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【再掲載小説】恋愛ファンタジー小説:最後の眠り姫(44)

前話

「さぁ。フリーデにはシックな大人な緑のドレスなんていいわね」
 大量にある自分の服から選ぶ。カロリーネお姉様もこんなウキウキした気分で、選ばれていたのかしら。それなら、またお母様と衣装の事を話しましょう。もちろん、フリーデも巻き込んで。
「え、エミーリエ様?」
「何?」
「さっきからにやにやなさって恐ろしいです」
 そんな顔をしたのね。危ない、危ない。巻き込むまでは素知らぬふりをしておかないと。
「そう? カロリーネお姉様もこんな楽しい気持ちで私の衣装をあれこれ選んでいたのね、って納得してしたのよ」
「え、エミーリエ様もカロリーネ様の仲間入りですか?」
「そしてあなたも、ね」
 フリーデはぎょっとしている。
「いずれ本当の姉妹になるんですもの。お母様達ともちろん、衣装の競い合いっ子よ」
「それは、じ、辞退させ……」
「ないわよ」
「カロリーネお姉様!」
「ふふ。エミーリエ楽しさがわかるようになったのね。フリーデとヴィーが優雅な夕食会をすると聞いてアクセサリーを持ってきたわよ」
 宝石箱を開けると眩しい、宝石のアクセサリーがたくさんあった。
「まぁ、すごい!」
 これでいくら分なのかしら。つい、貧乏性が出る。家一軒は建つわよね。何軒も建つわ。
「エミーリエ。なに考え込むの。これは代々王室に伝えられてきた宝物よ。お金の問題では無いわ」
「あら。お姉様、いつの間に私の考えがわかるようになったのですか?」
「考えなくても、貧乏性のあなただもの。最初に考える亊はわかっていてよ」
 なんだ、と落ち着く。てっきり声が届いていたのかと恐ろしかったわ。
「エミーリエ。姉上。ドレスをさっさと決めてフリーデをよこして下さい。料理が冷めます」
 扉の向こうでクルトの声がする。
「はいはい。さぁ。フリーデ観念しなさい。一度、あなたを着せ替え人形にしたかったのよ」
 カロリーネお姉様が腕をまくる。フリーデがおびえる。
「まぁまぁ。まずは試しよ。薄化粧もするから」
 そう言って私はさっき選んだ緑色のドレスを渡す。
「どこで、着替えるのですか?」
「ここ」
 私とお姉様の声が重なる。フリーデが青ざめる。人前で着替えたことは本人はないらしい。私にはさせているくせに。
「はいはい。邪魔者は一度出ますよ。窓から出るなんてダメだからね」
 私とお姉様が一度外に出る。クルトの側にヴィルヘルムが不安そうに立っていた。
「なんて目をしてるの。ヴィー。レディは綺麗にする必要があるのよ」
「って、姉上達がこぞってイジってるからフリーデは逃走するかと心配なんだよ」
「大丈夫。念は押してあるし、窓は簡単には開けられないわ。私の安全がかかってるんだもの」
 頃合いを見てノックをする。はい、といつもより細いフリーデの声がした。
「でしょ? じゃ、行きますわよ。お姉様!」
「ええ」
 フリーデをより魅力的な姫にするため私とお姉様は、突撃していく。その後ろでクルトが「エミーリエが姉上になった」と嘆いているのが聞こえたけれど無視した。これが終われば私もクルトと優雅な夕食を取るつもりだった。その事も、私の気持ちを高揚させていた。恋は病ね。ほんと。しみじみ思いながらフリーデのアクセサリーを二人で選んでいた。


あとがき
看病塚彼の書き手です。己の体調も薬の副作用で危ないのに、魚も瀕死の状態。質の悪い感染症です。店員の方に話を聞けば気長に、とのこと。しかたない。隔離したことだし、とそっと治療中です。コリドラスだからよけい気を回す。薬だめなんですよねー。基本。それをほんのひとつまみほど入れての治療。どう転ぶかわからないもんですから気をもむこと。最近、水槽をいじりすぎておかしくなったので、水草水槽で水草投入に気を回わしてます。ので、こちらの更新も一日おきぐらいならいいかな、て感じです。一応最新話は書きましたが、その次がまだ。もう一山か二山こさえないとなぁという具合です。しかし。今日は疲れ切った。来週は漢検。そして恒例の土曜日であることに今、気づきました。気が回れば千字掌編をあげます。まだ何もないです。季語すら見てない。チョコレートコスモスを売っているのを見たので花言葉でと思ってもチョコレートコスモスの花言葉はよい花言葉ではなかったはず。これも没かーと何が秋かしら、と思ってます。一句詠みたい気分。でも駄作なので没です。それでは明後日お会いしましょう。ここまで読んでくださってありがとうございました。

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