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ハートは伝わる。

先生として働いて18年目になります。もうそんなに経ったのかと思います。初任の時に指導してくださっていた先輩が、「本気でないと見破られるのよ。」と話してくれたことがあります。教師が本気で向き合わないと、子どもたちは聞かないし、本気にならないとのことでした。教師の思っている事は、自然と見透かされてしまうとのことでした。

小学校の担任は、朝の登校時から、下校の時まで、ほとんどの時間を一緒に過ごします。確かに私も担任をしていた時は、1年間ほぼ毎日、自分の子と過ごす時間より長く、担任する子どもたちと一緒にいました。教師が子どもたちの心の動きがわかってくるように、子どもたちも先生の心の中がよくわかってくるのだと思います。

先日、3年生の児童が外国語活動の授業でふざけることがありました。外国語活動は、3年生から始まるので、4月、5月はみんな緊張した面持ちで、授業に参加していました。しかし、その日、その子は集中できない様子でした。開始早々、大きな声で授業に関係のない話をしていました。何度か声をかけましたが、切り替える事は難しく、反抗的な言葉を言っていました。

私は、「先生は、〇〇くんのこと、2年生の時から知っていて、一緒に英語の勉強をするのを楽しみにしていたんだよ。〇〇くんにも、英語を上手になってほしいと思っているし、〇〇くんなら上手になれると思うから、ちゃんと頑張ってほしい。」と伝えました。

その子は、我に返ったように周りを見渡し、少しはにかんだ後、いつもの可愛らしい表情になりました。それからの彼は、英語を聞く時など、「みんな、静かにー!」「ちゃんと聞いて!」などと、全体に声をかけてくれるようになりました。

私は、その子のことをその子が2年生の頃から知っていました。なぜなら、廊下で厳しく指導されている姿を何度か見かけていたからです。「まだ2年生なのに。きっと何か言い分もあったんじゃないかな。元気出してね。」といった思いで、目をやると、私の視線に気が付き、誰だろうといった表情で私の顔を見たことがありました。その後、教室の前を通りかかる際に「誰のお母さん?」「何年生の先生なの?」と質問され会話をしました。次第に、教室の前を通る私の姿に気がついてくれるようになりました。私が「がんばってね」と口を動かすと、大きく頷き返してくれていました。

過去にこのような小さな積み重ねがあったから、私のその子に対する思いが、本当であると伝わったんだと思います。


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