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12月 その1

12月5日

昨晩、ハムスターのケージを掃除していると、肩に大きな腫瘍ができていることに気づいた。最近ケージから出していなかったので今まで分からなかったのだ。とても辛そうで可愛そうに見えた。私は大泣きし、止まることができなかった。私のせいなんだもん。ずっと遊んであげなかったから。。。誰かを殺したと思えるぐらい罪悪感を感じた。自分が憎かった。お母さんもちびちゃんを見た途端心配になり、朝一番に獣医に連れて行った。

1時間近く順番を待った。獣医さんはちびちゃんを診察し、腫瘍の中は液体なので注射器でそれを抽出すると断言した。ちびちゃんは辛そうながらもとても可愛かった。もっと大事にしていればよかったと思った。

獣医は戻ってくると、注射器で大量の血液を抽出した。腫瘍はしぼみ、いったん喜んだ。でも、それもつかの間。注射器の穴から血は流れ出続けた。獣医はそれを拭き取りながら口に何かも流し込もうとした。ちびちゃんは薬を吐き出し見る見る弱っていった。それを見ているのはとても恐ろしかった。涙が流れてきた。あーもう、書いているのも辛い。そのまま、ちびちゃんは動かなくなって、獣医は、息はもうないと言った。私は涙を完全に抑えられなくなって、獣医は申し訳なさそうにちびちゃんをつつったりして生き返らせようとしていたけど無駄だった。

私はハムスターをそのまま置いて行った。自分で埋葬しようとしたら泣き止むことができないと考えたのだ。家に戻って、1時間はベッドに寝て号泣した。自分が殺人者に思えた。
私がちゃんと責任を持って可愛がっていたらこんなことにはならなかったかもしれない。最近夢の中にちびちゃんが何回か出てきていた。獣医の対応がよくなかったのかな。でも辛そうだったから結果的によかったのかな。。。

12月6日

困っていることがある。パンツがまるでないのだ。お母さに買ってほしいと頼み込んでも、「この間買ってあげた可愛い青いのがあるじゃない」と言い、引こうとしない。なんでそんなに厳しくする必要があるの?ぜんぜん理解できない。あの『可愛い、青い』のは死んでも履きたくない。

<当時の私は、色ものの下着はエロく/大人っぽく見えて、触ることも気持ち悪かった。親はそれを単にわがままか頭がおかしいからだと解釈し、こういうような企みで私を『治そう』としていたのだ。>

(平成12年)12月12日

最近はずっと。。。なんて言うんだろう。青春の空想に耽ってる。自分の容姿や、アクセサリー、メアリケートとアシュリー、海外旅行のことなどを考える。鏡をずっと眺める。前髪を自分で少し切った。ビーズでアクセサリーをいくつか作った。メアリケートとアシュリーに関しては、双子というのが羨ましい!ついている人はついてるなぁ。

夜はなかなか眠れない。オーストラリアを思い出す。本当に楽しかったな。写真を残せてよかった。日記も書いたし。今度はタイに行くことになった。そこではどうなるかといっぱい想像する。例えば、可愛いキャミソールを着てビーチかプールサイドを歩いている所。
考えすぎて、変なことまでもを想像しちゃった。親がね、そこで別のロシア人でいい感じの男子がいる家族と仲良くなったらどうだろう。で、私もその人と仲良くなって、ビーチを夕焼け時に歩いている場面を想像する。海はオレンジ色に染まり、私はスカートとキャミソール姿で下ろした髪の毛が風になびいている。男子が嫌いじゃないのかって?それはね、男子はエロくて手を洗わないから嫌いなわけ。そうじゃない人だったら別にいいんだよ。恥ずかしいけど。でもそれはなんとかする。恥ずかしいのを我慢さえすればあとでみんなに自慢できるでしょ。へへ。こんなことはありえないだろうけど。ちなみに、胸を引き締められるチューブトップを開発したの。今度ジッパーを縫い入れればどんな服装もできるようになる。楽しみ。

学校はかなり寒い。体育は特に。毎回3キロくらい走らされるんだけどすごく疲れる。でもあとでバレーができて、それは楽しい。徒競走を走るときはね、誰かちょうどいい速さの人に付いていけばいいことが発覚した。とにかく遅れないことだけを考えて走るの。

12月15日

英語教室では今度の発表会の準備が進んでいたが先生がどこかに行っていてみんな怠けていた。私は彩美と衣装を試着していた。いきなり部屋にナーディアが入ってきて、彩美に演劇の『稽古』を付け始めた。それはとても馬鹿げていた光景だった。彩美はもちろん、彼女を無視した。結局ナーディアはそのまま、「どうせこの劇を支えているのは私だけー」と言いながら出て行った。
私はそれがとても腹立たしく感じられた。というより、怒りが込み上げた。は?劇を支えてるんですて?彩美にお辞儀の仕方を教えることで?実際に何かをしたらどうなの?男子たちに練習をさせるとかしてさ。私はふと、『劇を支える』とはどういうことかを見せつけたくなった。恥ずかしがりながらも、私は男子が遊んでいる隣の部屋に行き、練習を始めることを促した。彩美もある程度サポートしてくれた。少しずつではあったが、思ったよりも速くみんなはまとまってくれた。練習もそれなりに真面目にやった。ナーディアはどこかに行っていて、そのままにした。一人で劇を支えていればいいよ。私はとても嬉しかった。私がみんなをまとめたんだよ!私にもできるんだ!自分にこんな能力があるのは全く知らなかった。それに、私の指導の元でみんなも練習に楽しそうに打ち込んでいた。いつもはふざけている人も真面目だった。ナーディアとペアになる男子だけは除いて。

ナーディアは本当に馬鹿だよ。私が劇の場面で使う指輪を針金で作ってあげたんだけど、彼女はそれを大げさに蹴ったり投げたりした。私はどうでもよかった。怒るわけないじゃん。指輪がなくなって困るのは彼女だよ。なにを考えたんだろうね。私が純金の指輪を用意するとでも?まあ馬鹿は治らないよね。

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