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気流をAIが予測!ANAと慶應大学の研究が学会で優秀賞を受賞

ANAグループと慶應義塾大学は、過去の乱気流の発生情報と気象のデータをAIに学習させることで、その発生を予測するシステムを開発し、その研究が今年度の人工知能学会全国大会で優秀賞を受賞しました。

ANAグループと慶應義塾大学の宮本佳明准教授は2019年から過去の乱気流の発生情報と気象のデータをAIに学習させ、その発生を予測するシステムの開発を行なっています

2020年からは段階的に現場での試験運用を続けていて、今年度からはANAのすべての国内線のパイロットが運用できるようにしています。

ANAグループと慶應義塾大学は、この研究を今年度の人工知能学会全国大会で発表し、これが優秀賞を受賞しました。


乱気流は地球温暖化の影響などでこの40年で発生数が15%増えていると言われ、過去には乗客が重傷を負うなど大きな事故も起きています。

今回の予測方法は数百キロ四方の気象データと過去10年間に起きた乱気流の発生状況を大量にAIに学習させることで、これまでの予測方法より2.7倍、発生を当てる確率が上がりました。

ANAグループは、今後、さらに学習させるデータの種類を増やすとともに国内だけではなく海外のデータの解析も行うことで事故の防止などに役立てることにしています。

ANAホールディングス グループ経営戦略室事業管理部
松本 紋子さん
「宮本先生と2人体制で開始した本共同研究ですが、途中からグループ会社の有志メンバーを巻き込んで進めることができ、それが成功の鍵だったと感じています。
大学と連携しながらも自社グループで試行錯誤しながら開発したことでシステム開発側とユーザーを密に連携することができ、人材育成という観点でも非常に良い機会だったと思います。今後もこのような機会を積極的に構築していきたいと考えています」

ANAシステムズ データソリューション&サービス部
村上 百合さん
「実際に使えるシステムとして開発してきたので、学術的な評価を受けられて嬉しかったです。
数値的にも精度が上がりましたが、実際に現場で運用しているパイロットからAIと自分の経験に基づく予測結果がすごく近いという意見が上げられてきたのもとても嬉しかったです」

ANAシステムズ データソリューション&サービス部
岸 宏行さん
「ANAという会社で行ってきたことが学会で評価されたというのはこれまであまりなかったことなのでとても嬉しい。こうしたシステムを積極的に開発することで安全につながればと思います」

人工知能学会での参加者の集合写真