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第一章 リモートワークとは?

  • リモートワークを導入したがうまく回らない

  • リモートワークの継続に迷っている

2020年からパンデミックを追い風に、リモートワークが注目されています。しかし、経営者やマネージャー職の方は、リモートワークの導入方法や活用方法に悩んでいませんか?

リモートワークを理解し正しい方法で導入すれば、従来の働き方よりも生産性を高められる可能性があります。ただし、導入方法を間違えると、かえって企業全体の生産性や業績を落としてしまいます。

オールリモート総研を参考にして、リモートワークの理解を深めてください。「リモートワークを継続するべきか?」「リモートワークを続けるなら、どのようにするべきか?」 一緒に考えていきましょう。

リモートワークとは?

2020年のパンデミックの影響を受けて、リモートワークという働き方が注目を集めています。ここでは、リモートワークは「会社のオフィス外で従業員同士が遠隔で仕事をすること」と定義します。

リモートワークとテレワークは同じ意味?

なお、似たような言葉に、テレワークという言葉があります。特に、国や自治体で利用されることが多いようです。総務省では、テレワークの定義について、以下のように説明しています。

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方です。勤務場所により、大きく、(1)在宅勤務、(2)モバイルワーク、(3)サテライトオフィス勤務に分けられます。

引用:総務省「テレワークの推進」

リモートワークとテレワーク、どちらも共通して、社内オフィスに限らない働き方のことを示しています。そのため、リモートワーク=テレワークという認識で構いません。

リモートワークの普及度

引用:総務省「テレワークの実施状況」

2020年のパンデミックをきっかけに、民間企業のリモートワーク実施率は増えました。特に、緊急事態宣言中に、リモートワークの実施率は、おおきく上昇しました。

業種別のリモートワークの普及度

下記のグラフは、2020年11月に総務省が、全業種の正規雇用者19,946人を調査した結果です。

引用:総務省「テレワークの実施状況」

以下の業種のリモートワーク実施率が高いようです。

  1. 情報通信業(55.7%

  2. 学術研究、専門・技術サービス業(43.2%)

  3. 金融業、保険業(30.2%)

リモートワークに欠かせない「情報通信技術」と親和性の高い、情報通信業の実施率が高いことが特徴的です。

会社の規模とリモートワーク普及度の関係性

引用:総務省「テレワークの導入やその効果に関する調査結果」

リモートワークを導入する企業は、従業員数に比例して増加する傾向があります。

リモートワークでのコミュニケーション対策

引用:総務省「テレワークの動向と課題について」

リモートワークを実施するにあたり、コミュニケーションを確保するために導入したツールで最も多かったのは、ビデオ会議システムの49.0%でした。約半数の企業が、リモートワークの実施と共にビデオ会議システムの導入をしています。

さらに、「チャットツールの導入」(39.6%)も高い水準にあります。リモートワークによる従業員間のコミュニケーション機会の減少を補填するためでしょう。

リモートワークは「新しい働き方」なのか?

2020年のパンデミック以降、リモートワークの導入事例が一気に増えました。「すべての企業は新しい働き方であるリモートワークを導入するべきだ」とか「リモートワークは人権」だといったポジショントークをよく聞きます。

しかしながらオールリモート総研は、リモートワークは取り扱い注意な「諸刃の剣である」と考えています。

実はリモートワークに懐疑的な人は多い

引用:総務省「テレワークの実施状況」

リモートワークは、ワーク・ライフ・バランスの取れた働き方として、以前から注目されてきました。実際に、2020年のパンデミック以前からリモートワークを取り入れていた企業もあります。

しかし、リモートワークへの導入には、多くの懐疑的な意見があります。多くの企業は、社内ルールや社会的な整備が進んでいない等の理由から、リモートワークを実施していません。

上記のグラフからは、リモートワークの実施率の上昇傾向が読み取れます。しかし同時に、緊急事態宣言が解除されるとリモートワークの実施率が低下している、との見方もできます。

リモートワークを実施している企業であっても、平常時はオフィスで勤務することにメリットを感じる企業や従業員が多いのかもしれません

リモートワークで長期的な業績悪化の事例あり

米IBMや米Yahoo!は、2020年のパンデミック以前から在宅勤務を導入していました。それにも関わらず、在宅勤務を全面的に禁止し、オフィスへの出社を義務付けた事例をご存知でしょうか。

米IBMや米Yahoo!が在宅勤務を前面禁止にした理由は、企業の業績や生産性の低下だけではありません。リモートワークを実施した際に直面した課題は以下の3つです。

1. 上司が成果に気づかない、評価してくれない
2. 今後のキャリアの展望が見えない
3. 同僚とつながる機会がない

引用:「米IBM、ヤフーも直面?フル在宅勤務者のマネジメント「3つの壁」」
https://news.yahoo.co.jp/byline/yatsuzukaeri/20171123-00078454

リモートワークは、ライフ・ワーク・バランスの向上など、福利厚生の一環と考えられています。しかし、従業員からのリモートワークの評価は高いとは限りません

リモートワークは組織の風土を選ぶ

リモートワークを導入し成功するには、成果で仕事をマネージメントする企業風土への変革が必要です。

オフィスで時間を共に過ごし、対面でのコミュニケーションを頻繁に行い、モチベーションをマネージメントしながら仕事をすすめる「カルチャー型」なマネージメントをする企業が、リモートワークで成功することは難しいです。

リモートワークを導入して成功するためには、事前に業務手順や成果を定義し、結果で仕事をマネージメントすることが重要になります。

成果でマネージメントされることに不慣れな従業員

『エン転職』2018年実施のユーザーアンケート(参考:2018年『エン転職』ユーザーアンケート調査 結果発表 )に、「リモートワーク」に関するアンケート結果が発表されています。

注目は、リモートワーク経験者に「今後もテレワークで働きたいと思いますか?」という質問したところ、「働きたくない」と回答した人が11%いた点です。

「リモートワークで働きたくない」と回答した理由は、以下のように「稼働時間管理」と「成果」にまつわるものです。

  • 「仕事とプライベートを分けたい」(44%)

  • 「長時間労働などの時間管理が不安」(28%)

  • 「会社にいる時と同じ効果を出せるか不安」(26%)

従業員視点で考えると、成果でマネージメントされるということは、成果を出す専門スキルとセルフマネージメントが重要になります。

しかしながら日本の従業員は「頑張って評価されること」に慣れています。セルフマネージメントが必要なプロフェッショナルな働き方は得意としておらず、不安を感じる方が多いようです。

やっぱりサボりは多い

6割がリモートワーク中にスマホやテレビを見た経験あり

株式会社ネクストレベルが運営する『縁結び大学』で、テレワーク実施中の男女300名を対象に「テレワーク中に集中力やモチベーションが下がった経験があるか」というアンケートが実施されました。

参考:男女300人に“集中力アップ”対策をアンケート

中でも、集中力が下がる理由の6割にあたる第1位が「スマホやテレビを見てしまう」という結果でした。

リモートワークを求める従業員の声が多いのは事実です。また、通勤も減り邪魔が入らず「作業の生産性が上がった」という声も事実です。ただ「働かない従業員が増えている」というのも隠れた真実です。

成果でマネージメントする風土のない企業でリモートワークを続けると、働かない従業員が少しづつ増え、頑張る従業員のやる気を失わせ、会社全体が腐っていく弊害があります。

リモートワークで会社の生産性は下がります

パンデミックへの緊急対応で導入したリモートワークを、なんとなく続けると、会社の組織を腐らせ、全体の生産性を下げ、市場で競争に負けて、最悪倒産させかねません。

とはいえ従業員は一旦「リモートワーク」という蜜の味を知ってしまいました。従業員の福利厚生のためにリモートワークを辞めるという判断は難しいかもしれません。

また経営者は、福利厚生の圧以外に、以下のような期待で、リモートワークを惰性で続けてしまいがちです。

  • 生産性の向上

  • 企業のコスト削減

ところが、そもそも企業の文化や経営方針がリモートワークにマッチしていないと、リモートワークを導入しても生産性は上がりません。

リモートワークは、周囲からの干渉や邪魔が入りづらいので、従業員一人あたりの作業の生産性の向上を期待できます。

しかし、周囲からの干渉や邪魔が入らないということは、管理がしづらいとも言えます。事業のミッションやビジョンや戦略が従業員一人一人に伝わらず、かつズレに気づくことが遅れてしまいがちです。

従業員一人あたりの作業の生産性が上がることが、逆に企業全体の生産性を下げる原因になりかねません。局所が最適化されても、全体は最適化されません。

組織の価値観からすべてを変える?
リモートワークから勇気を持って撤退する?
どっち?

オフィスで時間を共にして顔を突き合わせて働く組織で求められる価値観や仕事のススメ方と、リモートワークで成果を出すための価値観や仕事の進め方は180度違います。

オフィスで働いていた組織の価値観や仕事のススメ方のまま、ZoomやSlackなどのデジタルツールを導入しても、リモートワークの生産性を上げることは絶対にできません。

オールリモート総研では、リモートワークでも成果を出すには、価値観(バリュー)をどうアップデートすべきなのか?仕事の進め方をどのように改善すべきなのか?を、解説します。

もし、経営者や組織の価値観や仕事の進め方をリモートワークに最適化できないならば、勇気をもってリモートワークから撤退してください。誤ったリモートワークを続け、組織が腐り市場で負け続けると、あなたの会社は二度と立ち直れません。

ハイブリッドワークは絶対ダメ

リモートワークで起きがちな、コミュニケーションやマネージメントの問題を解決するために、オフィスで働くか、リモートで働くか、従業員に自由に選ばせる「ハイブリッド・ワーク」の導入を検討していませんか?

ハイブリッドワークでは、リモートと非リモートの働き方が共存します。しかしリモートワークと非リモートワークで必要とされる「価値観や働き方」は180度異なります。従業員個人がバラバラにリモートとオフィスを選ぶと、コミュニケーションや仕事の進め方がバラバラになり、リモートで働く人も働きづらい、オフィスで働くひとも働きづらい会社になります。

次の章で解説しますが、「ハイブリッドワーク」は、絶対に採用してはいけない最悪の働き方です。

さらに当たり前ですが、部分的なリモートワークの導入は、かえって企業コストが倍増する原因となります。なぜなら、リモートワークに適する仕事環境を整えるために新たな設備投資が必要になるにも関わらず、既存のオフィスを残しておかなければいけないからです。結果として、今まで以上に設備や不動産のコストが増えてしまう可能性が高くなります。

リモートワークの真の成功の実例

リモートワークの導入には課題がいくつかあります。しかし、うまく導入すれば、企業にとってより高い生産性を実現できる可能性を秘めています。

実はGitLabさんというリモートワークの先駆者がいます。GitLabさんは、創業以来ずっとオールリモートワークで経営している企業です。しかも全世界65以上の国や地域で1,500名以上の従業員を雇用しています。

GitLabさんは、全世界に従業員を抱えていながら、自社オフィスを持っていません。またタイムゾーンが異なる地域の従業員同士が協力しながら働いています。それにも関わらず競合のGitHubさんに負けることなく、昨年はNASDAQへ上場しました。

GitLabさんは社内のマニュアル「ハンドブック」を世界にオープンソース形式ですべて公開しています。そしてハンドブックでは、リモートワークを成立させるための様々な考え方やノウハウが解説されています。

オールリモート総研では、英語で書かれているGitLabさんのハンドブックを読み解きながら、実際に取り組んできたノウハウも交えて、リモートワークで成果を出すために必要なことを解説していきます。




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