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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:煌星の使命と運命の絆~星の恋人達~ 第四話 嵐の中で立っている剣士

前話

 来る日も来る日もアステリアは北東を目指して街道を歩いていた。北東にあるエレスティアの聖堂しか目的地がなかったのだ。街の宿屋でそれらしき噂話を耳にするかと思ったが、星の守護者の失踪事件は巷には流れていなかった。煌星の神殿は一般の人間には雲の上の話らしい。王がいることも知っていてもそれが自分達の生活にどれほど関わっているかも考えないらしい。確かに現、国王は女性だが、男装している。威厳を失わないため、と聞いたことがある。神聖な立場なのだ。アステリアはそんな空間に普通に住んでいたため周りの人間と感覚がずれていると感じている。容易に自分の住処のことは言えなかった。
 
 そんなある日、上の空は晴れているのに目の前には嵐が吹き荒れている野原があった。謎の気象現象に興味を持って近づく。
 嵐の中に剣士が剣を掲げて立っていた。すごい風と雨の中でこの人は何をしているんだろうか、と足を踏み入れた。雨脚が少し弱まる。剣士がアステリアに気づいた。
「アステリア、だね?」
 剣士の言葉にアステリアはロッドを強く握って警戒した。
「警戒しなくてもいい。俺も星の子として生きてきただけだ。君の事をなぜか知っている。夢でいつも君となって煌星の神殿で一緒に育っていた。俺にも星の使命があるらしい。昔から不思議な事を起こして村を追い出された。それからは傭兵として生きてきた。それでも君の夢はついて回った。それもようやく終わる。本人と会ったんだからね」
「夢?」
 アステリアは不思議そうに聞く。自分はそんな夢を一つも見ていない。
「いいんだ。こっちの都合だ。それより一人旅は危ないんじゃないか? 星の子でなくても君を守る傭兵に雇ってくれるとありがたいんだが。今はどこの国も平和で雇ってもらえない。お金をくれとは言わない。食い扶持だけ確保してくれたら良い。寝床も宿屋でなくても寝れるからね」
「そんなお金持ってないわ」
 不機嫌そうにアステリアは言う。一方的に話を進められるのが気に食わないのだ。
「ごめん。君の都合を考えないで話したようだね。俺はアルカイオス。アルと呼んでくれ。君は確か、アスティと呼ばれてるね。そう呼ばせてもらってもいいか?」
「別にいいけど」
 つんとそっぽを向いてアステリアは答える。その表情が面白かったのかくつくつ笑う。
「アスティは人見知りなのかい? 夢ではいつもお茶会を開いていたけれど」
「お茶会まで知ってるの? だったら星の守護者がどこに消えたかもわからない?!」
 アステリアは希望を持って聞く。しかしアルカイオスは首を振る。
「俺はアスティの視線から見ていただけだから星の守護者がどうなったのかはわからない。でも北東のエレスティアの聖堂に向かうんだろう。一緒に行っていいかい?」
「一つ、質問があるんだけど」
 アステリアは聞く。ん? とアルカイオスは聞き返す。
「どうして嵐の中にいたの? 嵐を呼べるの?」
「そうとも言える。ただ、目立って君の興味を引けるように星に頼んだらあんな嵐がやってきた。君との出会いも嵐の中の雷のようだよ。わからないけれど、君の顔を見て衝撃を受けた。見たかった顔にやっと会えた」
「あなたの方が星の子に向いてるんじゃない? 私は魔法しか使えないわ」
 こんな大層な旅今すぐにでも押しつけて帰りたかった。アステリアはなんだか泣きたくなる。
「ごめん。煌星の使命は二人で一緒なんだ。君がいないと困る」
「困る、って。率直に言うのね。涙も引っ込んじゃったわ。じゃ、エレスティアの聖堂まで行きましょ」
 アステリアはまだ泣きたい気分を引きずりながら歩き始める。アルカイオスも歩き始める。嵐はもう止んでいた。
 
 対の星の子。見つかったはいいが到底好みではない。もっとクレイヴィスみたいに冷静沈着な人が良かった。アルカイオスはおしゃべりしすぎだ。あることないこと話す。それでアステリアの心の中は乱れていた。
 こんなに早く見つかるなんて。こんな人、星の子じゃないわ。
 
 いつしかアステリアは憤慨しながらずんずん歩いていた。途中でアルカイオスに首根っこを捕まれる。振り落としたかったが次の言葉で動きを止める。
「街道の別れ道だ。こっちだ。エレスティアの聖堂は」
 
 こうやって星の子二人の珍道中が始まったのだった。


あとがき
早速、昨日のお約束のものを。
なぜか、今朝は出社拒否と言うより辞職願望毅になっています。いや、今仕事を辞めるわけにはいかない、という事情があるのに頭の中では辞めたいとコールしてます。

かといって本当に辞めるとヤバいんで、今日は出社します。起きた途端、ドライアイで目が痛かったのですが、今はなんとか収まってます。

二時間で帰るという手もある。とりあえずは時間があるので、更新作業。

なんなんだろう。五月病には遅すぎる。ただの鬱状態でしょうか。
憂鬱というのとは別でこのハードなスケジュールに悲鳴が出てるだけなんですが。明日も休みなのに施設の見学。行きたくない。かと言って就職支援のみのつながりにしようという公的機関のためにはもう行くしかないんですけどね。

はぁ。疲れる。燃え尽き症候群かもしれません。漢検4級の試験が終わって気が抜けてしまったのかも。合否がわからないのが困る。40日かかるそうで。オンラインでは30日後らしいんですけどね。

と、ぼやきはこの辺で。昨日、五話書いたら変な成り行きになってしまった。設定にある友人を出し損ねたので冒険パーティのメンバーにしたらどっかで見たことのあるキャラの合体になってしまって。まぁ、わからない人ならいいのですが、この言葉はアレだし、この態度と力はアレだし、になってます。その子のおかげでラブコメになってしまいました。

六話目をどうするか悩み中。しばらく当分更新はこれに関してはお休みかも。目的地の詳細な設定をしてないため、詰めないと。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

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