【気管支喘息】黄砂の季節に役立つ吸入薬の科学
いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイト
を運営しています。
花粉症の時期が過ぎても
アレルギー症状が続くという方が
増えている気がします。
原因の1つとして
「黄砂アレルギー」の影響も考えられます。
黄砂はユーラシア大陸の砂漠から
飛散してくると言われており
世界的な問題となっています。
世界中の人を悩ます異物が
体に侵入する影響を考えていく上で
今回は粒子の大きさの違い
に注目していきます!
1.そもそもPMとは?
PMはParticulate Matter(微粒子)の略で
固体や液体の粒子状物質を表し
粉塵や黒煙などがあります。
近年、盛んな研究により
アレルギー疾患や呼吸器、循環器疾患への
影響が問題視されています。
健康被害については
メディアでも取り上げられることが
多くなっていますね。
2.粒子の大きさと喘息への影響
一般的によく聞くPM2.5とは
粒子径が2.5μm以下の小さな粒子です。
中でも、PM10(粒子径10μm以下)は
肺や気管に付着することから
人体への影響の目安となる数値になります。
PM2.5の代表的な粒子である
ディーゼル排気微粒子(DEP)は
当初、発がんを中心に実験研究が行われました。
その後、アレルギーへの影響も注目され始め
マウスやモルモットなどの動物実験を通して
DEPによりアレルギー症状が悪化することや
アレルギーに関連するIgE抗体の産生増加など
数多くの関連が報告されています。
黄砂はPM10に分類され
喘息の病態に関わる
気管への影響を懸念されています。
3.吸入薬の大きさにも違いがある?
喘息治療において
吸入薬の役割は欠かせません。
吸入薬や吸入器デバイスの話についての詳細は
以前の記事をご参照ください!
>>最適な喘息吸入器の選び方とおすすめまとめ<<
吸入薬のタイプは以下の2つに分かれます。
◆霧状に薬剤が噴出される(エアゾール)
◆粒子状の薬剤が充填されている(ドライパウダー)
吸入器デバイスにより
薬剤の粒子の大きさは異なります。
肺の奥底まで到達・沈着しやすい粒子は
2-3μmと報告されています。
小さ過ぎると呼吸した時に出ていくので
十分な効果を得ることができない可能性があり
0.8μm以上は必要と言われています。
4.各デバイスにおける粒子径
代表的な薬剤の粒子の大きさを示します。
ドライパウダーは吸入器デバイスの種類が多く
個々に特徴があります。
ディスカスやエリプタは
乳糖が混合されており
比較的粒子径が大きいです。
5.いつき博士の考察
今回は話題となっている黄砂の話から
粒子の大きさとその影響という観点で
吸入薬の話まで解説していきました。
吸い込む粒子の大きさによって
気道の炎症部位が変わってきます。
同様に、吸入薬の粒子の大きさの違いによって
薬剤の気道到達部位が変わるため
臨床効果に差が出る可能性が考えられます。
薬剤の粒子が大きい場合は
末梢の炎症を取りきれないこと
一方で、粒子が小さい場合は
呼吸で薬剤が出ていってしまうことが
問題となりそうですね。
あくまで今回の記事では
粒子の大きさのみに注目していますが
臨床効果を評価する上で重要なポイントは
他にも色々とあげられます。
最適な吸入薬はなにか?
色んな観点から考える必要がありますね。
また何か質問事項など聞きたいことがあれば
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