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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:煌星の使命と運命の絆~星の恋人達 第十一話 闇の力が導く渓谷

前話

 アステリアの体調が戻ってくると、流石、宿屋に連泊できず、三人はまた旅立った。シャドウゲイルの渓谷はエレスティアの聖堂より北東にあると噂話で聞いたぐらいで、確実な場所は皆目見当が付かなかった。おまけにシャドウゲイルの渓谷は霧や幻で囲まれた陰鬱な所と聞いた。流石は闇の力の使い手の里だ。
 街道を外れ、道なき道を歩くこと幾日。アステリア達はシャドウゲイルの渓谷にたどり着いた。……はずだった。
 行けども行けども同じ所をぐるぐる回って先に進めない。何重もの幻と霧で見えない。何度か回ってレイナが座り込む。
「もう足がくたくたー」
「冒険者だろうが」
「体力勝負の戦士じゃないもの」
 レイナが座り込んでアルカイオスと口論を始める。その脇で大人しくしていたアステリアはエレメントの小さな輝きに気がついた。そっとエレメントと話す。
「シャドウゲイルの渓谷にはどうやって行けばいいの?」
『君の思うままにすすめばいいんだよ。君は闇を持っている。闇が闇を導く。自分の力を信じて』
「自分の力を信じる……」
 アステリアは一言言うと瞼を閉ざす。自分の中の闇を探る。
 
 
 あった。この子ね。
 怖いはずの闇なのに怖くない。むしろ、自然界には光と闇が存在している事実だけを伝えてくる。怖いと感じるのは先入観なのね。
 
 アステリアが闇の力の真相の一部を悟ると自然と霧が晴れてきた。レイナがアステリアが立ち尽くして目を閉じているのを見る。
「アスティ? あなたなの? この霧を解いたのは」
「え? 霧? あ、ホントだ。晴れてる。この先をまっすぐ行けばシャドウゲイルの渓谷よ」
「アスティ。何をしたんだ? 呟いていたようだけど」
「自然のエレメントが教えてくれたの。闇が闇を導く、と。だから自分の中の闇を見つけて導いてくれるようにお願いしたの。怖い物じゃ無いのよ。闇は。ただ、闇ってだけでいじめられて悲しんでるのが闇なの。闇もこの世界に必要なの。夜が来ないと朝が来ないように」
「その通りだよ。アステリア」
 いきなり男性の声がして三人とも声の方向に顔を向けた。
「怪しい物じゃない。君達のように召命を受けた物の一人だ。アステリアに闇の意味と警鐘を鳴らすのが私の使命だ」
 そう言って三人をぐるり、と見渡す。
「警鐘? 自然のエレメントは怖くない、って言ったけれど」
「それは自分の力でコントロールできている内だ。しっかりと自分の中のエレメントのバランスを取ることのできるものが、使命を果たせる。アステリアは全てのエレメントと繋がる必要がある。その手始めにもっとも複雑な闇を知る必要がある」
「バランス、ね」
 レイナが自虐的な表情を浮かべる。その表情からは何もうかがい知れない。何かがレイナにもあったのだ。アステリアはその事には立ち入らないようにしようと、思う。開けてはいけない宝箱のような気がするからだ。
「私がシャドウゲイルの渓谷へ道案内を引き受けよう。肝心の試練は自然と乗り越えたからね。私の名前はマリウス・シャドウウィンド。先に名乗るのを忘れていたね。さぁ、着いてきなさい。シャドウゲイルの渓谷へ行って次の試練を受けなさい」
「試練、ね」
 またも自虐的な声でレイナが言う。流石に思わず見てしまう。
「レイナ?」
「なぁに。アスティ。アスティのためならどこでも行くわよ。さぁ。お姉ちゃんと一緒に闇を極めましょう!」
 そう言って手を取ると歩き出す。アルカイオスが後から着いてくる。マリウスはさらに後ろだ。案内すると言っても横道にそれないように注意する程度なのだ。基本は自分の闇の繋がる方に行けばいい。
 アステリアは闇の力に引き寄せられるように歩いていた。


あとがき
忘れてました。あとがき。でも血糖値が~。あとは小説の執筆のみ。風と星を勧められたら。現在も阪神戦観戦中ですが、延長なさそう。がーん。また勝っているから大丈夫か。私は念願のQPのカフェインゼロを手に入れて満足。明日の朝疲れが取れていたらラッキー。今週こそ全部仕事行きます。
ので、早寝をするかもしれないので、記事が遅かったりします。継続を切るつもりはありませんが、最後の眠り姫だけかも。その時はごめんなさいー。これもまた打ち合わせしておきます。

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