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【連載小説+論文草稿】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(65)+「クローン技術(草稿)」

前話

ウルガーは澄ました顔で言う。
「ミスカの養子に入ったとしても、一度、実子と認知したトビアスです。そう簡単にその看板は外せませんよ。ミスカとも父上とも仲良くしたらいいじゃないですか。俺も可愛い弟がいなくなるのは寂しいですから」
「ですって」
 ぽん、とマチルダ様に向けてミスカの背中を押す。
「わわっ」
 ミスカはマチルダ様の方に行く。マチルダ様が受け止める。普通逆なんだけどねー。思いつつ見守る。マチルダ様はヨハネスお父様を見る。
「本当に離婚してもいいと……」
「エリーサは特別例だ。そなたは、恋人と引き裂かれて同盟のためだけにつれてこられた。もうその故国もない。自由に生きなさい。そのための援助は惜しまないつもりだ。ただ、トビアスの花壇は持たせてくれ。この子は孫ほども年の差はあるが、息子のように見てきた。今更、この子と別れるのはつらい。第二の父としていさせてくれないか?」
「陛下!」
 ミスカとマチルダ様が一斉にヨハネスお父様に声をかける。
「そんな身勝手をさせて頂けるのは私ぐらいです。トビアスが陛下を父と慕うなら、真実を知るまでこちらに寄せさせてください。良い年頃になれば自然とわかるでしょう。聡明な子ですから」
「トビアス! やったわよ。ミスカがお父様になってくれるって!」
「ほんと?!」
 トビアスの目がキラキラする。
「どうだ。貴族通りに屋敷を構えるより、この王城に屋敷を構えてみるのは」
「陛下?!」
 ミスカが度肝を抜かれている。そりゃ、ダーウィットお兄様の側近だもの。その重大さはわかってるはず。
「そうだな。しばらく離ればなれだろうが、屋敷を建てる。いいな。マチルダ。ミスカ。トビアス、ずっとこの父と菜園の花を育てよう」
「うん。おとうさまだいすき!」
 ドロドロの服でお父様の高価そうな服に抱きつく。
「トビアス! 陛下のお召し物が!」
 マチルダ様がミスカをマティアスお兄様に託してトビアスを引き剥がそうとする。
「よい。洗濯すればすむこと。これぐらいの泥には妃は文句を言わん」
「そうですよ。私だけ外して何を企んでいるのですか。ウルガーとゼルマが何やら企んでいたのは知っていましたが……。このような事とはね。もちろん、夫を分かつのが気に入らなかったのでもなく、ただ、この可愛いトビアスとマチルダの幸せになるのならなんの文句も言いませんよ。トビアス。お菓子がありますから、タピオ兄上達と食べましょう。陛下達は大人の話をしてくださいな。ゼルマ、ウルガー。しっかり最後まで落とし前をつけるんですよ」
「えー。お菓子はー?」
 一番、企んでいた私達は一斉に言う。
「あとで、桃をキンモクセイの宮に持って行きますよ」
「やったぁ」
 ハイタッチをして喜ぶ私とウルガー。奇妙なモノを見たという具合の視線が集まる。
「どこまで崩れたのだ。ウルガー」
 ダーウィットお兄様が言う。マティアスお兄様も目が点。
「いや、それは……」
 しどろもどろのウルガーに変わって私は答える。
「二人とも頭にお花が咲き乱れてるんです。お盆で殴っても当分治りませんわ」
「ゼルマ……。相当、俺がお花を咲かせ続けたことに恨みを持ってるね」
「もちろん。妻に隠し事を山ほど築いていたんですからね。長年の恨みはそう簡単になくならないわ」
「ゼルマ~」
「さ。マチルダ様は書斎でサインを入れましょう。それから婚礼の打ち合わせね。フローラお姉様とエーヴィーお姉様も招待しないと」
「そこに母上も入るのか?」
 恐ろしげにダーウィットお兄様が言う。母上とは実母でなく、王妃のお母様のこと。
「ええ」
 事もなげに答えて、男性陣は顔の色を真っ青にしていた。最強軍団の誕生だった。


あとがき
さて、阪神戦もころっと忘れて寝ていたらチャイムの音が連打。来たレターパッドをこじ開けるとなんと昨日注文したプレミアのついた歴史神学の本が。助かったー。方法論までついてある。ほっとして今阪神戦。花をウエルのに今までほぼ寝てました。早くに寝たのに。で、阪神戦。すごいです。大得点。でも相手も入れてきた。2点差。ああ。羊羹が食べたい。でも今から行く気力もない。まだ。眠くてたまらない。論文はクローン技術でのみなら載せられるんですけれど。ゼルマもあと一話で新連載部分に入ります。進めなければ。でも眠すぎる。本を読む余裕もない。本もちょうどいいところに来ているのです。1900年か2000年かはわからないんですが、科学者達の論議を訳していただいていてそこに信仰云々とあるんです。ここに来て助かった。読んでいてよかったー、です。科学者の話がずっと続いていて終わりかけにこの話。救われた。ホーキング氏のところまでいけるか。今日中に読み終わるかな?
ゼルマの続きをお読みいただいている方には感謝です。まだまだありますので、お楽しみください。私は受験勉強続けて、本読み終わり、寝るみたいな予定です。ちょうどデイゲームで夜は何もないので。一応、ゼルマもつなぎを考えておきます。ユメとかぶってくるのでそちらも読んでいただけるとありがたいです。

2.クローン技術をはじめとする一連の技術の説明

2.1基礎となるクローン羊を産みだした細胞核移植技術

 クローン羊ドリーを生み出したのはロスリン研究所のウィルムット博士の研究チームである。日本ではクローン牛が多く生まれたが、来日した際、羊にしたのは費用の面からであると言っていた。ジョークのつもりかどうかはわからないが、羊の乳に特別な成分を出させるために研究していたため、同じ質の肉や牛乳を作るという日本での牛に応用したクローン技術の運用の仕方とは少々違う。
 ドリーに使用されたのは6才の成体羊の乳腺細胞であった。分化した細胞に全機能性を持たすために初期化と呼ばれる化学処理(血清飢餓培養)を行って核移植が行われた。核移植と書くと細胞核だけを移植すると勘違いされる。しかしドリーの技術は細胞ごと移植する。受け皿となる未受精分化細胞の核をを抜き、遺伝子操作した細胞をまるごと移植するのである。
 そして、クローン同士は全てが同じかという問題が懸案であったが完全なコピーはできない。体を形作っている全ての細胞の遺伝子は全て同じではない。また、移植は細胞ごと行われるために細胞質も移植される。細胞質にはミトコンドリアという小器官があり、この中にもDNA(遺伝子)が存在するが、これは未受精卵のミトコンドリアDNAに置き換えられる。クローンされるのは核内の遺伝情報にすぎず、ミトコンドリアDNAは未受精卵に由来することとなる。
 しかし、人間の女性が自分の体細胞を自分の卵子に移植した場合は、遺伝子的に全く同じクローンができ上がる可能性は高い。もっともこの場合、男性は誕生しない。また、遺伝子の生物の表現型への関与は30パーセント程度である。大部分が外的環境に影響されると予想されている。一卵性双生児の性格が違ってくるのもそのためである。「一卵性双生児の人格特性は50パーセントの相関を示している。対照的に、二卵性双生児では25パーセントの相関であり、双子以外の兄弟では11パーセント、他人の間ではほとんどゼロに近い」。 このドリーは277分の1で生まれたため 、に本当にクローンなのかと疑問の声も大きかったがドリーはもう生存せず、今は博物館で静かに眠っている。

論文草稿より

番号は仮ふりです。前に歴史神学と類型の方を先にするかもしれません。歴史神学の方は次かその次に読んで勉強します。「生命と非生命のあいだ」が気になるので。光学も手に入れないと。疑問31がみたい。もう七回だ。眠いよー。

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