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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:煌星の使命と運命の絆~星の恋人達~ 第三話 旅立ち、対の星の子(すみません。前話を流しておりました)

前話

 

 ソレンティアに言われてから部屋に戻ったアステリアは父の元へ行こうとしたが、なんと言っていいかわからず、ただ黙って旅立つ準備を始めた。
 そこへ義理の父エルドランが入ってきた。
「旅立つか……」
「うん。ソレンティアに頼まれたから。みんなを探して、って」
 うつむき加減で言うアステリアにエルドランは言う。
「星の子よ。いや。アスティ。私はお前を本当の娘と思って育ててきた。運命がお前の手にあると知っても特別扱いはしなかった。普通に育て普通に育った。普通の娘とは環境は異なるが、アスティは普通の娘と大差はない。運命は無情だ。だからこそ、対の星の子を与えるのだ。まずは対の相手を探しなさい。その星の子とともに行方不明となった星の守護者を探して欲しい。各地の仲間がアスティに手を差し伸べるはずだ」
「対の相手?」
「お前と将来を共にする男だ。その対の星の子と北東にあるエレスティアの聖堂に行きなさい。古くから星の守護者達を祀る聖なる場所だ。何か手がかりがあるかもしれない。
それからこれは父さんからの贈り物だ。冒険は安全ではない。この旅行用の鞄と装備をつけて明日、旅立つのだ。ソレンティアも明日ならまだいる。彼女もアスティを見送りたいと思っているはずだ」
「父さん……」
 にわかに信じがたい話だった。星の子などと言われるような特別な力などない。ただ、探して欲しいと言われて引き受けただけだ。
 それに最初から夫を決めつけられても……。
 乙女心は複雑だった。
 アステリアの気持ちをエルドランは察したようだった。
「いきなり恋人を探せと言われても現実味がないな。これは後回しにいしてもいい。まず聖堂へ向かいなさい。その中でいろいろわかってくるだろう。さぁ。もう寝なさい。あとの準備なら私が引き継ごう」
 エルドランがアステリアの頭を優しく撫でる。なんだか泣きたくなってくる。
「今のうちに泣いておくか? これからおいそれとは泣けないからな」
「いい。父さん。旅立つのに泣いてちゃかっこ悪いわ」
 その答えに優しい眼差しをエルドランは向ける。
「お前は本当にいい子だ。父さんの自慢の娘だ。さぁ、寝なさい」
 アステリアは動かしていた手を止めてベッドに入る。エルドランはアステリアの前髪をかき上げて額に手をやり、祝福の言葉を小さく述べる。いつもの儀式だ。アステリアは緊張から解き放たれ、すうっと眠りに入っていった。
「神よ。アステリアに祝福を」
 エルドランの声は震えていた。
 過酷な試練が待ち受けていると思うと胸が張り裂けそうだった。
 もう生きて会えないかもしれない。
 あんなに可愛らしかった赤子はこんなに素晴らしい娘に育った。エルドランの宝物だ。
 エルドランはいつまでも育て上げた娘の寝顔を見つめていた。
 
 翌日、「星輝ペンダント」をつけ、「星詠みのローブ」を身に纏い、「天條星杖」というロッドを持った魔法使いの娘の姿となったアステリアはソレンティアとエルドランに見送られて出立した。
「えっと。北東ね」
 方位磁石を見て地図を持って歩き始める。この地図のどこまで行けば聖堂にたどり着くのかもわからなかった。歩いても歩いても野っ原が続く。煌星の神殿からほとんど出たことのなかったアステリアには未知の世界が広がっていた。
 歩いていると心配そうなソレンティアや優しく見守っていた父を思い出す。涙がふいにこぼれた。
「泣くもんか」
 ぐいっと拳で涙を拭く。
「絶対みんなを見つけて元の暮らしに戻るんだから」
 アステリアの決意の言葉は真っ青な大空に吸い込まれていく。
 
 星の子の旅が今、始まった。


あとがき
すみません。第二話を二日にわたって載せておりました。今気づいて三話を載せております。

見直して良かった。たまたま漢検のテキストしてからふと来て見れば、二話が二つ。背中がぞぞっとしました。

ほんまにすみませーん。明日四話載せるんでゆるしてくださいー。

しかし。3級の本難しい。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

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