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明木と彦六・又十郎と古民家レストランオーナーシェフ

【-私が岡本 智之さんに出会うまで-エピソード0】

世の中がコロナでひっくり返った2020年の秋、
私は夫と共に山口県萩市にIターンした。

地縁も血縁もなく萩へやってきた私たち。
それでも岡本智之さんの存在を知るまでにほとんど時間はかからなかった。
なぜなら、彼は萩でとても有名人だったからだ。
新参者の私たちが出会いを広げる中、会う人、会う人が岡本さんのことを口にする。まるでスターのようだった。

噂の内容はこうだ。

「いま明木(あきらぎ)に古民家を買って、DIYで改修を進めながらレストランを開こうとしてるんだって」

(明木、あそこか・・・)

全く土地勘のない私が、地名を覚えていたのには理由があった。
移住の日、萩への道中でコンビニを探しながらひた走っていた国道で、
印象に残った看板があったからだ。

萩市街地まであと8kmというところで目に止まったた看板

“明木の恩人 彦六・又十郎(ひころくまたじゅうろう)の里“
そう大きく書かれた文字に添えられたイラストには、ちょんまげ&着物姿の二人組が…。つまり彦六・又十郎とは、そういう時代の人たちなのか。

しかし今、21世紀。そんなに古い時代の人のことを、こんなに大きい看板を建ててまで忘れないようにしているとは、なんとも義理堅いというか、きっとこの土地の人たちは実直な人柄なんだろう。
ん? つまりこの二人には、それほどの恩があるということか?

…などと考えながら看板を見ると、イラストの二人組が急に「どうだ!」と胸を張って見つめ返してきたような気がした。

かつては参勤交代の宿駅として栄えた明木市(あきらぎいち)。彦さん、六さんは1935年に
参勤交代が制度化される以前の1604年、萩城が築かれる際に活躍した人物だ。

〜明木の恩人・彦さん・又さんのお話はこちらから〜


次回、第1話「岡本さんの味ってどんな味?」へつづく