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著作権を侵害されても著者の方が注意喚起を受ける件について2



『バースデータロット』のコンテンツをまるまる引用したYouTube動画の存在を知ったのは3月でした。

4月に入ると、今度は別の私の著作物(チャームキャスティングキット)を無断で引用されたものが、YouTuber占い師とは別の占い師によりXに投稿されていたことが判明しました。

模倣されたチャームキャスティングキット

模倣された私の著作物は、まだ日本ではあまり知られていないアクセサリーチャームを投げて占う「チャームキャスティング」に、箱庭療法の解釈を用いたマットとガイドブックをセットにしたものです。

2021年にクラウドファンディングで発表し、販売を開始しています。

模倣していたチャームキャスティングキットも箱庭療法の解釈を用いており、かつ、投稿されていた3点の図版は、私がガイドブックに掲載しているものとほぼ一致していました。

その後、チャームキャスティングの実占動画も拝見しましたが、そちらも、私の作成したガイドブックの記述を切り貼りしている箇所をお見受けしました。

偶然見つけた方から教えていただかなかったら、私はずっと気付かないままだったと思います。

投稿者は、副業で職業占い師をしている方でした。

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ガイドブックの図版を無断引用していたこの方のXの投稿を、私の著作物が模倣されていることを書いて引用リポストしました。


引用リポストに気付いた投稿者から、翌日謝罪のメールをいただきました。

私のガイドブックをご購入いただいていた方で、キットは私が運営するチャームキャスティングのサイトを参考にして作成され、一連の投稿は、あくまで仲間内で楽しむためだけになさっていたとのことでした。

「著作権侵害になるとは思わなかった」
「自作発言したつもりもなかった」

「チャームキャスティングを普及していきたい」という言葉が添えられていた投稿もありました。
YouTuber占い師の件でも同じことを書きましたが、参照した元サイトのURLを書いて「面白いから見てね」で済む話だと思いました。

私は前述のYouTuber占い師の件で法的手続きの最中だったため、すぐに弁護士さんからアドバイスを頂くことができ、この方のX以外の発言の場も確認しました。

すると、他の先生のコンテンツの引用に関してはきちんとお名前や参照URLが記載されており、チャームキャスティングに関しては一切無かったことから、意図的にオリジナルを主張なさりたいのだと判断していました。

また、この方が投稿していた図版は明らかに外注制作されたものだったので、今後もこの図版を使って情報発信や展開をなさるおつもりなのだと思いました。

著作権侵害が続いたことで思考が停止し、お返事をするのに1週間を要しました。

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辛かったことを訴えるためにこれを書いているわけではありませんが、まず、耳がよく聞こえなくなりました。

洗濯機の終了音が鳴らなくなったので修理業者を呼んだところ、故障ではなく、私の耳が音を拾えていなかったことに気付きました。
以前、突発性難聴を患ったことがあり、その時の感じとは違ったので、まさかとは思いつつ、耳鼻科を受診しました。
異常はありませんでした。
ちょうど家族の入院も重なり、注意深く聞かなければならないお話がたくさんあったのに、どれもが上滑りし、頭に入ってこないという難儀な状態でした。

著作権侵害や自作発言を意図したつもりは一切なかったと伺っている以上、私に何が言えるでしょうか。

今後のご対応については、この方のご判断にお任せする旨をお伝えしました。

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パクリ放題、パクられ損


一目で模倣が確認できるXの投稿画像と自作発言と取れる投稿文を私が引用リポストしたことで、この件は多くの方から関心を寄せていただくことになりました。

各方面からご心配をいただき、具体的なアドバイスを下さる方もいて、その中で、占いの著作権に詳しい弁護士さんとの面談を薦めて下さる方がいらっしゃいました。

2度起きたことは、これからも起こる可能性があります。
今回のXの件は違法性があるものなのか、どう対処すべきなのか、前述の弁護士さんとは別の専門家のご意見も伺う必要があると思いました。

ご紹介いただいた占いの著作権に詳しい弁護士さんに、概要をお伝えしました。

結果、「明らかに世間でいうところの「パクリ」であることは明白なので、著作権侵害ということを言って、投稿の削除依頼を含めクレームを出すことは出来る」とのことでした。

けれど、模倣された図版は平仮名を漢字表記にしていたり、文字を強調する箇所を変え、1行だけ表現を変更しており、デザインも違うので、「法的には著作権侵害と言えない」とのことでした。

デザインや文字の一部だけ変えていれば、他はまるまる模倣したキットが販売されたとしても、「法的に問題ない」と言われて終了、ということです。

現状の著作権法では、言葉は汚いですが「パクリ放題、パクられ損」です。

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著作権侵害されている側が訴えられる可能性


また、仮に私が弁護士をたてて訴えた場合、かなりの確率で相手方にも弁護士がつき、その結果、法的に何も違反していないということになると、相手方が強気に出てくることが懸念されるため「直接のクレームにとどめた方が良い」とのアドバイスをいただきました。

明言はなさいませんでしたが、名誉棄損や業務妨害で私の方が訴えられる可能性もあるということをおっしゃっていたのだと思います。

著作権違反している人を法的に訴えると、むしろ、こちらが訴えられるかもしれないという事を、すぐには受け入れられませんでした。

弁護士さんは本当に親切な方で、私の心情を汲んで下さった上で、現状の著作権法について分かりやすく、言葉を変えて繰り返しご説明下さいました。弁護士さんにも、ご紹介くださった方にも、本当に感謝しています。

法的措置に詳しい猛者と仕事でやり取りしている友人にこの事を話すと「弁護士さんも色々だから、もっと追及していいと思うよ」と言って、動いてくれました。

起きていることだけを見れば、法的に問題があると思ったのが私だけではなかったということに救われました。

けれど、数多の占いの著作権侵害に関する案件を受けて来られた弁護士さんが至った結論とご提言なので、覆ることはないと思いました。

こうした件を著作権侵害として簡単に引き受けてくれる弁護士さんもいるそうですが、勝訴はしないことを丁寧に分かりやすくご説明いただいたことも大きかったです。

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箱庭療法の解釈を応用すること


『バースデータロット』に関して、長らく著作権侵害に関する問題に悩まされてきました。
そのため、チャームキャスティングキットを販売する時にも、いわゆる「パクられる」リスクについて考えなかったわけではありません。

今回、「箱庭療法の解釈」を応用するアイディアが模倣されたことについて、弁護士さんから「アイディアは著作物としては保護されず独占もできない」とアドバイスをいただいています。
それはもちろん、承知していたことです。

けれど、まさか、箱庭療法の解釈をチャームキャスティングに用いようという人が現れるとは思わなかったのです。

箱庭療法の研究論文は河合隼雄先生以降のものがほとんど存在せず、箱庭療法を実践したことがある人自体少ないからです。

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私は専修大学の文学部人文学科で心理学を専攻しました。
入るのに難しい大学ではありませんが、学科生は私以外は頭の良い人ばかりで、教授は全員東大卒でした。

卒業してずい分経過していますが、当時のゼミ生とは今でも一年に一回は必ず会って情報交換しています。
大学院に進んだ人も多く、学生カウンセラーや児童相談所の職員をしている先輩もいるので、箱庭療法の解釈をチャームキャスティングキットに用いるにあたり、相談にも乗っていただきました。

現在の専修大学心理学科には、箱庭療法に特化した研究施設があります。
私の卒業論文の担当教授が切望していた念願の施設で、2010年にオープンした時にはホームカミングデイが開催され、私も見学させていただきました。
教授はとても嬉しそうに施設をご自慢しておられました。

5年前に教授が定年を迎えて退官なさる際にも大学にご招待いただき、同施設を見せていただきましたが、室内は子供特有の匂いがしみ込んでおり、ピカピカだった玩具や砂箱はボロボロになっているものがあるほど、使い込まれていました。

箱庭療法の実践を在学中に体験出来なかった私は、箱庭療法師の個人セッションを3回受け、東京・目黒で開催されていた箱庭療法のグループワークに半年間参加させて貰いながら、占いの鑑定の中で箱庭キットを用いてお客様との対話を試みていたことがあります。
当時は静岡市のブティックの一角をお借りして鑑定をしており、そちらに特殊な砂を用いる一回り小さな箱庭キットを置かせていただき、100人ほどの方々の箱庭作りの過程を観察させていただきました。
本当に貴重な体験をさせていただいたと、感謝しています。

その体験から思い知らされたことは、今回模倣された図版の「グリュンワルドの空間図式」をはじめ、解釈の理論はあくまで一つの指標であって、大切なことは、河合隼雄先生も著書の中で繰り返しおっしゃっているように「観察すること」に尽きる、ということでした。

箱庭療法を知らない人が、解釈理論の一つとされている図版を見て「箱庭はこう解釈するもの」という理解をしてしまい、それを広めてしまったら、私のした事も無関係とは言えなくなり、責任は重いです。

今後、もし箱庭療法の解釈の理論を用いてチャームキャスティングキットを作成なさる方がいらっしゃるなら、ご自身で関連書籍を読み、実際に箱庭療法を体験してからにしていただきたいと願っています。

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チャームキャスティング協会なるものの立ち上げをお考えの方や、講座を運営なさっている方がいらっしゃると伺っています。

チャームキャスティングはルールのない自由な占いで、どなたでもそれぞれのオリジナルメソッドを発信できます。

けれど、その際に、私の作成したガイドブックを焼き直ししただけの教材を用いることだけは、やめていただきたいと思います。

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作成した図版への思い

今回模倣された図版の一つです。
一見すると目新しさもなく、ネットで検索すればその辺で拾ってこれる図のように見えるかもしれません。

けれど、私はこの図を体感するまでに視力を失って入院するほど苦しんだ経緯があります。

私の占い師としてのスタートは、オーラソーマのカラープラクティショナーでした。

オーラソーマカラーセラピー 出典:Pinterest


1998年、まだオーラソーマのレベル3を教えるティーチャーが日本に一人しかいらっしゃらない頃に私はオーラソーマと出会い、野田幸子先生が代表を務めていたイメージメーキングアカデミーで学びました。

オーラソーマの講座を受けるためだけにサラリーマン生活を終え、占い師として独立することを決意したと言っても過言ではありません。
その時の退職金もすべて、オーラソーマの講習費と教材の購入にあてています。 それくらいの覚悟をもって臨んだことです。

上下に分かれた要素を観察し、比較し、読み解いていくワークは、オーラソーマボトルのリーディングの際に繰り返し突き詰めてきたことです。

オーラソーマB83 オープンセサミ 出典:Pinterest

図版の6つの項目はテキストに書かれていたものではなく、私がリーディングの実践から辿り着いた要素の中で、ピックアップしたものです。

簡素な図版。
たった6項目の使い古された言葉。

この図をご自分が作成したものとしてお使いになるなら、ご自身の内部に落とし込むご理解が出来ているかにだけは責任を取る必要があると思います。


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