未踏ジュニア 振り返り・提案書

あけましておめでとうございます!岡村有紗(@alicelavander)です。
書くぞ!と言ってから数ヶ月が過ぎたのでそろそろ書きます。
先日2022年度未踏ジュニアでNoxicelという英単語学習アプリを開発&スパクリ認定をいただいたので、その振り返り&提案書に関する知見を共有できればなと思います。あくまでも個人の感想なので、軽く参考程度にしていただければ幸いです!(文章を書くということがあまり得意ではないのでわかりにくい部分があるかもしれません、ご了承ください…)

はじめに

自己紹介

今年の秋からThe Lawrenceville Schoolというアメリカのボーディングスクールに通っていて、現在sophomore(日本で高1)です。ソフトウェア開発が好きで、RemindMeという位置情報型のToDoアプリをつくってみたり、Unityで3Dゲームをつくってみたり、Webシステムを開発している会社でインターンをさせていただいたりしています。犬より猫派、そばよりうどん派です。よろしくお願いいたします。

未踏ジュニアとは?

未踏ジュニアは、ざっくり説明すると「作りたいものがある17歳以下に開発資金・メンタリング・その他諸々を提供するよ!」という6月から11月にかけて行われるプログラムです。4月頃までに作りたいものに関する提案書を書き、書類審査・面接を経て5月末頃に採択となります。その後開発を進め、11月に成果報告会で発表、12月頃にスーパークリエータ認定が行われます。(2022年現在)
詳しくは公式サイトでご確認ください~

私が応募した経緯

私はもともと未踏ジュニアについてなんとなく知っていて、なんか楽しそうだし開発資金もらえるしなんか思いついたら応募するか!と2年くらい存在を頭の片隅においていました。とはいえ提出したいほどのアイデアも思い浮かばずしばらく放置していたのですが、2021年の11月頃に「AIとかが自動で用法修正までしてくれる英単語学習アプリつくりてえな~」と思い立ち、せっかくだし未踏ジュニアに応募して開発するか!と応募することにしました。このプロジェクト未踏ジュニアに応募することを決めた主な理由としては、未踏ジュニアにもし通ったら楽しそう&後回しにせずに開発に取り組めそうだと思ったからです。私は一から新しいものをつくりましたが、もともとつくっていたものを未踏ジュニアで改善するというプロジェクトも複数あったので、なにかつくりたいものがある人も既になにかつくっている人も気軽に応募してみましょう!

振り返り

採択前

ことの始まりは2021年11月。晩ごはんを食べていたら、「未踏ジュニアの提案書、書いてみるか!」と脳みそが言い出したので、提案書を書きました。(?)

アイデアを思いついちゃったから書きたかったんでしょうね。しらんけど。提案書については後述します。

そうして1日で一旦完成した提案書でしたが、Noxicelをつくるのに必要な技術をほとんど持ち合わせていなかったので、「どうやって作るんやろな~🤔」とぼんやり考えていました。すると、幸運にも所属しているDiscordコミュニティで野生のつよつよエンジニアが「一緒になにか開発しませんか?」と言っていたので、お誘いして相方をゲットしました。Noxicelがグループプロジェクトになったね、やった~!
余談ですが、この相方のMakiさんがつよつよすぎてNoxicelがなんとかなったのはMakiさんのおかげと言っても過言ではありません。私一人では修了も怪しかったプロジェクトをスパクリ認定にまで持っていってくれて頭があがらないですね。

その後、なんやかんやあって二次面接の連絡が来ました。やったね。面接では、最初に5分のプレゼンをしてくださいとのことだったので、提案書時点では検証できていなかったことを急いで検証して追記しました。また、提案した内容に関してフィードバックをいただいたので、それに関しても調べて追加で説明できるようにしました。
うちのプロジェクトはメンターの方々4人との面接だったのでいじめられないか圧倒されないか心配していましたが、全くそんなことはなくむしろお話するのがとても楽しかったです。追記に関しても、気になっていた部分のフォローができていてとても良いと褒めていただけたので嬉しかったです。(*´꒳`*)

5月末頃に採択・不採択通知が来ることは知っていたので、採択通知が来るまでの数日間は未踏ジュニアのことを思い出してはドキドキしていました。もともと心拍数が高いのに、体に悪いですね。数百回のメール受信箱のリロードを経て、5月29日に採択となりました。

未踏ジュニア期間

採択されると、すぐにブースト会議というイベントで各採択プロジェクトの紹介・発表があります。ほとんどWebサイトができあがっていてしかもそのクオリティがやばい某プロジェクトや、ゴリゴリ社会貢献している某プロジェクト、ただただかっけぇ~~!!な某プロジェクト等、周りの凄さに恐れおののくことができるのはもちろん、自分の発表の際にいろんな方々からフィードバックが受けられてすごく良かったです。Noxicelは初めて使う技術も多くあまり詳細も決まっていないプロジェクトだったので、たくさんのご意見やアイデア・疑問に対する助言をいただけてありがたかったです。

その後は進捗をあげたりあげられなかったり、夏の交流会に参加したりと、あっという間な2ヶ月間を過ごしました。夏交流会ではGoogleの東京オフィスを見学してきたのですが、現役エンジニアの方々とお話できたりしてすごく楽しかったです。それだけを動機にするのはコストが見合わないかなと思いますが普段ない機会があったりするので楽しいですよ、応募するか迷っている方は応募しましょう!

また、提案書時点ではアプリの名前をLexicon(ギリシャ語・英語で語彙という意味)にしていたのですが、Lexiconのドメインがすべて取られていたので、8月の中間合宿直前にNoxicelに改名しました。今思うとNoxicelのほうが可愛いし検索しやすいので良いですね。中間合宿で「さっき改名しました!」とかやってるグループはうちだけかなと思いドキドキしていましたが、皆さん進捗が遅れていたみたいで安心しました!!!エンジニアたるものスケジュール通りに動くわけにはいきませんよね(?)

9月頃までは一番重要な部分であるAIの調整やアプリの機能を決めるためのαテストに集中していて、10月頃から実際のWeb開発を始めました。それまでにもαテストのためにある程度開発していたとはいえ、Web開発未経験者としてはVueの学習にほとんどの時間を使うかもしれないと想像していたのでびっくりです。

10月中旬になると成果報告会への準備が始まるわけですが、その頃はちょうどWeb開発を急ピッチで進めているところだったので緊張よりも間に合うかどうかの不安や焦りが大きかったです。報告会まであと3週間弱の時点で最低限の土台しかできていないわけですからね。どうやってデモを切り抜けるか…?とか考え出すと不安が爆発しそうで仕方がなかったです。

結局成果報告会当日までになんとか大体の部分は実装できたのですが、まだ細かいバグがあったりデモで見せる画面の一つが実装できていなかったりしたので時差ボケをフル活用して当日の朝3時まで開発を進めていました。前日にアメリカから一時帰国したので、幸か不幸か全く眠くならなかったんですよね。当然リハーサル中も開発を進めて(?)、出番直前にバグを解消してデモをなんとか乗り切りました。解消したバグがずっと苦しめられていたものだったのでめちゃくちゃ気持ち良かったです、あんなに開発中にアドレナリンが出たのは初めての経験でした。

成果報告会後・Noxicelの今後

11/3に成果報告回が終わってからは他のことが忙しくなってしまいなかなか開発を再開できていないのですが、正式リリースを目指してそろそろ開発を再開したいなと思っています。来年中に正式リリースができたら良いな。
盛り込みたい機能が多すぎてやることがまだまだあるので、Noxicelの開発に興味がある方がいらっしゃればTwitterまで気軽にご連絡ください。特にデザインつよつよなえんじにゃーさんを探しております。(今後の目標の関係で、中高生の方にしかお願いできないかもしれません…ご了承ください…)

追記:新年ということで開発再開しました!がんばるぞ!!

振り返り・感想

未踏ジュニア全体を振り返ると、思ったより時間が短いプログラムだったなあと感じます。なんとなく1年を通したプログラムかな~と思っていたのですが、よく考えると6月初め~11月初めの5ヶ月間しか開発期間が無いんですよね。そのため、ほとんどの時間を検証や調査に使ってしまい、Web開発は気合いで仕上げるというわけのわからないスケジュールになりました。その代わり、αテストを何回も行って色んなカタチのNoxicelを検証することができたので、成果物として納得が行くアプリの方向性を定められたのかなと思います。途中で「画像生成AIを組み合わせる」とか「思い切って敵を倒すゲームみたいな感じにする」という血迷った案もでましたが、そのおかげでNoxicelの機能もそこそこ合理的な設計にできたと信じたいです。
この先未踏ジュニアで開発をされる方は、5ヶ月間のプログラムであるという印象を定着させておくと時間にめちゃくちゃ困ったりしないかもしれません。

未踏ジュニアで開発して良かったなと思うことは、宣伝がしやすいことです。αテストを行うために何度かTwitterでテスターの募集をさせていただいたのですが、未踏ジュニアのおかげですぐに人が集まりました。個人でのプロジェクトだとここまでトントン拍子にも行かなかったと思うので、未踏ジュニアのネームバリューに感謝です。

また、未踏ジュニアの海外勢に対する優しさが半端でないです。私は幸運にも学校を休むことができたので成果報告会に現地で参加させていただいたのですが、アメリカー東京間を往復する飛行機代は未踏ジュニアにすべて負担していただきました。なに??神か??「交通費は開発資金とは別で支給される」との記述を見てもしかすると…?とは思っていましたが、ほんまに出ると思わんやん。おかげ様で同期と会えたりメンターさんと直接お会いできたりしたので、感謝してもしきれないですね。未踏ジュニア様々です。
もちろん、非公式の合宿等を除くほぼ全てのイベントがハイブリッドで開催されるので、学校を休めない海外勢も徹夜さえすればわいわい参加できます。海外に居て日本のプログラムにあまり参加できないよ~😣という皆さんは応募するしかないですね!!

私個人の話でいうと、未踏ジュニアを通して作りたいものをつくれたのはもちろん、未踏コミュニティの方々と交流できたのが一番嬉しかったです。2次面接のプレゼンで未踏ジュニアに入りたいモチベーションの一つとして同じ年代でプログラミングが好きな人と交流したいというのを挙げたのですが、まさにそれを達成できました。なんせ同年代のつよつよハードウェア・ソフトウェアエンジニアがたくさんいますからね!!たくさん刺激をうけることもできたし、学びも本当に多かったです。

Noxicelを支えてくださった石井メンター、初対面のテンションがおかしいやつと一緒に開発してくれたMakiさん、つよつよな同期の皆さん、その他諸々関係者の皆様、ありがとうございました!

提案書

さて、本題・おまけです。自分が提案書を書いていたときにリックさんからのアドバイスにすごく助けられたので、同じく一採択者として提案書について書けたらなあと思います。

知見を共有する前に、「手っ取り早く実際の提案書が見たい~!」という方々の為に提出した提案書を貼っておきます。書いてる最中も提出したあともなかなかに恥ずかしかったですが、そんなもんですよね。なにかの参考になれば幸いです。

以下、提案書を書くにあたって気をつけていたことです。

未踏ジュニアに受かるために書かない

内容の工夫・書き方の工夫などももちろんあったのですが、一番気をつけていたのは「採択されなくてもどうせこっちで勝手に開発するけど?」というマインドで提案書を書きすすめることでした。最初は未踏ジュニアじゃなきゃだめ!!ということプロジェクトを求めているのかなと考えていたのですが、いくつかのメンターさんの記事でプロジェクトを自分たちで完成まで持っていく力が求められると書かれているのをみて、あくまでもプロジェクトを支援するプログラムである未踏ジュニアとしてはクリエータ自身の主体性が重視されているのだろうなと思い直しました。

そのため、2次面接に進むための提案書ではなく、自分が進めているプロジェクトを整理するため・あわよくばメンターさんにプロジェクトを褒めてもらうための提案書くらいの気持ちで書いていました。実際、自分の熱意ややりたいことを素直に書けたので良かったなと思います。あと落とされても「ほーん、せいぜい後で後悔してくださいね^^」のマインドで開発へのモチベに繋げられますしね!

進捗を生む・失敗も進捗

上記の考察から、とりあえずちょっとでもプロジェクトを進めてみて感想・発見した課題等を含めてすべて提案書に書き出しました。提案書を書き始めたのが11月だったので、0から進捗を生む時間がかなりあって助かりました。プロジェクトを進めるついでにNoxicelの有効性をアピールしたかったので、実際の開発は後回しにして周りの人たちに需要があるかどうかを聞いてみたり、英作文を通して英単語を覚えるのと単語帳を使って覚えるののどちらがより効率的かを実験しようとしてみたりしました。この実験は結果的にはあまり意味のあるデータがとれず失敗したのですが、その失敗をもとに改良案を考えその経緯に関して書くことで失敗を進捗の一つにしました。

結果はさておき、その実験に協力してくれた人から「後者の勉強法は15分に10個の文章を作文しないといけないのがキツい、自分も3つくらい文章をつくれなかったのでこの方法では想定しているデータとは関係のないものがとれるのではないか」というフィードバックをいただきました。そこで、作文のコストに関して調査したところ、作文が苦手だと、もともとのアプリ原案では、文章を考えられずにいると永遠にその問題でスタックしてしまうという問題が露呈しました。そこで、改良案として、数分が経過したら作文のヒントになるような言葉や、例文を提示するという機能を盛り込みました。

提案書より抜粋

仮になにか試してみて全然意味のない結果になってしまったとしても、それ自体が貴重な知見ですしその結果を気合いで意味のある何かにすることもできます。せっかく手を動かすなら失敗を恐れず思いついたことはやってみれば良いし失敗してもそれは進捗なのですべて書き記しておくと損はしないと思います。

実はメンターの方々からのフィードバック、受け取れます

「どこの馬の骨かもわからん採択者の思い込みは信憑性がないよ~😔」と思ったそこの貴方!信憑性しかないメンターの方々から、提案書に関するアドバイスやフィードバックが今すぐ受け取れます!!!

ありがたいことに、複数のメンターさんが提案書・選考に関して記事をだしてくれています。メンターさん各々の判断で採択が決まる未踏ジュニア、その採択権を持っている人がアドバイスしているならそれに従うほかありません。私は提出する数週間前からメンターの方々の記事を漁りだし、可能な限り提案書のポテンシャルを引き出せるようにアドバイスを何度も咀嚼していました。私の場合は「せっかくのアドバイスだし全部盛り込まなきゃ…」という脅迫観念に囚われそうになってしまいましたが、それはちょっと不健康な感じがしますね。できる範囲で、どうせなら知っとくか~くらいの気持ちで記事を読むとお得かなあと思います。知っ得だけに、ってね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
サクッと見つかったメンターの方々による選考についての記事をいくつかご紹介するので、よければ参考にでもどうぞ。

おまけ

その他

というわけで、既出でないもので私が気をつけたことはこんな感じでしょうか。とても幸運(?)なことに、私の場合は初めて提案したプロジェクトがいきなり採択されたので、他の工夫も含めてどれが採択に影響を及ぼしたのかは知る由もありません。が、メンターの石井さん曰く「これまでもAIを組み込んだ提案はたくさんあったけど、『AIはすごいのでなんとかなります!』というぼんやりとしたものが多かった。Noxicelはそこの詳細が詰めてあって、実現可能だということに説得力があった」とのことなので、そうだったんでしょう。しらんけど。

最後に

最初に想像していたものよりはるかにボリュームが大きくなってしまいましたが、如何でしたでしょうか。まとまりがなく、読みづらい文章になってしまったかもしれません。繰り返しにはなりますが、この記事はたまたま未踏ジュニアに採択されたヤツのよくわからん感想&思い込み記事なので、実際に応募される場合は他の記事も読みながら軽く参考程度にしていただけると幸いです。だいたい3月くらいから応募が始まるらしいですが、毎年そんなにテンプレートは変わらないので今から提案書のタイトルだけでも考え始めてみると良いんじゃないでしょうか。なにかあればTwitterにでもご連絡ください、可能な限りお役に立てればなと思います~!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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