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自分の視点で探す素敵な撮影スポットの見つけ方

素敵な撮影スポットってそもそもどんなところ?

私にとって素敵な撮影スポットは特別などこかではなく、身近な場所なんです。

たとえば、このまえ普通に歩いていたら、日当たりのいい場所でごろんと無防備に、でも気持ちよさそうに猫が寝ていて、きれいに光が当たっていて、車がブロォォォォ……と通り過ぎる音がしていたんです。それはいいシーンで、もう一生懸命撮りました。

ただそこにあって、誰かが意識的無意識的にかけてきた何かの時間がうまい具合に折り重なって、自然とも調和している……そんな場所をいつも探しています。そのイメージと出会えた場所が、私にとっての“素敵な撮影スポット”です。

この記事の写真のような場所がそうですね。

この写真は光の落ち方が絶妙で、地面のうねうねしている感じと木の佇まいのバランスが見事なんです。普通に歩いていると「きれいな木立だな~」で通り過ぎてしまいますが、光と場所が調和した何かを探していると、見つけられる場所です。

何を起点に撮るか

私の写真は暮らしと密接に結びついているので、「あ、いいな」と心が動いたときに撮っているというか。写真家じゃなくても、みなさんスマホで「ちょっといいな」と思ったら写真をパシャパシャ撮りますよね。あの感覚と同じで、私の場合、それがスマホではなく一眼レフなだけ。

前回の記事でも書いたのですが、「よりよく生きたい」「毎日を大事にしたい」という想いを大切にしたくて、日々のなかの“きらめき”を見つけて撮っています。とはいえ、イメージだけではわかりにくいので、少し具体的に説明してみます。

撮影スポットの探し方には、ふたつの視点があると思ってます。

・よく知っている地域での探し方
・旅行先などのよく知らない地域での探し方

よく知っている地域での探し方

私の場合、「あの駅で降りてみようかな」「あの場所を歩いてみようかな」と、車や電車で通りすがりに見かけて気になった場所や景色が多いです。

豊平川(札幌市)はみんながのんびり過ごしていて気持ちよさそうだなと思って、3~4時間歩いたりします。目当てのものもないし、川や橋があるだけですが、人が生活している雰囲気を感じられるので、それを撮るのが楽しくて。

いつも歩く身近な場所では、脳が見慣れた景色だと思い込んでいるので、思い込みを外し、初めて見るような気持ちで向き合い、面白がってよく見ます。メイン通りを歩いているなら、横道に逸れてみたり、光が射す場所に向かって通りを曲がったり。

「カメラの思春期」は通過点

「近所で写真を撮るのは、人の目が気になって恥ずかしい」と思う方もいると思いますが、北海道カメラ女子の会のスタッフであるTさんが言ってたんです。それは「カメラの思春期を終えていない」んですって(!)。

大人になって振り返れば、思春期の頃に気になったあれこれは「あなたが気にしてるソレ、誰も気にしてないよ」と自意識過剰だったとわかりますが、思春期真っただ中には気づけません。

「近所で写真を撮るのは恥ずかしい」と思うのも同じで、近所の方は私やあなたに思ったほど注目していません(笑)。それはカメラの思春期です。いつか終わるので、通り過ぎるのを待ちながら近所でもパシャパシャ撮りましょう。

ただし、気をつけたいのは人にカメラを向けないことです。花や緑を撮るのは問題ありませんが、見知らぬ人にカメラを向けられて気分のいい方はいませんので、そこは気をつけたいところです。

知らない地域で探し方

よく知らない地域に撮影で行く場合は、土地のリサーチから始めます。

少し調べたら、有名な観光地や撮影地はすぐわかりますが、それだけでは物足りない。だから、Googleマップで気になる地域名があれば、とことん調べます。どんな場所で、どんなものがあって、どんな風景なのか、とか。

Googleマップには訪れた人の写真や口コミがあるので、気になるものがあればピンをマップに立てて、「地名+行きたいところリスト」でリストを保存します。リストには人に聞いた気になるカフェやレストランも一緒に入れておきます。実際に出かけるとなったとき、このリストをもとにすると行動しやすくなるので。

観光旅行で出かけるときは、綿密な計画はいらないので、頭の中で「こことあそこに行こう」とふわっとしたイメージをもって出かけます。

撮影旅行の場合は(私の場合は旅行のほとんどがこれ)、撮影を予定している日の天気を随時確認しながら、撮りたいものが撮りたい天気で撮れるかどうかを見て、しっかり行動計画を立てます。場所や季節によって光の強さが違うので、天気のチェックは欠かせません。

撮影するときの交通手段

細かくよく見ながら歩きたいので、目的地に着いたら基本的に徒歩で移動します。以前撮影で長崎に行ったときも、気づくと1日で13キロぐらい歩いていました。坂の住宅街は眺めていて飽きないし、面白くて、坂を上ったり下りたりしながらあちこち見て歩きました。猫もたくさんいてかわいかったです。

ねこ!

写真を撮ろうと思って出かけると、1か所での滞在時間が長く、最低でも2~3時間はあちこち見て回ります。夢中になりすぎて朝から晩までいることもあります。普通に旅行ならひとところにこれほど長時間滞在しませんが、カメラがあるからゆったりできるんですよね。

ファインダーを覗いたり、カメラを下ろしたりの連続で、ぶらぶら歩いて気になる方向を見つけたら、気が向くままに歩く。時間の流れで光の加減や街の表情が変わるのも楽しいですし。

撮影しながら地元の方とすれ違ったり遭遇したときは、「こんにちは」と挨拶することを大切にしています。山道を歩くときにすれ違いざまに挨拶するマナーがありますが、それと同じです。

私はみなさんの日常にお邪魔して撮らせてもらっていますし、見知らぬ人が近所を2~3時間もぶらぶらしていたら不安に思いますよね。ですので、お声がけして、その場所が素敵だから撮りたいこと、どんな点に心惹かれたかを挨拶の延長でお話しすると、不審者ではないと安心していただけますし、おしゃべりが弾むこともあります。

余談ですが、現地で出会った方としたお話や撮影時に気になったことはメモに取っていて、データで管理しています。撮影時の背景やエピソードが確認できますし、講座やセミナーでみなさんと共有する楽しみもあります。

撮影するときの持ち物

持ち物は撮りたいものによって決めています。いちばん大事なのはレンズです。撮りたいものに合わせて選びますが、「このレンズ最近使ってないから今日はこれで撮ろう」という選び方をする日もあります。

撮影時の持ち物リスト(標準)
・カメラ
・レンズ
・メモリーカード(余分にもっていく)
・予備バッテリー
・ブロワー
・レンズペン
★めちゃくちゃ歩きやすくて疲れにくい靴で出かけます!

日帰りで撮影に出かけるときは、小さなレンズ1本とカメラ、バッテリーとメモリーカードだけの超ミニマムな荷物のときもあります。

メモリーカードは足りなくなって困らないように、いつも余分に持っていきます。値段はピンキリですが、いいものを買ったほうがいいと写真教室の生徒さんにはお話ししています。書き込み速度が速いものにしないと、撮りたい写真が撮れないこともあります。

繰り返し訪れる撮影スポット

さて、最後に繰り返し訪れるお気に入りの撮影スポットについても触れたいと思います。アトリエに行く途中にある、なんでもない街の一角です。その建物のところだけ草や花が生えていて、四季折々の表情を見せてくれる場所です。

写真を撮り始めると素敵な撮影スポットを求めて「絶景」に心惹かれる方が多いのですが、いきなりすごいことをやろう、すごい写真を撮ろうと思うと続きません。まずは近くの公園や身近な観光地で撮ってみることをおすすめしています。

お菓子作りをしようと思ったとき、初めて作るのがいちごのショートケーキだと、いきなり難易度が高いですよね。絶景を撮りに行くのは、それに近い感覚があると思います。

まずは誰でも上手に作れるアイスボックスクッキーから始めて、小麦粉やオーブンの扱いに慣れてきたらスポンジケーキを焼いてみようぐらいのスタンスで始めたほうが、お菓子作りはうまくいきやすい。カメラも同じで、身近な場所でじっくりに向き合い、自分の心が動いた瞬間に撮り、撮り続けるうちに自分らしいテーマや好きなものがわかってきます。

その段階も味わい、楽しんでいただきたいですし、その過程の中で、それぞれの方にとっての素敵な撮影スポットがどんな場所なのか、自然と浮かび上がってくると私は思っています。

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