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【新連載・ロマンス・和風ファンタジー小説(オマージュ)】あなただけを見つめている……。 第一部 クロスロード 日史番外編 日史からはじまるハッピーウェディング

 沙夜が帰ってきた。使用人全員が出迎える中、公式の場にはあえて出ないで、プライベート空間のリビングでのんびり母の帰りを待つ一同である。吉野は步夢の側用人だが、沙夜がもどればまた沙夜の側用人になる。当主は沙夜だからだ。そういうわけで吉野は表に出ていた。
「吉野いないのかー。おもしろくなーい」
「母さんが当主なんだから仕方ないだろう」
 なにかわからないパンをかじりつつ当騎は言う。さっきまで征一とチェスしていたが、あきて勝利品の菓子パンを食べている。
「いいもーん。ちきちゃんがいるから。ねぇ」
 光の巫に仕える神獣の千輝はもう步夢から離れることはない。相思相愛の仲だ。それを当騎が邪魔をする。
「いけない不倫すな」
「母と子でするもんですか。するんだったら日史とするわよ」
 その言葉にどきっとする当騎である。そのどきを隠しつつ步夢をホールドする。
「お前は俺しかみちゃだめなの」
「わかったから。彼の地に行く前にちづちゃん探してあげてよ」
「そんなのお前の方が得意じゃないか」
「の、はずなんだけどねぇ。完全覚醒じゃないみたい。記憶のいくつかがおちてるの。能力も」
「そうなのか?」
 びっくりして步夢を当騎が見る。
「ねぇ。優衣もあやふやな部分が出てきてるよね」
「はい。いくつかの前世の記憶が欠落しております」
 それを聞いた暖ががーん、と首を垂れている。
「暖は覚えているのか?」
「いや」
「だったら、がっくりすな!」
 全員に突っ込まれる。
「ちづちゃん、いつも病院関係じゃなかった? 院長先生の娘さんとかあったじゃないの。日史は吉野家専属の医者だから、ちょっと他の病院さまよえば見つかるかもしれないわよ」
「さまよえば、って。部外者がうろうろしてたら不審者だよ」
 一向に愛しのちづちゃんが見つからない日史は不機嫌だ。
「智也が居ればねぇ。占い得意だったのに」
 いや、と日史は言う。
「智也もわからなかったらしい」
「おや。すでにトライ済みか」
 征一が突っ込む。
「征一の奥さんも居ないわねぇ。私たちの強い味方だった人」
「こりゃ、彼の地にとどまるやつと帰るやつに別れるな」
「え。とどまるつもり?」
「いい加減子孫返さないと暴動が起きるぞ」
「あー。アユも嫌な約束したわね。でも彼の地の浄化も進んでいるようだしそうなるのかしらね」
「ちづちゃん!!」
 日史がいきなり立ち上がって名を呼ぶ。
「シンさん!」
「チヅちゃん!」
 二人熱く手を握り合っている。
「え? 付き添い看護婦さんがちづちゃん?」
 步夢達は見つからないと思っていたのにまるでいきなりピースがはまったように出会った二人に驚いている。
「今はかなこ。加奈子と書きます」
「かなちゃん。僕と結婚してくれるね」
「もちろんです! シンさんのご両親にご挨拶を」
「ちょっとちょっと。そこまで話進めない。まずはお母さんの面倒見て。病み上がりなんだから」
 步夢と優衣が二人を引き離す。二人ともロマンスではなく親孝行だ。
「新婚旅行で彼の地へgoか?」
「まぁ。おめでたいこと。日史の親代わりの私がしっかりと日史をお婿に出しますよ。さぁ、二人とも婚礼衣装を決めましょう」
 元気になった母は養子として迎えている日史と加奈子の縁組みにすっかり夢中だ。昔は威厳ある姉としていたが、こうもミーハーは母だとどっと力が抜ける。これが当主の素顔としれればどうなるか。死守せねば。步夢と優衣は手を握る。
「姉妹仲良くはよきことかな」
 そう言って征一は茶をすする。ししょーもオンラインで朝の祈りを捧げている故、滞在し放題だ。過去の絡んだ人間が少しずつこの屋敷に集まってくる。何が待っているのか。不安な気もするが、まずは母を死守する。
「お母さん。退院したてでしょ。まずはベッド。おかゆ。日史がおいしいおかゆを炊いてくれるわ。ね。日史」
「いいよ。何かゆがよいですか。当主様」
「もう。養子にしたのですから当主様はいりませんよ。母と呼びなさい」
 それには日史も一瞬面食らったが、やや照れたようにはい、と日史は答えた。
「まぁ。日史はよい息子ですね。孝行息子は何人居てもこまりませんね」
「孝行娘もでしょ? お母さん」
「はい。母様。お部屋までついて行きますわ。日史は式場のパンフレットでも」
 パンフレットにさすがに驚く。
「吉野家はあっという間に嫁に出さないと行けませんからね。ねぇ。步夢」
「お、おおおお母さん! その話はー!」
「恥ずかしいの?」
 沙夜がにんまり笑って步夢を見る。
「とりあえずは日史の結婚式――。私はいらないのー」
「いらないのか?」
 しょぼんと当騎が言う。
「当騎? そんなにがっかりするの?」
「なーんてね。日史が婿にいかんとむーと式が挙げられないからさっさといけ」
「鬼」
「俺はむーの婿養子だからな。日和見なの」
「新婚旅行先も決めておけば?」
「暖まで!」
 男でわいわい結婚式話で盛り上がる。女の話だと思っていたのだが。步夢も優衣も肩をすくめると沙夜を自室へ連れて行く。

 日史から始まったハッピーウェディングはどこまで続くだろう。楽しい話が続けばいい。そう步夢も優衣も願っていた。


あとがき
いやぁ、載せようと思えば、ラストが消えてた。確かにラストを書いた覚えがない。そのまま第二部に突入していたらしいです。そして今日はオールスター二日目。あんなに、昨年遊んでいた様に見えた試合。今は真剣に見える。まぁ。すごい人たちがそろう。侍ジャパンが15人いる。だけど、守備に穴があるように見える。まぁ、シーズンじゃないからそんなに必死にならないよね。でも、つい突っ込む。守備甘い! と大きな声で突っ込む。今日は執筆できるかなー? 次はどうなるやら。配役がすごいことになってるし。日史君はいつも通常の道を行くので安心ですが。あの、シンさん、ちづちゃんで誰かわかった人はすごいです。ちづはオリキャラ。半二次です。これはオマージュなのか??
とりあえずあげておきます。今日で16日。貫徹なので寝転びながら観戦してます~。ここまで読んでくださってありがとうございました。

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