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ITエンジニアのための"効果的なプレゼン"

一般的に「プレゼン」と言うと、「PowerPointを用意して人前で何かを説明すること」とイメージされる方が多いと思う。間違いでないが、言葉の本質を捉えていない。

定義はどうあれ、ビジネスシーンで「プレゼン」なるものに触れる機会は多い。

顧客に対するソリューション説明、ベンチャーキャピタルに対する事業企画説明、チームメンバに対するプロジェクト計画説明などなど。
最近では、小学生もPowerPointを駆使して発表会のプレゼンを行っているのだから、プレゼンは日本国民全員の必修科目と言っても過言ではない。

プレゼンとはなにか

さて、プレゼンの持つ意味について考える。
プレゼンは言うまでもなくPresentationの略であるが、このPresentationという単語には、紹介、披露、発表といった意味がある。一方で、贈呈、授与という意味も持つ。

よって、プレゼンとは単なる発表や資料の説明ではなく、相手への贈り物、という意味合いも持つと解釈した方が良いように思える。「相手」という言葉が出てきたが、相手と自分の間に発生するものはコミュニケーションである。すなわち、プレゼンにはコミュニケーションの意味も込められていると捉えるべきだ。

これらを複合して考えると、プレゼンとは、相手に何かを提供したり送り届けるためのコミュニケーションであると言える。

プレゼンで重要なこと

プレゼンをコミュニケーションと捉えると、重要なことが見えてくる。

まず、相手がいるわけであるから、失礼のないように準備する。その相手が顧客などあなたにとって大事な相手であれば、なおさらである。
また、マナーとして相手に聞こえるように話し、資料や画面を使うのであれば見やすいように整え、不快な思いをしていないか確認し、理解しているか適宜問いかける。プレゼンとは演説ではない。会話なのである。

効果的なプレゼンを行うための5か条

これからプレゼンを行う人に向けて、5つの条件を伝えたい。

第一に、プレゼンは会話と理解しておくことである。緊張してうまく喋れるだろうか、キレイな資料になっているか、といった「プレゼンは発表会」の意識でいる限り、相手の心を掴むことはできない。

第二に、話したい内容を完全に消化しておくことである。浅い理解と小手先のテクニックではプレゼンを乗り切ることはできない。なぜならプレゼンは、相手を慮るというマナーが前提だからである。相手に伝えたい内容を深くまで理解し、自分の言葉で説明できるようになることが要件となる。
そして、あなたがきちんと内容を理解していれば、聴き手に集中することができるようになる。会話が成り立ちやすくなるのだ。

第三に、重要なことを2~3つに絞るように心がけることである。この2~3とはどの単位で、何の数字であろうか?それは、相手があなたのプレゼンを思い出した時に「○と○と○のことを話していたな」と振り返った時の○の数である。あなたのプレゼンの内容をどの単位で区分けるかは相手次第であり、もっと言えば、あなたの伝え方次第である。

第四に、リハーサルをすることである。どんなに忙しくとも一度は練習をしておく。必ず、自分の話したいイメージと、実際の話したイメージのズレに気づくだろう。練習なしに思い描いたプレゼンをできる天才は少ない。

そして最後。第五に、常に自分自身であることである。見やすいスライドを引っさげて流暢な発音をし、間違いのない完璧なプレゼンをする人と、実直に会話をするようにプレゼンし、たまには間違いをしてその間違いを正直に認める人、どちらが優れたプレゼンターだろうか?答えは、その人らしさがより見える方である。前者らしく見える人が後者のような振る舞いをしたら偽物に見える。逆もまた然り。会話の相手が自分を偽る人(嘘をつく人)だと気づいたら、その人の話を聞く気になるだろうか?
その人が自分を偽らずに表現するからこそ、聞き手もその人の話を聴く気になるのだ。
会話の相手が求めるのは装飾されたあなたではなく、本当のあなたに対してである。自分だけの表現を見つけよう。

聴き手の重要性

プレゼンにおいて、真に大事なのは話し手ではなく聴き手である。

あなたが一生懸命リハーサルをして100の話をしたとする。
だが、聴き手は、話し手の言葉を10も覚えていない。
しかし、自分で考えたことは覚えている

では聴き手に自分で考えてもらうためにはどうすればよいだろうか?そのためには、いくつかの工夫を行う。

① イメージを使う
② 考えてもらう場所を作る
③ 大事なことは繰り返し説明する
④ 印象に残る言葉を使う 

また、スライド(資料)を使う場合、聴き手は自分で読みたいようにスライドを読む。話し手は下記のような心がけが必要だろう。

① 話し手の意図通りに読んでもらえるように工夫して作る
② スライドに書いてあるものはそのまま読まない
③ 読んでほしくない内容は書かない

プレゼン時の工夫

プレゼンを上手く行うためには数々のテクニックがある。活用することでプレゼンの効果を高めることができるだろう。
ただし、これらのテクニックは聴き手を個人ではなく大衆として見てしまう恐れがあるため、使うときには注意が必要である。
プレゼンとは相手との会話であるという意識を優先し、下記に述べるものはあくまで小手先の技術にすぎないと理解しておくのが良いだろう。

① 聴き手とのアイコンタクト
② ジェスチャーと移動
③ 問いかけ
 ・1人に対して/全員に対して
 ・オープン・クエスチョン/クローズド・クエスチョン
④ 小休止(特に大事な話の後)
⑤ 声の大小と高低にメリハリをつける

まとめ

効果的なプレゼンを行うためには「テクニックを駆使する」とか「プレゼン資料を上手に作る」といった発想から変えること。

プレゼンは聴き手重視の会話であり、相手への敬意を持って十分に準備することが大事である。

プレゼンとは、大部分を自分が行っている、目的を持ったコミュニケーションである。



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