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【連載小説、あとがきつき】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(62)

前話

 菜園から帰り、ちびっ子達とどろんこになって、また、キンモクセイの宮に帰ってきた。アーダは私を見るなり、お風呂へ! といい、タピオ達はダーウィットお兄様と戻ってきていたウルガーに捕まってどこにあるかも知らない大浴場に連れて行かれた。
 さっぱりして、お風呂から上がるとアーダがバスタオルを持って待ち構えていた。
「もう。そんな泥棒を捕まえるように待ち受けていなくても……」
「ウルガー様も準備万端ですよ」
「そうなの?」
 それは熱風機で髪を乾かして結ってくれるという事だった。この時間が私はとても好きだった。別に多く話すこともないけれど、二人だけでいられる特別な時間だった。
「姫様はウルガー様にぞっこんなんですねぇ。来た頃はけんもほろろでしたのに」
「住めば都よ。さぁ。アーダ、おしゃべりはお終いよ」
「はいはい」
 アーダが丁寧に髪の水気を取っていく。そのまま乾かすこともできるけれど、次はウルガーとの大切な時間が待っていた。
「ウルガー!」
 長い髪のまま突撃していく。
「うわっ。ぶつかるじゃないか」
「だって。ウルガーとのこの時間は大好きなんだもの」
「実は、俺も好き」
 そう言って額に予告なしの「ちゅー」をする。私は椅子に腰掛け、前を向く。するとウルガーが丁寧に一束ずつ髪を取って熱風機を当てていく。熱風機の音は大きくて会話はできない。でも、この時間は大好きで大切だった。ウルガーもそうだといいけど。
「ゼルマ!」
「何!」
 大声のやりとりになる。
「この時間は俺にとって大切な時間だよ!」
「まぁ!」
 同じ事考えていたなんて。思わず振り返って首に手を絡ませる。
「ウルガー大好き」
「愛してるって言って欲しいな」
 熱風機の音は止んでいた。そこへネコだましが入る。
「はいはい。その欲求不満の恋人達。話があるからこっちへ」
 ダーウィットお兄様だった。
 私とウルガーはお兄様の後に付いていく。在る部屋で止まる。
「ここだ。彼の療養所は」
 そう言って鍵を開ける。彼、遠い国から妻と息子に会いに来た人。
「ああ。兄上。今、ウルガーを呼びに行こうかと思っていた」
「俺を……?」
 不思議そうだったウルガーの顔が一変した。そこにいる男性はもう、死への旅立ちをまさにしようとしていた。
「脈は?」
 ウルガーが慌てて、目の瞳孔や脈を診る。
「マチルダ様を呼ぶか?」
 マティアスお兄様が聞く。
「知らないのなら知らないままで……。惜しかったな」
「そんな。諦めるなんて!」
 ウルガーの言葉で彼はもう生きていけないことは確かだった。だけど、大事な息子と会うこともなく死への旅立ちをするだなんて……。
「トビアスを呼ぶか?」
 私の顔を見たダーウィットお兄様が言う。
「トビアスが言えばマチルダ様に悔恨が残る。無理だ」
 マティアスお兄様が厳しい判定を下す。
「そんな。せめて、マチルダ様への言葉でも……」
「マチ……ルダ?」
 息も絶え絶えにマチルダ様の恋人は言う。私は慌てて手を握った。
「そうよ。もうすぐ会えるのよ。息子もいるのよ。あなたの子よ。会わないでどうするの!!」
「そうか……。いるのか……。よかった」
 そう言ってマチルダ様の恋人は旅立った。最後がよかった、だけなんて。でも息子がいることは伝えられた。トビアスと名前は言えなくても。それで彼は悟ったのだ。マチルダ様は好きで嫁いだわけではないと。そしてそれだけが幸せなのだと。私は涙も出ない状態で彼の顔を見つめていた。ウルガーが抱き上げる。
「あとは兄上達が上手くやる。心が凍った姫君は療養が必要だ」
 そのままキンモクセイの宮に私は連れて行かれた。心は空っぽになっていた。


あとがき
勤続疲労が募っているゼルマです。度重なる出来事にそのうち、五月病になったりああなったり。また話は新連載部分で大きく動きます。当分終わりそうにはありません。しかし、論文の書き直しをしているので、本をかき集めて抜粋箇所を見たりしてるんですが、完読しないといけないものもあるので、大変です。あの頃にチャットGPTがあれば。歴史神学概説一万円超え。買うかどうか悩んでます。歴史神学とはなんぞやという講義がなかった。知らないまま類型化をして失敗したのでした。一応、三つの分析方法から一つを取り上げるのですが、その記述のある本がない。また医学のお勉強もまだまだある。生物学と創世記の関わりを調べようと思ってるんですけどね。また阪神負けたー。岡田監督のインタビュー見たさにつけてるだけ。はぁ。なんで負けるのかね。粘りがない。打線がやばい。頭の中三つ以上に分かれて働いているので大変です。マルチタスクしてます。集中するものが多くありすぎ。受験勉強二つに論文。でも、修士のみたらモヤモヤして解決するには独学でやるしかない。過去を置くにはそれしかない。これが一番の無念なんですから。これさえ、書ければあとは登販の試験勉強に打ち込めます。執筆も春の野と端午の節句書ければいいし。澄川は。ゼルマを一話書いて伏線のつなぎしたらしばらくストックでやります。はぁ。仕事もあるし、大変。
やりがいはあるけれど。論文の書式はどうしましょうかね。修士の文字数数えてするべきか。今テキストファイルでしているんですけど。大体千字が一節。やっぱ買わないとなぁ。あの本。高いよー。プレミア。まだ、昨日今日の試合を振り返ってる。どうでもいいのよ。過去は。インタビュー聞かせてよー。なかった。インタビュー。サンテレビボックス席が終わってしまった。論文のための読書にしようかな。漢検がうまくいかない。漢字がむずい。もしも10点足りない。書き取りとか四文字熟語がとれたらあっという間に合格圏内なんですが。勉強在るのみ。では、昨日の予告通り訳ありの更新でした。

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