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味噌汁とトライアンドエラー

日本に生まれて良かったなあと思うことのひとつに白米と味噌汁の存在がある。

味噌汁。
簡単に作れるし、ほぼ無限のバリエーションが生み出せるし、好きな具材も嫌いな野菜も、とりあえず煮て味噌を溶けば成立する、そのけっこう強引な寛容さが面白くて頼もしい。料理から何から面倒くさがる私にはうってつけである。
豆腐と冷凍野菜があると味噌汁作りが体感3倍くらい楽になる。切って入れるだけでいいし(冷凍野菜に至っては切らなくていいものも多いし)、煮えたかどうかを気にしないでもいい。カットわかめも大事な仲間である。

一度出汁を入れずに味噌汁を作って本当に反省したことがある。
出汁のない味噌汁は、なんとも味が無いのだ。
味噌の色も付いているし香りもするのに、何故だか味が無い。
そんなの顆粒だしでも後入れしなよと今なら言えるが、その時は「出汁がないからおいしくない」という理屈に気付くことができず、おいしくないなと途方に暮れるのみだった。

そんな私も、味噌汁で手の抜き方を知ったと言っても過言ではない。
火の通る切り方、長く煮なくてもいい食材、おいしい味噌の分量。「最低限これだけすれば大丈夫」を、たくさん覚えた。
それが時々他の料理にも活きることがあり、結果的に料理スキルの習得に一役買ったようなものでもある。

人と味噌汁談義をするのも楽しい。
好きな具材と味噌の種類は思った以上に幅がある。地域性も出る。私はキャベツと油揚げの味噌汁が好きだ。豆腐となめこもおいしい。もはや味噌が馴染めばなんでもおいしい。言い過ぎだけど。

日々、さくっと作ったはずのご飯がどうにもおいしくて、それだけでひどく幸せだと思う。
それに気付けたのは、味噌汁のおかげなのかもしれない。

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