ごはんがおいしいだけでいい理由
食べ物の味がしなかった頃の話をする。
高校に上がった矢先、新しい環境に馴染めず転学を決断し、心療内科に通いながら人生全てがどうでもよくなった。
大仰な診断こそ下されなかったものの、ここが人生のどん詰まりかくらいのことは考えていたと思う。目が覚めて、絵を描くかゲームをするかして、気づいたら日が暮れているので、また何か腹に入れて、携帯を眺めて、気づいたら寝ている。知らぬ間に1日が終わり、1週間が終わり、1ヶ月が終わる。生活と呼ぶにはあまりにも内容のない日々が流れていた。
それは