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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:緑の魔法と恋の奇跡 第六話 ヴェルディスの森の老賢者メリウス

前話

十把一絡げのマガジンは以下にて

「こっちよ」
 柔らかく微笑みながらエレナ・シルヴィアは童女に戻ったかのように走り出す。ライヴァンも負けじと走る。肩にいるティアはふり落とされないように必死にライヴァンにしがみついている。
 森の中を颯爽と走る二人である。ある地点に来るとエレナ・シルヴィアは立ち止まった。
「この森の中に?」
「ええ」
 そう言ってエレナ・シルヴィアは手をさっと振った。すると扉がどこからともなくぽんと現れた。その扉をエレナ・シルヴィアは開けて入る。慌ててライヴァンも入る。中は暗く、エレナ・シルヴィアが小さな魔法の光を灯して進んで行く。突然、ティアはライヴァンから降りるとたっと駆けていく。エレナ・シルヴィアが入った道の先にその部屋はあった。ティアが老人からクルミをもらっている。いや、老人とは失礼だろう。この人物が老賢者メリウスなのだ。
「エレナ・シルヴィア。古代聖樹の森に行ったのかね?」
「ええ。それでメリウスにこれを預けに来ました」
 ぽん、とまた鞄が出てきた。
「『森の心臓』と聖典じゃな。全てがうまく行くまでここで預かっておこう。それと、もう恋人ができたのかい?」
 メリウスがライヴァンに視線をやる。
「恋人だなんて。王子よ。この国の。王国も荒廃し始めているらしいの。それで一緒に生命の泉を探す事にしたのよ」
 少々、恋人説を即否定されてがっかりはしたが、最初のツンケンした頃よりはよほどいい。エレナ・シルヴィアは気は強いものの、波打つ金の髪に深い緑色のドレスを纏い肌は透けるように白い。男なら誰しも魅了される姫君だ。ただ、妖精と人間の間の河は深いが。この女性が同じ人間ならば、誰もが放っておかないだろう。金の髪を彩る森の草花を模した小さなティアラも似合っている。今は旅支度して最初にあった時の姿ではないが、やはり森の深い色を随所に纏っている。真からの森の女性なのだ。そこまで考えて、妖精にも男性女性という区分けがあるのだろうか、とライヴァンは考え込み始める。
「ライ。どうしたの? 次の目的地の事を聞かなきゃ。ライー」
 何か目の前でひらひらしたものがある。それがすっと消えると頭に鈍い痛みが走った。
「おはよう。考える王子様」
「あ。ああ。また一人物思いにふけっていたのか……」
 殴られても怒る気にはならなかった。ライヴァンは時々思考の泉に落ちる時がある。そんなときは殴るぐらいでないと戻れない。一日中考えていた時もある。
「またって。いつもそうなの?」
 呆れた口調でエレナ・シルヴィアが言う。
「物思いは時として宝じゃ。そう。姫も目くじらを立てるでない」
「メリウス……。そうなの?」
「まぁ、そう言うかばい方もあるってことだ。メリウス殿、かばって頂きすまない。ただ、この物思い癖は幼い頃からついて回って散々痛い目に合ってるのだが、治らない」
「ま。そういう思考はそんなもんじゃ。世迷い言はこの辺にして次に立ち寄るとよい場所を伝えよう。ただ、忠告もある。こことは大きく違った世界じゃ」
 エレナ・シルヴィアとライヴァンは地図をテーブルに広げてメリウスの話に耳を傾けたのだった。


あとがき
これも七月が最後でした。半月ほどお目見えしなかったので、まとめ読みするほどの話数はたまっていないものの、マガジンも載せておきました。これも残り十話ほどありますが、やはり、続いているものが先決かとしつこく」星彩の運命と情熱」と「風響の守護者と見習い賢者の妹」になっております。この話もたまには載せるので、旅立ってはいるものの第一関門突破する前で止まっており山ってどう登るの? 状態です。それは次話にて明らかに。一応景色とかは調べてあるのですが。富士山を思い浮かべればいい、わけで。ただ、アイスマンの発見された山が理想でして。あんな所の山ってどうなの? なんです。まぁ、これからも出すので見守って頂けると幸いです。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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