても、平然と横紙破りをする。
町田康は河出書房新社から出た日本文学全集(素晴らしい!)の『宇治拾遺物語』の現代語訳もしている。抱腹絶倒、人を熱狂させる現代語訳。
さて、『ギケイキ』は、「義経記」を下敷きにし、日本史上指折りのアイドルである義経を書いている。以下引用。
速いということは、普通の速度に生きる者にとってはそれだけで脅威。それだけで罪。けれども私にとってはおまえらのその遅さこそがスローモーションの劫罰、業苦。
短くも濃い義経の生涯を、一人称小説で痛快に書いていく。スピーディで簡潔で、パンクな文体。このギケイキはまだ完結していない。できれば一気読みしたいと豊崎社長。でも1巻だけ読んでも十分に面白いのでぜひ読んで欲しい。町田康の「義経は私だ!」という声が聞こえて来る。
➉多和田葉子『百年の散歩』
遠出ができないので近所を散歩する質問者、「日常の解像度が上がるオススメのフラヌール小説」をという質問に対する答え。豊崎さんはあまり散歩をしない。しかし、フラヌール小説、遊歩者小説は読む。
遊歩者小説といえば、有名なのはテジュ・コールの『オープン・シティ』、これはNYを歩く小説。
ここでは日本人作家から、多和田葉子さんの『百年の散歩』を紹介したい。ベルリンに実在する通りや広場を歩きながら、語り手は待ち合わせにやってこない「あの人」のことを思う話。章の名前が、カント通り、カール・マルクス通り、マルティン・ルター通り、レネー・シンテニス広場、ローザ・ルクセンブルク通り、プーシキン並木通り、リヒャルト・ワーグナー通り、コルヴィッツ通り、トゥホルスキー通り、マヤコフスキーリングと実在の地名となっている、
多和田葉子らしい言葉遊び、「いいまづがい」の多用(タクシーを楽しーなど)も面白い。「私」の視点で見るベルリンの街が魅力的。以下、引用。
負の世界に分け入っていくことの方が美味しいものを食べることよりも魅力的なのだった。そのせいで、みんなが避けるような店に入ったり、みんなに煙たがられるような人とスモーク・トークを交わしたりすることになる。
このような自由な視座を持つ語り手が、やがて愛しているはずの男の保守性を浮かびあがらせていく。読んでいくと、「こんな人が恋人なんて」と思うようになる。この恋人の保守性は、イギリスがEUを離脱するといった欧州の不穏な空気の暗喩なのか、読み手それぞれが思いをはせるのもよし。
実生活ではあまり歩かない豊崎さん。しかし、作家が歩く小説は好きだそうです。
⑪ドナ・タート『ゴールドフィンチ』
ものすごく長いけれども、読むのが苦痛にならない本に対する答え。豊崎社長は長い本を読むのが全く苦痛ではないので、自分が紹介する本が、果たして長編を読むことが苦痛な人に最適かどうかはわからない。
それを踏まえて、非常に長い、面白い小説として挙げるのがドナ・タートの『ゴールドフィンチ』。全4巻の長編です。ドナ・タートは1963年生まれ。92年、8年かけて完成させた『シークレット・ヒストリー』でデビューするや、アメリカ文壇を「天才現る!」と騒然とさせた人。日本でも翻訳が出たあと、ミステリー畑の人から大絶賛された。この小説は「ミステリー」というちっちゃな桶にいれておけないような器の大きな、ギリシャ神話クラスの大魚な小説。
タートは寡作で、今の時点での最新作は『ゴールドフィンチ』。以下、引用。
『ヘラルド・トリビューン』にぼくのことは載っていなくても、オランダのあらゆる新聞にはその記事が出ていた。(略)未解決殺人事件。犯人は不明。
〈ぼく〉が何らかの事件に関わって、逃げてきたことくらいはわかりますが、その詳細は一切語られないまま、物語は〈ぼく〉が13歳の時に経験した大きな出来事へとさかのぼっていく。大好きな母に連れられていった美術館で起きた爆破テロ。頭を強く打って朦朧となった〈ぼく〉は、死にかけている老人ウェルティから、レンブラントとフェルメールを結ぶ画家、ファブリティウスの「ごしきひわ」という名画を持ち出すよう頼まれ、それを実行に移す。母を失い孤児になったため、いったん裕福な友人宅に預けられ、亡くなったウェルティと共に骨董店を営んでいたホービーとも親しくなった〈ぼく〉は、少しずつ心の平安を取り戻していく。そこに、自分と母を捨て出奔してしまった父が現れて──。とここまでが第1巻。その後、ろくでなしの父親によってニューヨークからラスベガスへと連れられていく〈ぼく〉がその後どんな人生を送るのか。
第1巻に謎が多く仕組まれており、読み出したら止まらない。また、表現力も素晴らしい。ジャンル小説の人が使いがちなクリシェとかがなく、訳文で読んでも文章が素晴らしい。今、文庫で読めるとしたら、持ち運びもできるし、ぜひ読んで欲しい。
⑫フィリップ・プルマン『黄金の羅針盤』、クリストファー・ヒーリー『プリンス同盟 プリンス・チャーミングと呼ばれた王子たち』
最後にして、最も難しい、会員からのリクエスト。「『鬼滅の刃』のコミックをどんどん読んでしまうような小学1年生女子。次に興味をもってくれそうな、ジャンプっぽい(キャラがたっているとか、目的がはっきりしているような?)、小説って何かおすすめありそうでしょうか?」
豊崎さんは仕事柄、小学生に読ませたい本について聞かれることが多いそうです。でも難しい。子どもは大人以上に快楽に身を任せたい。その子にあわない本をオススメして、その子が本が嫌いになるのが怖い。豊崎さんが本を好きなのは、小さいころ面白い本を読んできたから。
豊崎さんはまずは、『鬼滅の刃』が好きなのであれば、まずはマンガを読んでいけばいいといいます。マンガもいろいろなものがたくさんある。ちなみに豊崎さんも『鬼滅の刃』を20巻まで、ダウンロードして読んでいます。
それを踏まえて、小学1年生には少し難しいかもしれないけど、「ライラの冒険」シリーズを推薦したい。
『黄金の羅針盤』の舞台となるのは〈われわれの世界と似た世界であるが、多くの点で異なる〉世界。その最大のちがいが、ダイモンの存在です。ダイモンとは人間についている守護精霊。人間とダイモンは話をすることができるばかりか、遠く離されてしまうと互いに身を引き裂かれるような苦痛を覚えるほど心が通いあっている、一生を通じての相棒なんです。われらが主人公ライラの相棒の名はパンタライモン、通称パン。お転婆ガキ大将のライラと、ちょっと臆病だけど頭の回転の早いパンのコンビに、のっけから魅了されること間違いなしのシリーズ1作目なんです。
もう1冊、ツイッターでオススメしたところ、小学生のお子さんが「人生で一番面白かった本」と喜んでくれた一冊『プリンス同盟 プリンス・チャーミングと呼ばれた王子たち』。
ディズニーに出てくるおとぎ話では、プリンスは刺身のツマのような扱い。その脇役のプリンス達を主人公に据えたお話です。物語は、冒険好きなシンデレラ(エラ)に愛想を尽かされた、オシャレとダンスが得意なフレデリック。ラプンツェルに助けられた顛末が気にくわない、英雄志向の強い乱暴者グスタフ。目覚めさせたはいいけれど、性格極悪だった眠り姫(ブライア・ローズ)との結婚を避けるため国から脱出するリーアム。自分のことを魔法のラッキーパワーの持ち主と信じている、白雪姫(スノー・ホワイト)と相思相愛の不思議ちゃんキャラ、ダンカン。この4人ががめぐり逢い、同盟を作り冒険をしていく、でもみんな我が強く、ちっともチームワークができていかないという、抱腹絶倒の物語。お子さんにも、大人にも楽しい物語です。
最後に~地方書店の方々へ
「フーテンのトヨさん」は書店で、3時間で100冊程度を売るイベントとなっています。これは、豊崎さんが書店に立ち、お客さんのリクエストに答えていろいろな本を推薦し、推薦された人は、それならばと本を買うから。書店でこのイベントを開催したい方は、豊崎さんにご連絡を。基本は交通費を負担いただければ、馳せ参ずるそうです。
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ドラえもんのワッペンがりりしい豊崎さん。1時間半みっちり、仕事場から話していただきました。
個人的には、「豊崎社長は『鬼滅の刃』も読んでいる」というのがツボでした。『鬼滅の刃』からドナ・タートまで読んでいる豊崎社長。豊崎さんの「読書の筋力の強さ」を改めて感じました。
【この記事を書いた人】くるくる
【「ALL REVIEWS 友の会」とは】
書評アーカイブサイトALL REVIEWSのファンクラブ。「進みながら強くなる」を合言葉に、右肩下がりの出版業界を「書評を切り口にしてどう盛り上げていけるか」を考えて行動したり(しなかったり)する、ゆるい集まりです。
入会すると、日本を代表する書評家、鹿島茂さんと豊崎由美さんのお二人がパーソナリティーをつとめる、書評YouTube番組を視聴できます。
友の会会員同士の交流は、FacebookグループやSlackで、また、Twitter/noteで、会員有志が読書好きにうれしい情報を日々発信しています。
友の会会員の立案企画として「書評家と行く書店ツアー」も、フランスのコミック<バンド・デシネ>をテーマとしたレアなトークイベントや、関西エリアでの出張イベント等が、続々と実現しています。リアルでの交流スペースの創出や、出版の構想も。
本が読まれない時代を嘆くだけではダメだと思う方、ぜひご参加ください!
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