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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:星彩の運命と情熱 第三十六話 グレートファーザー~フィオナが水を得た魚状態なんだけど?

前話

「リアナ。あなた達が次にあう人はエルモスとエルモアです。大陸の中心部の里山、エルハリムの聖なる里山に二人が待っています」
「グレートファーザーが二人?!」
 フィオナだけ解っている。マルコは聞きかじっているのか大して驚きもしていない。
「フィオナやマルコにも伝えられる真実があります。ただのお供ではないのです。あなた達四人で挑む試練なのです。ああ、シルヴァリアとセレスもいますね」
 放り出されて文句たらたらといった風のフェアリードラゴンに向かってオリヴィアは言う。
「みゃー」
「うなう~ん」
 二匹は満足げ鳴く。
「里山ってなんですか?」
「リアナ。学校で勉強したでしょ?」
「覚えていない。確か、シルヴァリアの育児の時だから」
 そりゃ、聞いてないわな、とフィオナ含め、納得する三人である。フェアリードラゴン育成期間にリアナに理性は無い。母性だけだ。グランドマザー顔負けの過保護ぶりだ。セレスでマルコもセイランも知った。フィオナだけが二回目の過保護ママを知っていた。
「山と里の境にある人と野生の動物が行き交いする領域だ。人の手によって山の麓は手入れされ、そしてそれは野生の動物たちの里に下りない限界地点となる。野生の動物たちの食料も人間が里山に手入れして整えるんだ。そのおかげで野生の動物たちは里に下りて悪いことをしなくなる。非常に重要な場所だが、最近その里山が消えつつある。それで村に熊や鹿が降りてきて作物を荒らすんだ。ゆゆしき事態だ」
 歴史には詳しい、セイランが説明する。
「ふーん。で、美味しいの?」
 グレートマザーまでが椅子から転げ落ちそうになった。今の説明を聞いてどうして美味しいお菓子になるのか。そこで、オリヴィアが気づく。
「難しい事を聞きすぎて脳に糖分がないのですね。セイラン、マルコ。軽食を作りますよ」
「どうして俺が……」
「フィオナー」
 二人がずるずる引きずられていく。
「どうして、男の子が料理作るの?」
「あなたが糖分欠乏で、ろくに働けないからよっ。……怖いのね。これから」
 フィオナがリアナを抱きしめながら言う。うん、とか細い声が聞こえてきた。
 リアナは理解していた。そしてそこで聞かされる真実が怖かった。どういう反応をすればいいのか解らなかったのだ。グレートマザーもそれを察したのだろう。簡単な理由をつけて一番心を開いているフィオナと二人きりにしたのだ。今回はフェアリードラゴンは足下でじゃれついている。この二匹もリアナの恐怖を感じ取っていた。これ以上の事実はいらないのだ。だが、自分がどうして癒やしの雨の娘に選ばれたのかわかるのではないかとリアナは推測した。自分はこの使命を全うすると言った。言ったはいいが、恐怖が先に立つ。いつになってもリアナはリアナなのだ。普通の魔法使いの家に生まれた普通の少女なのだ。
「大丈夫。私がリアナを助ける。そういう事になっているのよ」
「どうして、そこまでしてくれるの?」
「友達だからよ。私の一番大事なごく普通の魔法少女だから。私は母からいくつかのことを伝えられたけれど、これはリアナが自分自身で受け入れたときに話しなさいと……」
 フィオナは最後までで言えなかった。ウソをついている気になったからだ。
「わかった。グレートファーザーの所で聞くわ。って。暑苦しい。いつまで抱きしめてるのよ。抱きつく相手が違うでしょ」
「いいの。リアナの方が大事だもん。でも、また嫌われちゃうかな?」
 今度はフィオナが弱気になる」
「あんたを嫌いになる事はないわ。自由な身に憧れても」
「リアナー」
 ぎゅぅっとフィオナが抱きしめる。呼吸ができず、リアナは手をばたばたさせる。セイラン達が戻ってくる頃には絞め殺されるかと思ったというリアナがフィオナに手業をかけて、今度はフィオナがギブアップのカウントをはじめていた。
「なんだ、フィオナ。そーいう仲だたのか」
セイランの言葉にばっと離れる少女二人だった。
「フィオナ。私よりリアナが好きなか」
「マルコ!」
 リアナの器用な格闘技は終わり、天窓から見える空を見上げる。
 窓から見える空は七色の光が輝き四人を照らしていった。


あとがき

毎日更新が101日目で終わったため、もう小出しで出していこうということでエッセイの勉強の記述から一転。止まっていた「星彩の運命と情熱」掲載します。毎日この話では無いため、お待ちください。とはいいつつ明日はこれでしょうが。十話は確保した。他の話も進めなければ。眠気も一気に飛びました。風響~も一話ぐらいは書けそうなので夜に粘ってみます。

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