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【再掲載小説】ファンタジー恋愛小説:最後の眠り姫(23)

前話

「私、こんな所まで走ってきたの?」
 馬でとことこ帰りながら、私は驚いていた。あの時はなにか車というもので来ていた気がする。こういう道がなっていない所では馬が一番いい。私はクルトの前に座らされて、逃げられないようになっていた。その気になれば、逃げられたけれど、そんな事は通じない、と考えていた。
「また逃亡を考えているね」
 クルトが言う。
「違うわよ。こうまで警備されては逃げられないわね、って考えたのよ」
「似たようなもんじゃないか」
「違うわよ!」
 いけない。また泣いてしまう。声が震える。クルトがぎゅっと抱きしめる。
「大丈夫。俺はエミーリエしか見てないから。明日から住む部屋、すぐに探そう」
「それ・・・」
「母上から聞いたよ。嬉しそうに君が飛び出して行った、と。それなのにこんな悲しい思いをさせるなんて、婚約者失格だね」
「クルト! 違うの。クルトのような人なら何人、側室を持っても平気にならないといけないの。でも、今の私にはできないの。どうすれば、この気持ちを収められるのかしら」
 私の頬から涙が伝う。大好きなクルトが他の人を好きになれば、なんて考えるだけでもつらい。もう、誰にも渡したくない。そんな自分の気持ちに気づいてはっ、とした。私はクルトからもう一生逃げられないほど、好きになっているんだ、と。いえ、だ、ではないわ。なっている、よ。
「姉上。そうなら、しっかり捕まえておかないと」
「ヴィー」
 ヴィルヘルムがアイコンタクトしてくる。
「捕まえるも何も。俺がエミーリエに捕まっているのに。他の女性を愛することはないよ。きっとこの家系なら跡継ぎは生まれるだろうから。娘ほしさに君に何人も無理を言うかもしれないけれどね」
「クルト! 乙女に言う言葉じゃないわよ!」
「カロリーネお姉様・・・」
「エミーリエ。今の言葉は聞かなかったことにしなさい。乙女の思考の問題じゃないわ」
 カロリーネお姉様がプンプン、怒っている。どうしてかしら? 不思議そうにしているとカロリーネお姉様が言う。
「私も乙女なのよ。これでもね」
「姉上が・・・乙女」
 ヴィルヘルムとクルトが口をあんぐり開けて驚いているのがおかしくてクスクス笑ってしまう。
「お姉様だって恋する乙女よ。婚約者の一人や二人いてもおかしくないわ」
 私が笑いながら擁護すると、ヴィルヘルムがいや、と言う。
「姉上、今進めている縁談は断った方がいい。何か嫌な予感がする」
「ヴィー?」
「あ。それは私も思っているのよ。何度も断ったのにしつこすぎる、と。お父様に言ったのだけど、聞き入れられてもらえないのよ」
「まずは兄上と姉上の同棲生活よりカロリーネ姉上の縁談阻止が直近の問題だな」
「えー。また、あの工事の音聞かないといけないの?」
「同棲生活なんてそれこそ犬も食わない。姉上と兄上できめておけばいいよ。カロリーネ姉上の方を探らないと」
 思案顔のヴィルヘルムに言う。
「魔皇帝になりすぎてるわよ」
「大丈夫。僕、何も知らなーい、から」
 声を変えて言われると本当にどっちが本物のヴィルヘルムかわからなくなる。
「どっちもヴィーだよ。俺たちも驚いたけれ、自分が誰かの生まれ変わりなんて、ヴィーが一番心を痛めたはずだ」
「兄上?」
 素のヴィルヘルムの顔がのぞいた。
「兄も姉もヴィーを大切に思っている。忘れないでくれ」
「うん」
 夕陽が落ちて夕闇がせまろうとしていた。


あとがき
はい。またもぶっ倒れております。一日寝てました。たまにネットマンガ見て。ついにあのマンガを見てしまった。そしてネタばれサイトでその後を知って安心して無料領域で終わりました。その後も目覚めたり眠ったり。朝の起きる時間は六時でハーブティーも飲みましたけど、その後がまたどーっと寝てしまいました。よほど寝るのが好きなのね、とつくづく思います。銀行行けず、買い物当分できません。利用料を使わないようにしないといけないので。預けるのは時間外手数料いらないんですかね。白コリ水槽を救わないと行けないのですが。生物濾過がうまく行ってないんですってこれ小説。とりあえず、これだけは更新しておきます。他はすみません、です。ユメもしようかと思いましたが、胃がいたい。寝ます。はい。今日の阪神戦お昼とは思わずぐーぐー寝て見損ねました。ち。では。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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