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バリアケア??ライスパワーエキスってなに?

いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイトを運営しております。

今回は厚生労働省より
医薬部外品の有効成分として認められた
バリアケアの商品について成分も含めて
勉強しようと思います。

1.バリアケアとは

バリアケアは
毎日の入浴から手軽に肌バリアを見直す
トラブル肌の方のためのブランド
です。

バリアケアの商品には
ライスパワーエキス
呼ばれる成分が含まれています

ライスパワーエキスとは
その名の通り、発酵技術によって
「お米」から生み出された天然のエキスです。

ライスパワーエキスは36種類あり
No.1-D、No.6、No.11
医薬部外品の有効性成分として
厚生労働省から認められています。

今回は4つの商品について
試験結果も添えて見ていきましょう。

2.スキンケア入浴液(No.1-D)

入浴液入りの湯船につかり軽くこするだけで
身体の汚れを落としますと言われています。

そのため
皮膚のバリアを壊すことなく
汚れを落とせます。

この入浴液に含まれている
ライスパワNo.1-Dの試験から
温浴・スキンケア効果を示しています。

試験データ
■被験者:アトピー性皮膚炎患者48名(0~42歳)
■方法:ライスパワーNo.1-D配合入浴液を1日1回(5~10分間)4週間連用
■評価方法:皮膚科専門医による皮膚所見

ドライスキンに対する有用性は
高い結果が得られています。

湯船につかるだけというのが
この製品の特長となっていそうです。

ゴシゴシこすることによる
皮膚へのダメージが出ない
よう
工夫がされていますね。

3.透明石けん(No.3)

ライスパワーNo.3は洗うだけで
表⽪を健全化する作⽤を持ち
界⾯活性剤による細胞傷害を緩和して
洗浄時のバリア破壊から⽪膚を保護する
素材とされています。

洗浄後の即時⽔分保持能増⼤効果
■被験者:5名
■被験部位:前腕内側
■⽅法:洗浄前の⽔分保持能を測定後、
それぞれの群で肌を洗浄した120分後に
洗浄部位の⽔保持能を測定

ベースには何も成分は入っておらず
No.3配合エキス入り使用時では、もとの肌の
1.5倍の水分保持結果が得られています。

界⾯活性剤による経表⽪⽔分蒸散量上昇に対する抑制効果
■被験者:10名
■被験部位:前腕内側
■⽅法:ドデシル硫酸ナトリウム(SDS・界⾯活性剤)に
ライスパワーNo.3もしくは
⽔を添加したサンプルを2時間閉塞塗布
開始前、開放1時間後および翌⽇に
経表⽪⽔分蒸散量(TEWL)を測定

TWEL値は皮膚バリア機能
評価するために広く用いられます。

1時間後はもちろんのこと
翌日まで皮膚バリア機能へ
影響が出ていますね。

4.インバスミルク(No.7)

表⽪の健全化、⽪脂分泌を促進する
効果により表⽪の乾燥を改善すると
言われています。

即時⽔分保持能増⼤効果
■被験者:8名(ボディについて乾燥肌の⾃覚のある)
■被験部:前腕内側
■サンプル:⽔、尿素、ヘパリン類似物質、ライスパワーNo.7
■測定⽅法:初期値を測定
サンプルを塗布し、15分おいて洗浄
洗浄60分後の⽔分保持能を測定

市販で最も使われている
ヘパリンで効果がほとんど出ていないのは
気になりますね。

この試験では塗布量の記載等はないため
背景も気になります。
試験の前提を疑う必要があります。

⽪脂分泌促進効果
■被験者:18名
■⽅法:脂取紙法
■評価⽅法:顔⾯に塗布し、塗布前後の⽪脂量を測定

皮脂の役割としては
肌の保護、抗菌、保護作用があり
肌からの水分蒸発も抑制
します。

皮脂の過剰分泌は
かえってニキビの原因ともなること
おさえていかなければいけませんね。

5.薬用ボディクリーム(No.11)

ライスパワーNo.11
米のみを原料に開発した
皮膚水分保持能の改善(バリア機能改善)効果を持つ
世界で初めての素材だそうです。

水分保持能の改善効果
■被験者:15名
■被験部位:前腕内側
■方法:サンプルを毎日2回継続塗布
開始前、塗布開始2および4週間後の皮膚水分保持能を測定

セラミドの増大効果
■被験者:10名
■被験部位:前腕内側
■方法:5%ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)で人工荒れ肌をつくり、アセトン・エーテル混合溶媒で細胞間脂質を抽出
ライスパワーNo.11もしくはプラセボを1週間使用し、含有されているセラミドの総量を測定

セラミドはバリア機能の維持
肌の潤いのためにも大切です。

1週間で1.4倍も増大する結果が
得られています。

保湿剤は洗うと失われてしまうのに対して
No.11は肌そのものに働きかけて
肌の生まれる場所(基底層)にまで浸透し
ターンオーバーを整える
ようです。

6.いつき博士の考察

今回のバリアケアの試験結果は
皮膚のバリア機能への影響を
示すためのデータとなっており、
下記2つの示唆が得られています。


①各データにおいて被検者が少数

医療用医薬品のデータと比べると
対象人数が少ない点は気になりますね。

3桁程の被検者で行っていたら
結果への信憑性も
より高まっていたでしょう。


②皮膚機能は上がっている結果

対象人数は少ないものの
試験結果としては水分保持能の他
皮脂、セラミドの増大
にも
影響を示していました。

背景は別として試験結果のみを見ると
皮膚バリア機能の増大は認められていましたね。

医療用医薬品としては承認されていない成分でも
まだまだ世の中には良い成分を持つ
商品がありますね。

今後は市販の薬も勉強していきます!

《参考文献》
バリアケア
https://www.barriercare.com/
ライスパワー研究所
https://www.tennen-ken.org/