【再掲載小説】ファンタジー恋愛小説:最後の眠り姫 (13)
前話
はっと目が覚めた。誰かの気配を感じて。
「誰?」
「誰、とは失礼だな。未来の夫に向かって」
「夫? クルトなの?」
「いいや。クルトより君に似合う王子だよ」
その声がヘビのように絡みついてくる。私は即座に言う。
「出ていって!」
「じゃ、いいのかい? このフリーデがどうなっても」
「フリーデ?」
カーテンは閉め切られ暗い室内にフリーデが縄かなにかで自由を奪われていた。
「ここはクルトしかこれないはずよ。どうやって入ったの?」
詰問するとにやり、と男は笑った。いや、私より年下だ。それなのにもっと陰惨な気を纏っていた。
「姉上!」
突然、ヴィルヘルムが飛び込んできた。目が紫に光っている。とっさに止めないと、と思った。
「ヴィー! ダメ!」
ぎゅっと抱きしめる。ヴィルヘルムに魔力が満ちているのを感じる。これを放出するのは危ない。この嫌らしい少年だけでなく、フリーデにも被害が拡大する。私やヴィルヘルムは魔力があるから防御できるけれど。
「ふん。そんな虫けらなチビ王子なんてすぐにあの世行きだ」
きらり、と光るものが見えた。思わず、手刀でたたき落とす。ヴィルヘルムは視線で殺してやりたいと言うほど目が光っていた。
「この女。下手に出りゃ。お前を妻にすれば覇王になれると聞いてきたのに。使い物にならんな。死ね」
腰に帯刀していた小刀を少年は抜く。私は間一髪で落とした剣を持っていた。自然と体が動く。小刀は私も持っている。だけど長剣の方が威力は大きい。持ったままの剣で少年に一振りした。少年が倒れる。血が床に流れる。急所を狙ったわけでも亡いけれど出血が大きい。殺してしまった。思わず、床に座り込む。ヴィルヘルムがフリーデの縄を解いていた。
「エミーリエ!」
クルトとカロリーネお姉様が入ってきた。
「お姉様!」
「この子は側室の子のそのまた従兄弟。大それた事を企てたわね。エミーリエ。別の部屋で療養なさい」
まるでお母様のような調子でカロリーネお姉様が言う。まさか。ある事実に思い当たる。
「お・・・母様?」
「今はカロリーネよ。エミーリエ。ヴィーがおじい様である事も知っているわ。そっと見守るつもりだったけれど、こう物騒ではね。さぁ、行きましょう。クルト、後始末お願い」
「姉上も、か・・・。やりにくいなこの人間関係。エミーリエ。あとで必ず行くから待ってて。この部屋は汚れてしまっている。ちゃんとした部屋はまだいくらもあるからね。待ってて。俺の姫。はい。ちゅー」
「いたしません!」
「なんだ。笑ってくれないのか」
「この場で笑える方がおかしいわよ。笑って欲しかったら変えた部屋でちゅーと言って頂戴」
「君が勝ち気でプライド高いというところに救われてる。さぁ。フリーデも一緒に行くんだ」
「でも」
フリーデは手首に血がにじんでいた。はずそうとしていたのだろう。
「フリーデ。新しい部屋で、冷たい飲み物と食事を用意して。あなたの手首も治療しなきゃ」
「エミーリエ様・・・」
「私は大丈夫。クルトやみんながいるから。さ」
フリーデの手をつかんで立たせる。
「流石、姫様。お強いのですね」
「弱いところは夫にしか見せないのよ。そうお母様から教わったから」
そう言ってカロリーネお姉様を見る。もういつものカロリーネお姉様に戻っていた。ヴィルヘルムの目も光っていない。私は何故かすたすたと歩き出していた。
あとがき
この世界では生まれ変わりがあるんだーとふと思った私。父の死を最後まで見た人間としてはあの後意識はどうなったんだろう、とふと思う事が多くなった。ぷちり、と切れるのかなとか。と考えたいのに眠い。ベッドに入ると退屈~になるのにパソコンを前にしてあとがきに入ると眠気が襲う。
この傾向は前からあって、提出するために必要事項をパソコンで打ち込んでると一瞬気が落ちるほどの眠気に襲われる。おわったら、目はぱっちり。決まった作業だと寝落ちしやすいらしい。さっきまで異様に熱かった頭も今は汗をかき始めて揮発している。やっと戻ったとほっと、一安心。熱は亡いけれど、頭が異様に熱くてベッドに寝ても寝られなかったのだ。
ほんと、この夏風邪の療養期を書いた方がいいんじゃないかしら、と思う。でも大したことはしていない。お茶も一リットルもらってきているからやっと汗が出だした。朝は出なかったので。ユメも最近あげてませんねー。あれも上げましょか。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
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