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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:星彩の運命と情熱 第四十五話 セレスの戸惑い~私が規格外ってどういうことよっ!!

前話

 セレスは病院でリアナが側にいると言ったが、経過観察が良かったので、病院併設の住居に全員が暮らすこととなった。
 だが、セレスの人間で言えば表情が優れない。
「どうしたの? セレスちゃん」
 リアナが優しく聞く。
「ボク? ワタシ? ヨク ワカラナイ」
「僕がすんなり行くなら僕で良いのよ」
 フィオナが言う。
「そうね。私を強要する気は無いわ。ただ、女の子になって戸惑っているから一般的な言い方を教えただけ。好きにやりたい放題でいいのよ」
「ママ ミタイニ?」
 セレスの答えに一同が吹き出す。セイランが口を出す。
「ママは普通じゃないからフィオナを見習った方がいい」
「ちょっと。それどー言う事よ!」
 リアナがセイランにかみつく。今頃、あのショックがリアナを襲っていた。失うかもしれなかった命。命の裏表を見たリアナだ。自分はあのまま死んでいればどうだっただろうか? あのままぷちっと全てが終わってフィオナにも謝ることができなかったのだろか。そんな暗い表情で考え事に沈んでいくリアナにシルヴァリアが手をかける。
「ママ ジブン ヲ オイツメナイデ。セレス ニモ セキニンガアル。ママ ノ セイジャナイ」
「シルヴァリア……」
 リアナの瞳から涙がこぼれる。セイランがリアナを連れ出す。また真珠の涙をこぼされれば大変だが、セレスもシルヴァリアもなんともない。当分、ここに滞在するならば、必要ない。真珠の涙は山ほど売っていた。セレスとリアナが一緒にいたとき、シルヴァリアと村を一周した。シルヴァリはまだ性別が分かれる頃だったからナンパされて大変だった。が、どうも対のフェアリードラゴンがいると知るとこの村のことを教えてくれた。ナンパされてからこの村の説明を聞くのは面倒見が良すぎて度肝を抜かれた一人と一匹である。
 
「リアナ。気持ちはわかるが、一人で自分を追い詰めない方がいい。皆、解っている。一人の普通の女の子背中に世界の命がかかっているとなれば、誰でも恐れおののく。重圧に潰される。それから戻ってきて使命を全うしようとするリアナはセレスの大事な手本となる。一緒にあの二匹を育ていこう」
「セイラン……」
 リアナの目から涙があふれる。すがりついて泣きじゃくる。どれだけその涙をこらえていたのだろうか。感情が一気にあふれ出ていた。
 そこへ、心配していたのか、主の感情を感じ取ったのかシルヴァリアがやって来て肩にに止まる。そして言う。
「ママの涙。僕達に命をくれた。もう、大丈夫。セレスも無茶をしないと約束した。これから女の子になったセレスの支えになって。僕がリアナに支えられた様に……」
 片言でも不自然な言語でもない言葉がシルヴァリアから出てくる。その言葉にリアナは驚く。
「大丈夫。ここのフェアリードラゴンに言葉を教えてもらった。今も色んなフェアリードラゴンと意識が通じている。だから、ここにいる間は、リアナと一緒に話せる。ママ。セレスがお腹空いたって騒いでいるよ。ママのドラゴン食が食べたい、ってだだこねている。涙を拭いて作ってあげて」
「シルヴィ……」
 リアナが愛称で呼ぶとシルヴァリアは少し困った表情をする。
 
 フェアリードラゴンはこんなに表情が豊かだったかしら?
 
 ぼんやりした頭でリアナは思う。
「シルヴィって女の子の呼び方だよね。男の子用の呼び名考えて。僕男の子だよ」
「ああ。そうね。またパパと一緒に考えるわ。さぁ。セレスちゃんの元へ行きましょう。セイラン。パパもドラゴン食勉強しなきゃね」
「そこらに売ってるのに」
 文句をたれるパパことセイランにリアナの雷が落ちる。
「セレスちゃんにいい加減なもの食べさせる気? 手術したのよ!」
「あー。そうか。じゃ。シルヴァリア、行こうか」
「うん」
 パパは息子と行ってしまう。その後ろ姿が力強くて安心する。
「さて、セレスちゃんの好物を作ってあげなきゃ」
 なんとなく近づいたセイランとの距離に妙に心地よさを感じながら、リアナはセイランとシルヴァリアの後を追った。


あとがき
里にいるだけなのか。話せるのは。うーん。設定を変えようかなー。なんて事をかいておりますが、45話で一度掲載を止めます。あと数話でストックが終わる。現在「風響の守護者と見習い賢者の妹」のため、時間が取れません。「緑の魔法と恋の奇跡」をお届けします。この三つでうごいてるなぁ。ほんと。結局雨はふらなかった。居眠りをしたけれど。どれだけ寝ても足りない。ふたたびゴミ箱がティッシュで埋まる。Spotifyで草尾さんの名前出したらトルーパーの歌が流れ始めてびっくりした。一昨年か去年が記念の年だったらしく何かが出ている模様。まぁ、大分離れたし、いっかと調べずにおいてあります。二次も最近とんと書いておりませんし。一次創作ばかりです。そんな星彩もやっとドラゴンの里を離れられる。蒼と紅の戦争の話に触れられなかったのでどうしようかとは思ってますが。三十八話がとんだのが大きいです。途中でぽんと入れてもつながりが悪いし。あー。茶が飲みたい。入れてこよう。それではここまで読んで下さってありがとうございました。

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