第百六十八回 Gt 虎|MOVIE TORAVIA「2022年公開映画/虎的ランキング」

1位「トップガン マーヴェリック」

『トップガン マーヴェリック』(2022)

2022年ダントツの1位。
逆に、俺の中で2022年のデカい映画ってこれぐらいしかなかった印象なんですよね。
ランキングを考えるにあたって、公開された映画を色々リサーチしてみてたら、2022年は1,000本ぐらい公開されているんですよね。
その中には、例えばマーベル系でいうと「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」、「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」がありましたけど、どちらもメインの本体をやらずにサブを公開した感じなんですよね。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)

アニメとかもいろいろ公開されましたけど、アニメもそこまで強いものはなかったな、と俺は思っちゃいました。
だから2022年自体、映画が豊作の年ではなかったのかな、と。
なんかあるんですよ、キテる年とキテない年が。
例えば2023年。2023年はすでにインディ・ジョーンズシリーズが復活して6月に「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」が公開されることが発表されてますし。
キアヌ・リーブスによる大ヒットアクション映画「ジョン・ウィック」シリーズの最新作「ジョン・ウィック:チャプター4」も公開されます。
これ、本来なら2022年に公開だったんですよ。でもそれが延期になって、公開が2023年に変わっちゃったんです。
「ジョン・ウィック」シリーズはすでにスピンオフ映画「バレリーナ (原題)」の撮影に入ってるから、本体の公開を延期するってどういうことだろうと思ったんですけど。
やっぱりみんな、「トップガン マーヴェリック」が公開されたから外してきたのかなと思ったんです。
よく分かんないですけど、なんかそんな気がしちゃいましたね。
2022年は「トップガン マーヴェリック」一強だったが故に、こういう現象が起こっていったのかなという気がしますね。
それぐらい「トップガン マーヴェリック」が圧倒的に強かったってことです。
だから敢えて公開を先延ばしにするしかなかったのかな、と。
そういうところはCDリリース日の駆け引きと一緒だと思います。
なので、2022年の1位は「トップガン マーヴェリック」。これしかないです。

2位『THE FIRST SLAM DUNK』

『THE FIRST SLAM DUNK』(2022)

映画って、あんまり年末には公開しないんですよ。
一年の中間ぐらいまでに公開して、年末にDVDなんかの映像作品をリリースするというのが一般的な流れなんですけど。
その中で、2022年12月にアニメ「THE FIRST SLAM DUNK」が公開されたんですよ。
観た人は「5回は観たい」みたいなノリなんですよ。
俺はまだ観られてないので順位はつけ難いんですけど、おそらく、マジで今年公開された映画で、俺の中で2位はこれになると思うんですよね。
「スラムダンク」は俺らの世代が夢中になって読んでたマンガだから、泣けますよね、きっと。
しかも実写じゃなくてアニメーションなんですよ。CGですけど。
それでもアニメーションで映画化してくれたところが何よりもすごいなと思いますよね。
それを、原作者の井上雄彦さんが自ら脚本を書いて監督してる訳だから、観てない俺が言うのもアレですけど、間違いないんですよこれは。
その年の映画のランキングを付ける評論家の人達って、だいたい10月ぐらいまでに映画館で公開された作品を観てランキングを考えてると思うんですよ。仕組みとして。
なのに、なんでこの映画は12月3日とかに公開しちゃったんだろうと思って。すごいもったいないなぁと思いますね。
この後、年始とか来年になっちゃうと、続々と次のいい映画が出てきちゃうから、「THE FIRST SLAM DUNK」がどんなによくても、この映画の話題や印象、存在感はたった1か月でみんなの中から薄れていっちゃうんですよ。
そこがよくなかったなと思いますね、僕は。
だってね、考えて見てくださいよ。年末のこの忙しい時に映画館に映画を観に行ける人なんていないんだから。
なんでこんな時期に公開日を設定したのか、俺には意味が分からない。
冬休みになって、学校が休みになった子供たちが映画館に行くというのはあるんでしょうけど、これは子供世代が観るような映画ではないですからね。
世代的にはこの時期年末まで激務をこなしてる30〜40代の社会人が一番熱くなる映画なので。
明らかに戦略が間違っていたんじゃないかなと思っちゃいます。
イメージ的には「トップガン マーヴェリック」とあまり変わらないんですよ。
客層をピンポイントで狙って、制作サイドはそこに向けてよりいいものを提供していくというスタイルは。
「スラムダンク」なんだから、もうちょっと話題になってもよかったと思うんですよね。
TVでCMも見かけなかったし。
他のアニメと違って、今やってるとかちょっと前までオンエアしてたアニメじゃないから、宣伝費が無いんだろうけど。
Twitterとかインスタとかで広告展開してもね、見てるのは若い人がメインじゃないですか?
Twitterでギリかな、と思うんですよ、ターゲットの年齢層的には。
広告を打つなら、年代的にはTVのニュースとか見てる世代だから、TVなんですよ。
今の子供達みたいに「TV持ってない」「TV見ない」というのではなくて。
小さい時から当たり前のようにTVを見て育ってきた世代だから、大人になっても、俺もそうですけど、どうしてもTVを見ちゃう。
そういう習慣が未だに残ってるんですよ。
でも、そういうところじゃなくて、SNS系に飛び込んでいって広告展開したところで誰に伝わるんだろうなぁと思っちゃいます。
だから、公開日の設定、宣伝のやり方も含めてもったいなかったなという気がします。
でもまだ観てないんですけどね(笑)。だけど、考えられる2位はこれなんですよ。

3位『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』

『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』(2022)

2位に「THE FIRST SLAM DUNK」を入れるなら、これも入れなきゃというのが俺の中にあるんですよ。
それが「ドラゴンボール」シリーズです。前作で「ドラゴンボール超 ブロリー」というのを出してるんですけど。

『ドラゴンボール超 ブロリー』(2018)

この評価がめちゃくちゃよかったんですよ。
「やっぱドラゴンボールだね」みたいな感じで、むちゃくちゃ評価がよかったんです。
それを上回る出来だったんですよ、今回の「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」は。
だから「ドラゴンボール」シリーズを作ってる人達ってプライド高いなと思ったんですよね。
なんかね、"「ドラゴンボール」を格闘マンガのトップに立たせたい"という制作者サイドの気持ちが、観てるとメラメラ伝わってくるんですよ。
知らない人は観てみてください。「めちゃくちゃ金かけとるやん!」って驚きますから。
俺でもびっくりするぐらいですからね。格闘マンガっていろいろあるじゃないですか。
シリーズの最新作「ONE PIECE FILM RED」を2022年に公開した「ONE PIECE」もそうだし。

『ONE PIECE FILM RED』(2022)

でも、超えちゃってるんですよ。
制作者たちの”「ドラゴンボール」愛"みたいなものがとにかくめちゃくちゃすごくて。
それがすごすぎるからシリーズがちゃんと進化していってるんです。
何十年もやってるのに進化し続けてるってすごくないですか?進化をずっと更新し続けてるんですよ。
これがマジですごいと思うんです。声優も流行りの人をどんどん起用していくのとは真逆で、昔とほとんど変わってない。
マジで、作り手の愛がすごいなぁと思います。
なんとなく新作作りました、ではなくて、前作以上により良くなって戻ってくるんですよ、このシリーズは。
最新作の「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」は、原作・脚本・キャラクターデザインまで全部原作者の鳥山明さんがやってるから、鳥山さんの匂いが強く出てるんですよ。
もともと鳥山さんって、「Dr.スランプ」のイメージにあるように、ギャグ漫画出身なんですよ。
だからどちらかというと本来はコミカルな感じだったんですね。
今回はそこが映画にめちゃくちゃ入ってて、ポップな感じもありながら格闘のシーンは前作以上に、さらにクオリティーを上げてきる。
すごいなぁと思いますよ、マジで。
俺はこっちが2位でもおかしくないぐらい、クオリティーが高い映画だったなと思いますね。
シリーズものでも、例えば「名探偵コナン」シリーズみたいに毎年やってる訳じゃないから、クオリティーがアップしてたらすぐ分かるんですよ。
でもコナンはコナンで、観ちゃうと「おもろかったな」って。実際、面白いんですよ。

『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』(2022)

面白いは面白いけど、ただそれで終わりなんですよ。
毎年やってるものだから、公開になっても「今年もコナンの映画やってるわ」って。
暇だったら面白いから観るかというぐらいで、感動とかは別に無いんですよ。
「いつも通りだね」みたいな感じで。
だけど、ドラゴンボールシリーズはそういうものとは違う気がしますね。
映像のクオリティーの部分で"格闘は俺達がリードしなきゃいけない"みたいなプライドを感じますから。
ガンダムシリーズも俺、同じような傾向にある気がするんですよ。
2022年も「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」が公開されてましたけど。

『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』(2022)

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