【アトピー性皮膚炎】モイゼルト軟膏って子供でも使えるの?
いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイトを運営しております。
今回はモイゼルト軟膏の
小児に対する試験について
解説していこうと思います。
モイゼルト軟膏について
詳しく知りたい方は
よろしければ下記からご覧下さい。
1.小児を対象とした国内第Ⅲ相試験
1-1.試験デザイン
今回の試験では
モイゼルトとプラセボを比較して
有効性と安全性を評価しています。
<試験デザイン>
多施設共同、無作為化、二重盲検
基剤対照、並行群間比較
2~14歳の軽症から中等症の
アトピー性皮膚炎患者(IGAスコア 2 or 3)
罹病範囲(頭皮除く)が
体表面積の5~40%の患者 251例
のうち
モイゼルト軟膏0.3%群:83例
モイゼルト軟膏1%群:85例
プラセボ群:83例
に分けて比較検討しています。
今回は小児で使用可能な
0.3%製剤も含めた試験となっています。
小児の患者さんが
1%製剤を使用できるか?
今回の試験でわかりそうですね。
1-2.試験結果-1(有効性)
有効性では
EASI変化率、IGAスコア
痒みのVRS、POEM等
で評価します。
今回は小児を対象にした試験ですが
成人を対象とした試験では
モイゼルト軟膏1%群のIGA反応率が
38.46%と、本試験より低い数字でした。
患者背景等もあり
一概には比較はできませんが
成人の試験より
プラセボと製剤の差が
有意に出ている結果に見えますね。
モイゼルト軟膏0.3%と1%で
有効性にそこまで差があるとは言い難いですね。
次はグラフでも確認してみましょう。
どちらの製剤も1日目から
痒みのスコア減少の結果が
すぐに得られており
4週目では倍以上プラセボとの有意差があり
効果も持続できていますね。
アトピー性皮膚炎治療で
重要となるQOLの向上も
プラセボと比較して
有意に差が出ている結果ですね。
有効性に関して
主観、客観、QOLと
様々な評価ポイントから
モイゼルトに有効性があると評価していますね。
1-3.試験結果-2(安全性)
次は副作用について、下記に記載します。
成人で使用する1%製剤においても
5%を超えてくる副作用はなく
小児でも比較的安全に
使用できる可能性がありますね。
【アトピー性皮膚炎】の副作用が
挙げられている理由について
満足のいく治療効果が得られずに
原疾患が悪化した例とのことでした。
メカニズムについては不明ですが
患者に合わなかった可能性も
考えられています。
2.いつき博士の考察
今回は2歳以上の小児を対象とした試験で
モイゼルト軟膏は
有効なのか?安全なのか?
を評価した試験でした。
有効性に関して、プラセボと比較した際に
成人の試験同様に有意な値が得られており
投与1日目から効果が持続する可能性が
ありそうですね。
また、顔にも使用できるため
顔に湿疹ができやすい
小児でも期待できますね。
また、上記でも挙げたように
5%を超える副作用もなく
ご家族目線からも安心して
使用できそうですね。
今回の論点とは違いますが
モイゼルト軟膏を
使用する際の注意点として
1FTUの違いも挙げられています。
一般的な外用剤では
1FTU(約0.5g)は大体
大人の手のひら2枚分と言われています。
モイゼルト軟膏では
チューブの口径の違いで
1FTU(0.35g)となっているため
多少多く出す必要がありますね。