テープで鼻炎を治療⁉アレサガテープとは?
いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイトを運営しております。
寒い季節になって
鼻炎の症状がひどくなってくる方も
多いのではないでしょうか?
今回はアレルギー性鼻炎に適応がある
アレサガテープについて勉強していこうと思います。
1.アレサガテープってなに?
アレサガテープ(エメダスチン)は
2018年4月に久光製薬から発売された
抗ヒスタミン薬の貼付薬です。
先発品の飲み薬はレミカットになりますね。
アレルギー性鼻炎に貼り薬⁉と驚きでよね。
エメダスチンは以下の作用を示し
アレルギー性鼻炎に対して
効果を発揮すると考えられています。
全般的に作用することで
鼻水、鼻閉症状を抑えているようです。
成人には1回4㎎を
胸部、上腕部、背部又は腹部のいずれかに貼付し
24時間毎に貼り替え、症状に応じて8㎎へ増量します。
小児での臨床試験での使用実績はないため
15歳未満では医師の判断となりそうです。
テープで鼻の症状が本当に治るのか?
とても興味深い薬ですよね。
2.どのような試験を経て承認されたか?
アレサガテープでは以下の試験を行っています。
①では14日間かけてプラセボと比較
②では52週間かけてプラセボ+レボセチリジン群と比較し
有効性、安全性を見ています。
今回は2つの試験を勉強していきます。
3.第Ⅲ相比較試験
3-1.試験デザイン
多施設共同、ランダム化
プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較試験
本剤4mg群、本剤8mg群
プラセボ群、レボセチリジン錠5mg群を
下図のようにランダムに割り付け
用法に沿って 2 週間連日投与した。
また、レボセチリジン錠5mgは
1日1回就寝前に 2 週間経口投与した。
3-2.対象
本試験の対症は
季節性アレルギー性鼻炎(スギ花粉症)患者1276例です。
よく使われているレボセチリジン(ザイザル)を
参照薬として設定されている部分は興味深いですね。
製薬メーカーに確認したところ
レボセチリジンは同じ第二世代、かつ、同じ1日1回製剤で
販売実績(市場シェア)があるため
比較検討するには相性が良いとのことでした。
3-3.試験結果-1(有効性)
今回の試験はプラセボと比較した際の
アレサガテープの有効性と安全性を
見ていきます。
副次評価項目でも同様の結果が得られていたため
主要評価項目のみで見ていきます。
・治療開始2週間後における鼻症状(主解析)
※レボセチリジン5㎎を除く
逐次型Dunnett検定を用いており、
プラセボ群とアレサガ4㎎、8㎎を
それぞれ比較した結果となっています。
プラセボと比較して
有意に低下している結果となっています。
・治療開始2週間後における鼻症状(副解析)
※レボセチリジン5㎎を含む
今回の結果だけ見ると
8㎎ではレボセチリジンと同等の
効果を得られそうな気もしますよね。
しかし、主解析と違って副解析では
逐次型Dunnett検定ではないため
一概には比較できないとのことでした。
アレサガテープ各群において
1日目から鼻症状に影響を与える
結果となっていますね。
3-4.試験結果-2(安全性)
本試験における発現率の高かった
副作用について調べました。
やはり抗ヒスタミン薬で特徴的な
眠気の副作用は頻度が比較的高そうですね。
4.いつき博士の考察
今回はアレサガテープが
有効なのか?安全なのか?について
試験データを見ていきました。
アレサガテープはプラセボと比較して
1日目から継続的に
鼻の症状のスコア低下を維持する
可能性が示唆されております。
レボセチリジンを参照薬としておいていますが
仮説検証しないと設定しているため
本試験だけでは、同等と結論付けることは難しそうですね。
発現率が比較的高かった眠気に関しては
1日1枚貼付の薬であるため
寝る前に貼るのが良いかもしれませんね。
薬剤師の視点から
テープによる利点をまとめました。
➀経皮吸収により肝初回通過効果を受けず
消火器系の副作用を回避できる。
参照例のレボセチリジンと比べると
腎機能低下を考慮しなくてもよい。
(高齢者による転倒リスクも防げそう)
➁嚥下困難な方にも使用しやすい。
③血中濃度推移をみても
効果が切れることもなく
長時間効果が続くといった点もあります。
ただ貼付部位によって
効果に差が出る可能性も
以下の結果から示唆されます。
適用部位刺激などの点にも注意しつつ
使用していくことが重要そうですね。