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【再掲載小説】恋愛ファンタジー小説:最後の眠り姫(40)

前話

 フリーデの手が震えていた。泣いていた。泣きながらフリーデは話す。
「本当に姉と思って下さっていたと確信しました。誰も私の頬を叩いた人はいません。母ですら、あなたは高貴なはしためなのよ、といって。いつもひとりぼっちでした。ただただ、お仕えする日を心待ちにして。それで心を慰めていました。そんなとき、ヴィルヘルム様が私を励ましてくれていました。フリーデは一番頑張り屋さんだ、と。そんなヴィルヘルム様に年甲斐もなく恋をして、もう無理と思っていたら指輪を下さって。でも、私ははしため。身分違いもいいところ。家族に言われたのです。あなたはエミーリエ様だけに仕えていればいい、と。嫁ぐ事は許されない。指輪を返してきなさいと」
「そんな家族放っておきなさい!」
 思わず、声を上げるとクルトが飛んでくる。
「エミーリエ。心身が消耗してるんだ。気を荒くすることは命取りになる。大人しくしてて」
「クルトまでそんなこと言うの? フリーデは一人の乙女だわ。年の差なんて大人になればたいしたことないのに!」
「だから。ほら。アールグレイ持ってきたから。落ち着いて……」
「アールグレイ……」
 手の中のグラスを見つめる。あの味、だった。大人の味という飲み物。母に憧れて飲んだほろ苦い味。
 涙がぽろぽろ落ちる。グラスの中に水滴が落ちていく。
「エミーリエ。豆のスープと同じだよ」
「だって。これ、お母様がよく飲んでいた飲み物だもの。あれだけはこうしてアイスにして飲んでいたわ。お母様……」
 懐かしさが一気にはじける。ホームシックにでもかかったみたいに。もう戻れないあの家。クルトが抱き寄せる。
「そんな思い出があるんだね。無理に捨てる必要はないよ。いくらでも俺の胸で泣いて」
「エミーリエ様。すみません。あなた様がどれほど辛い思いをしているかは知っていたはずなのに」
 フリーデとクルトが慰めてくれる。ヴィルヘルムとカロリーネお姉様はいつの間にか消えていた。そしてお母様がやってきた。この時代のお母様が。
「エミーリエ。母はここにもいますよ。思いっきり泣きなさい。辛いですね。一人きりというのは」
 私は久しぶりにこらえていた感情を爆発させて声を上げて泣いたのだった。カロリーネお姉様が母の魂を受け継いでいたけれどお母様ではない。この世界ではこのお母様がたった一人のお母様だった。そして懐かしい暖かさを感じている内にまた私は眠りに落ちていったのだった。


あとがき
魚関連で疲れ切ってるので、前話を挿入してパソコンができなくなっていたのですが、久しぶりにものを整理したり掃除するとみるみるやる気がでてきて、またコケ防止の薬剤買ってこようと昼からも外出を考え始めています。今日は歩きたい気分なので、うろうろします。
でも、「最後の眠り姫」だけは完全に終わろうと思うので、前のメインだった話は横に置いておいて、こちらを進めていきます。昨夜、トイレに起きて、ベタの樹里ちゃんをみれば、ベタの寝床を設置して入って休むことを覚えているのに、水槽の下層で寝てました。(笑)。ベタの寝床で寝るんだけど……。今も休憩中の樹里ちゃんですが、たぶん。今日も寝るときは違うかもしれません。ファイヤーテトラさらに五匹追加しました。これ以上は入れられそうですが、過密になっては嫌なので混泳も難しい種類とあり、このまま水草増殖水槽になります。アヌビス・ナナを主に増殖中。元ちゃんまた元気がなかった。塩もダメなの? と悲しいです。初代パンダコリとして我が家にやってきたので愛着もひとしおです。掃除専用のもので掃除もしてるのに。急にまめなアクアリウムになっていろいろ問題が出てきました。ちゃらんぽらんの方が案外上手くいってました。手を抜くべきか。コケ以外はもうあんまりまめにならないようにします。水質にこだわりすぎました。それで白点病か何かの病気でテトラは全滅したので。白点病なら治るといわれたので、もしかして、違う病気だったかもしれません。さて、こちらの話に戻って。雰囲気のいいところで終わってるですよねー。そのあとの展開を考えてます。あと、ラストには分岐点が出てきて、クルトが魔皇帝になるという手も出てきました。しかし、それには戦争がいる。それは避けたい。なんとか穏便なラストにしたいと思います。夢のある、ものにね。それではここまで読んでくださってありがとうございました。

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