見出し画像

【連載小説】ファンタジー恋愛小説:ユメという名の姫君の物語 第三話 -ユメ-としてのドレス

前話

 早速鼻頭の色が落ち着くとお母様はドレスの絵を出してきた。色とりどりの艶やかなドレスが描かれている。
「さぁ、リンダにはどれがいいかしら」
 ページをめくってはお母様が言う。ふ、っと一つのドレスに目が行った。
「これ・・・」
「これが気になるの? 少し昔風よ。お洒落にするには流行を抑えないと」
「でも、これが気になるの。すごく」
 昔、着ていた気がする。そこへ、あらまぁ、とお母様の声が上がった。
「代々、ユメ姫が召していたドレスに似せたドレスですって。やっぱり、どこかで『ユメ』なのね」
「え・・・」
 絶句してしまう。ユメなんて嫌ってるのに好きなドレスを選ぶだなんて。複雑だった。私は本当に『ユメ』姫になってしまったの?
 言葉にならない思いで見ていた私の頭をお母様が引き寄せる。
「『ユメ』でも『リンダ』でも、私の娘に違いないわ。これからこんなことが多く起こるわ。いちいち気にしていれば切りがありませんよ」
「でも・・・」
 やっぱり『ユメ』は嫌い。私の全てを奪ったんだもの。
「そんなにドレスを睨まなくてもドレスは何もしませんよ。違うものにすればいいのよ。ほら、これなんてリンダがよく着ていたドレスよ」
 そのドレスはシックで非常にノーマルなドレスだった。お洒落の欠片もない。
「私、そんなに仕事着みたいなドレスだったの?」
「そうよ。リンダはお寝坊なんてしなかったし、執務の鬼だったわ。少し性格が円くなってほっとしてるのが母とデリアですよ」
「そんなにつんけんしていたの?」
 ええ、と二人揃って言う。
 破滅的な姫だったのね。通りで行き遅れる訳ね。先ほど、聞いた年齢は適齢期を少し越していたという。いい相手がいないかと頭を悩ましていたときにちょうど『ユメ』姫となって嫁ぎ先も決まったとお父様は安心したらしい。『ユメ』だけじゃなかったのね。喜んでいたことは。複雑な気分。
「きっと嫁いだらお父様は寂しくて毎日泣きますよ。末っ子の姫があの『ユメ』姫になったと喜んでいますが、嫁げば寂しいと毎日嘆きますよ。可愛い末っ子の姫なのですから。父親に似て政治も詳しくて頼もしい片腕でしたからね。お父様は片時もあなたを離さなかったのよ」
 意外だった。「ユメ」としてとっとと嫁に出したいと思っていると思ってた。それが泣くなんて。あのお父様に可愛がれていたのは想像しがたい。あんなに「ユメ」を連発してたのに。
「父親も複雑なのですよ。さぁ、おしゃべりよりドレスを選ばないと。もうちょっとこちらに来て見なさい」
 ぐいっと引き寄せられてカタログの上にダイブしてしまう。メリッ、と言う音に恐る恐るカタログを見ると壊滅的状態だった。
「ユメ。支度は進んでおるか? と。シャルロッテ! 何をしとるんだ!」
 ユメと言っていたのにカタログが壊滅的状態になっているのを見ていつも呼んでいた名前が出たお父様だった。お父様も案外普通の父親なのね。にんまりしてお父様を見る。
「お父様。こんながさつな姫が『ユメ』姫なんてありえませんわ。もう一度再考して下さい」
「シャ・・・いや、ユメ。もう遅い。相手方にもう知らせてしまった。縁談を進めると言うことになっている。いざとなれば出戻りでも父は良い」
 出戻り! 恥ずべき事態でもいいという父親に本当に娘にメロメロだったのか、と納得したのだった。


あとがき
ここでいつものエッセイの勉強を繰り広げているため、気づけば記事はほぼ小説。たまにはエッセイの勉強もと思うも、ネタがない。というか今夜は寝られない。この間追加された薬が今週の土曜日から一包化されてシートで足りない分をもらったのですが、なんと日数がたりなくて10日分が7日分に。ので今日は飲めない。ということで眠れぬ夜にと更新作業。眠くならなくて困ってます。やっぱり飲んだ方がいいのか。母が余らせているものと同じなのでミリ数も一緒だし頂戴とはいえるけれど、それよりも寝付いてないことで叱られる。あれがないと眠気も来ない。漢検でも進めるか。

か。エッセイの勉強の記事を書くか。って、ネタは終わった。薬のことぐらいしかない。

寝たいよー。熱くて布団にも入れない。かと言って温度を下げれば寒すぎる。ちょうど良い温度がないので困ってます。って困ってることばかり。

日付変わる頃には眠れるか。そんな予感があります。今日は三作品ぐらい書いてますね。細かく書くと長くなるので書かないのですが。

とにかく、これを投稿しておきます。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?